フリーアドレスにはどんなデスクが向いている?

「フリーアドレスを導入したいけれど、今のデスクを並び替えるだけでいいのだろうか」とお悩みではありませんか?できることなら、既存のデスクを活用したいと思うでしょう。しかし、既存のデスクと同じものでは配線トラブル等の問題が発生しやすくなり、かえって働きにくい職場になる恐れもあります。フリーアドレスを成功させるには、現代の働き方に合わせたデスク選定が重要です。本記事では、フリーアドレスデスクのサイズ目安や選び方についてご紹介します。

そもそもフリーアドレスとは

フリーアドレスとは、社員が固定の席を持たず、1日の予定や業務内容、その時の気分などで自由に席を選んで仕事をするワークスタイルのことを指します。近年の新しい働き方にマッチすることもあり、多くの企業が導入を進めています。

部署を超えたコミュニケーションが自然に行えるようになるなど、フリーアドレスにすることで得られるメリットは多いです。基本的な概要やメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の関連記事もあわせてご覧ください。

レイアウト変更だけでフリーアドレスは成立する?

予算に厳しい制約がある場合、既存のオフィス家具を流用するレイアウト変更は現実的な選択肢の一つです。しかし、固定席時代に作られたデスクをそのままフリーアドレスに転用しようとすると、実際の運用では以下のような問題が発生しやすくなります。

配線が追いつかない

一般的な固定席向けのオフィスデスクは、壁際や床の特定の箇所から電源やLANケーブルを配線する前提で作られています。そのため、フリーアドレス化に伴って島型のレイアウトを崩したり、デスクを分散させたりすると、既存の配線が届かなくなるケースが多発しがちです。

その結果、延長コードやOAタップが床に多数這うこととなり、見た目が乱れるだけでなく、歩行時の転倒リスクなど安全面での不安が生じます。

一方、フリーアドレス向けに設計されたデスクは、天板の中央や脚部、配線ダクトなどに配線ユニットが設けられています。どの席に座ってもスムーズに電源やLANを確保できるため、スマートな配線管理が可能です。

もし、後から配線問題を解決しようとして床の配線工事やOAフロアの全面改修を行うと、結果的にデスクを新調するよりも多額の費用と工数がかかってしまうケースもあるため注意が必要です。

引き出しや私物があると固定席になりやすい

従来のデスクの多くは、大容量の引き出しがあらかじめ一体化しています。

フリーアドレスの運用では、「退社時や長時間離席する際は、自分のものを置きっぱなしにしない」というルールが一般的です。しかし、手元に便利な引き出しがあると、書類や文房具、私物を入れたままにしやすくなります。

引き出しの中に私物が常駐してしまうと、「ここは〇〇さんの席」という心理的な縄張り意識が生まれ、他の人は使いにくくなります。その結果、特定の人が毎日同じデスクを使い続けることとなり、固定席化してしまう可能性があります。

サイズが合わない場合がある

固定席時代のデスクは、個人の書類や大量のファイル、据え置き型の電話機、デスクトップPCなどをすべて机上に配置する想定で作られています。そのため、大半は奥行きが700mm〜800mm程度と深めに設計されています。

しかし、ペーパーレス化やノートPC化、クラウド移行が進んだ現代の職場では、個人の作業スペースにそれほどの奥行きは必要ありません。

大きなデスクのままだと、限られたオフィス面積に対して配置できる席数が少なくなってしまいます。

デスクスペースは何cmあれば足りる?

フリーアドレス用デスクを新調する際、サイズ選びは重要なポイントです。狭すぎると作業効率が落ち、広すぎるとオフィススペースを圧迫してしまいます。具体的に、適切なデスクスペースについて見ていきましょう。

1人あたりの作業幅の目安

出典 アール・エフ・ヤマカワ株式会社

オフィスデスクにおける「1人あたりの作業スペース」は、一般的に幅(W)1,000mm〜1,200mm、奥行き(D)600mm〜700mmが標準的な目安とされています。

  • 幅700mm×奥行き450mm(最小限のスペース): A4ノートPCを開いて、脇に資料を1冊置くのがやっとのサイズです。一時的な作業や短時間の立ち寄りであれば問題ないことが多いですが、1日を通してメインの業務を行うには窮屈さを感じます。
  • 幅1,000mm×奥行き600mm(ノートPC中心の標準サイズ): ノートPCの横に資料やA4ノートを広げることができ、一般的な事務作業を快適に行える広さです。スペース効率に優れており、フリーアドレスでもよく採用されるサイズです。
  • 幅1,200mm×奥行き700mm(ゆとりのあるサイズ): デスクトップPCの設置や、外付けの大型モニターを併用する業務、あるいは資料を何冊も同時に広げるクリエイティブな職種に適したサイズです。

このように、扱うデバイスや書類の量に応じて最適な寸法を算定することが大切です。

物理的・心理的距離と業務効率

デスクの寸法を決めるにあたって、他者との心理的距離も考える必要があります。なぜなら、人にはパーソナルスペースというものがあり、デスクが近すぎると落ち着かなくなるからです。パーソナルスペースは人によって異なりますが、日本人の場合は比較的広いパーソナルスペースを好むとされています。

では、具体的にパーソナルスペースを考慮したデスク寸法はどのように決めれば良いのでしょうか。これには、アメリカの文化人類学者エドワード・ホールが提唱した「プロクセミクス(近接空間学)」における4つの対人距離の理論が参考になります。

この理論をオフィスの座席レイアウトに当てはめると、以下のような心理的影響が生じるとされています。

  • 個人の距離(対人距離 45cm〜1.2m): 相手の表情がはっきりとわかり、手を伸ばせば触れられる距離です。オフィスのデスクで隣や向かいの人との間隔が1.2mを切ると、相手のちょっとした視線やタイピング音が耳に入りやすく、視界の端の動きが気になって業務への集中力が阻害されやすくなります。
  • 社会の距離(対人距離 1.2m〜3.5m): 身体的に触れることはできず、個人的な親密さよりも業務上のやり取りに適した落ち着いた空間を保てる距離です。デスクの横幅を1.2m以上に設定したり、対面の席との距離を1.2m〜2.0m程度に保てるようにレイアウトを組むことで、社員は過度な緊張を覚えず、リラックスして話し合えるようになるとされています。

隣り合う社員同士が物理的・心理的なストレスを感じずに、高い集中力と適度なコミュニケーションを両立させるためにも、パーソナルスペースを考慮したデスク選定や、座席間にゆとりを持たせた配置計画が不可欠です。

出典
パーソナルスペースと都市密度ー近くにいるのに遠い、日本人の距離感の矛盾|社会構想デザイン機構
パーソナルスペースと仕事の知っておきべき関係性と活用法|KOKUYO

モニターの有無

近年はノートPCだけでなく、業務効率化のために外付け用の大型モニター(液晶ディスプレイ)を常設する企業が増えています。

外付けモニターを設置する場合、重要になるのがデスクの奥行きです。ノートPCだけであれば奥行き600mmでも十分ですが、24インチ前後の外部モニターを設置する場合、画面から目までの適切な視聴距離(約50cm〜70cm)を確保し、手前にキーボードやノートを置くスペースを残すためには、最低でも奥行き700mm、できれば 800mmのデスクを選定するのが望ましいとされています。

フリーアドレス席の一部にモニター常設エリアを設ける場合は、そのエリアのデスクだけ奥行きを広く設計するなどの工夫が必要です。

出典
「デスクの奥行」何cmが良い?選び方とおすすめデスク4選を紹介|プラス株式会社

全員がフリーアドレスである必要はない

フリーアドレスを導入するからといって、必ずしも全社員に当てはめる必要はありません。

職種や部署の特性によっては、完全なフリーアドレスがかえって業務の効率性を損ねる場合があります。例えば、機密性の高い個人情報を日常的に扱う人事・労務、紙の領収書や伝票の処理が多い経理はその代表でしょう。また、デスクトップの高スペックPCや専用機材が必要な開発・デザイナーといった職種は、固定席の方が生産性を維持しやすい可能性があります。

実際、フリーアドレスを導入している企業でも、一部の社員は固定席で仕事をしているケースは多いです。その他には、部署やチームごとに大まかなエリアを指定しそのエリアの中で自由に席を決める「グループアドレス」もよく採用されています。

業務内容やその特性を考慮し柔軟な住み分けを行うことが、社内の混乱を防ぎながらフリーアドレスを定着させるポイントといえるでしょう。

フリーアドレスデスクのタイプ別特徴と選び方

フリーアドレス向けのデスクは、大きく分けて4つのタイプがあります。それぞれの特徴を把握し、自社にとって必要なものを組み合わせることが大切です。

ロング(連結)テーブル型

大型の天板を複数連結し、1台の大きなテーブルのように仕立てたタイプです。席の間に明確な仕切りがないため座る人数を柔軟に変えやすく、限られた空間を有効に活用しやすい点がメリットです。

Haworth(ハワース)「Tibas(ティバス)」

スマートで無駄のないシンプルなデザインでありながら、優れた配線管理機能と拡張性を兼ね備えた、使い勝手の良いロングテーブルです。必要に応じて連結できるため、自社のスペースや人数に応じたカスタマイズができます。

昇降デスク型(スタンディング対応)

電動などで天板の高さを自由に変えられるデスクです。座りっぱなしによる腰痛や運動不足といった健康リスクの軽減や眠気防止、気分のリフレッシュもできます。

導入コストは他のタイプに比べて高めですが、社員のモチベーションや生産性向上への投資にもつながります。

Montana(モンタナ)「HiLow3テーブル」

北欧らしいスタイリッシュなカラーリングと高い機能性を両立させた電動昇降デスクです。スッキリとした見た目でインテリア性を損なわず、机の高さが自在に変えられます。集中したい時でも気軽に姿勢を変えることができ、座りっぱなし防止に役立ちます。

集中ブース型(セミクローズド)

デスクの周りをパネルやパーテーションで囲み、視線を遮れるようにしたセミクローズドなタイプのテーブルです。

フリーアドレスでは、周囲の視線や音が課題になることもあります。黙々と作業をこなしたい集中エリアや、周囲に声が漏れるのを防ぎたい比較的静かなオンラインミーティング用スペースとして、集中ブース型は設置しておきたいタイプともいえるでしょう。

201°(ニーマルイチド)「COOM(クーム)」

「心地よくこもれる」というコンセプトのもと開発されたパネル一体型のワークブースです。適度な囲まれ感が心理的な安心感をもたらし、仕事に没頭できる空間を作ります。落ち着いたカラーや特徴的な見た目でおしゃれな雰囲気を醸し出せる点もポイントです。

カウンター・ハイテーブル型

一般的なオフィスデスクよりも天板が高い、カフェのようなハイタイプのテーブルです。

立ったままでの短時間のPC作業や、ちょっとした雑談を交えた軽い打ち合わせに向いています。オフィス内に高さの異なる家具を設けることで、空間全体にカジュアルでおしゃれな雰囲気が生まれる点も魅力です。より自由度の高いフリーアドレスを実現できるでしょう。

カリモクニュースタンダード「スペクトラムハイST 190」

日本建築から着想を得た、スッキリとした見た目が美しいハイテーブルです。美しいナラの木の風合いがオフィスに温かみを与えます。高めの椅子もしくは立った状態で4人~6人が囲えるくらいのサイズ感となっています。

ソーシャルインテリアのフリーアドレスデスク導入事例

実際にフリーアドレスを導入し、デスクの選定やオフィス環境の構築にこだわった企業の事例を紹介します。

キャスター付きの家具で執務スペースが多用途に|株式会社イー・ロジット様

良い家具を選び、社員の満足度向上と可変性の高いオフィス空間を実現した事例です。移転に伴い家具の選定を見直し、従来の課題であった社員間のコミュニケーションも改善しました。執務スペースはキャスター付きの家具や持ち運びやすい椅子を中心に採用し、セミナーや大規模ミーティングにも対応できるオフィスへと変化しています。

スタンディングデスクが気軽に話せるスポットに|株式会社セキュア様

コミュニケーション不足を解消するために、あえて仕切りを設けず、ワンフロアに様々な家具を配置した事例です。スタンディングデスクは社員同士がテーブルに肘をついて気軽に話せるスポットとなり、お互いに相談や些細な会話がしやすい雰囲気が生まれています。

こだわりの家具選定がコミュニケーションを円滑化|株式会社ジャンプコーポレーション 様

出社率の向上と社員間のコミュニケーションの活性化を狙い、移転とともにフリーアドレスを実現した事例です。三角形のテーブルやハイテーブル、ボックス席などにこだわりの家具を置き、社内のあちこちで部署の垣根を超えた自然な関わりが生まれています。業務の特性上、座って作業をする時間が長いため、体格に合わせて選びやすいよう椅子の種類のバリエーションも豊富です。

家具のサブスクで新しいニーズに柔軟に対応|株式会社Bloom&Co.様

社員間の交流と関係構築の強化を目的とし、家具のサブスクを通じてオフィス環境を整えた事例です。カジュアルに会話ができるスペースと、業務にほどよい距離で集中しながら仕事ができるスペースをしっかり確保しています。可変性の高いベンチデスクやスツールのあるコミュニケーションスペースは、人数が増えても皆が会話に参加しやすい環境となっています。

自社に合ったフリーアドレスデスクを選ぶために

フリーアドレスへの移行は、単に従来の机の配置をバラバラにするといったレイアウト変更だけでは成功しません。社員がストレスを感じず、その日の業務内容に合わせて快適な環境で仕事をするには、適切なデスクサイズ・デスクタイプの選定や電源の利便性が重要です。

実際にフリーアドレスを導入したものの、固定席化してしまうなど運用面に関する悩みを抱える会社も多いでしょう。ソーシャルインテリアでは、それぞれの会社に合わせたフリーアドレスの配分や適した配置、快適性を高める運用方法などのノウハウを用いて、フリーアドレスの実現に向けた支援が可能です。

ソーシャルインテリアでは、オフィス構築に関するさまざまな悩みを解決する支援を行っています。フリーアドレスデスクの導入をはじめ、「どのように配置すれば良いのか分からない」「フリーアドレスの配分はどのくらいが良いのか教えて欲しい」「初期費用を抑えて高品質なオフィス家具を揃えたい」とお悩みの企業様は、ぜひソーシャルインテリアへご相談ください。