パーテーションは、一時的なオフィスのレイアウト変更や荷物を隠すための間仕切りなど、さまざまな用途で活躍するアイテムです。活用シーンに適したパーテーションを選ぶことで、オフィスの利便性がアップし、業務効率や従業員満足度の向上にもつながります。
本記事では、パーテーションの高さや素材の種類、設置することで得られるメリット、選び方の注意点などについて解説します。パーテーションを効果的に取り入れ、理想的なオフィスを実現するためにぜひお役立てください。
目次
パーテーションとは
「パーテーション」とは、オフィスなどの空間を仕切るための簡易的な壁のことです。「パーティション」とも呼ばれますが、いずれもリフォームやリノベーションにおける「間仕切り」という意味で使われます。家具やカーテンも、空間を仕切る目的で使われる場合はパーテーションと呼ぶことができます。
多くのパーテーションは、構造体として備え付けられている壁と異なり、設置や撤去、移動が簡単なのがメリット。独立したスペースを作る、目隠し程度の仕切りとして使う、など目的によって適したパーテーションの種類や設置方法を選ぶことが大切です。
パーテーションの設置方法
パーテーションの設置方法は、設置工事が必要な「施工タイプ」と、工事不要の「設置タイプ」に分けられます。
施工タイプのパーテーションは、業者による設置工事を行い、壁や床に固定したもの。一度設置すると簡単に動かせないため、壁や建具と同じような頑丈さがあります。業者との打ち合わせによりオーダーメイドでの注文も可能で、遮音性を要する会議室やセキュリティが重要なサーバー室などに向いています。
ただし、施工後は自分たちで取り外すことができず、移動や撤去は業者に依頼する必要があり、設置工事期間中に社員の業務に支障が出ないよう配慮が必要です。
設置タイプのパーテーションパーティションは、自分たちで設置するタイプのものです。工事不要なため、届いたその日からすぐに使用でき、必要に応じてスペースを柔軟に変えられます。また、施工タイプに比べて低予算で導入でき、不要になった場合の処分も簡単です。
折りたたみ式や伸縮式、連結式などのバリエーションはありますが、施工タイプのようなオーダーメイドは難しく、自分たちでサイズや枚数を計算して発注する必要があります。オフィス空間の統一感を損なわないよう、トータルコーディネイトを考えることも大切です。
具体的なパーテーションの種類について、次の章から詳しく説明していきます。
パーテーションの種類(高さ)
パーテーションは高さによって、背の低いローパーテーションと、背の高いハイパーテーションの2種類に分けられます。また、同じハイパーテーションでも、欄間(らんま)が開いているかどうかでタイプが異なります。それぞれの特徴とメリットについて解説します。
1.ローパーテーション
ローパーテーションは、高さが天井まで届かないタイプの間仕切りです。床からの高さの種類はいくつかありますが、最大2,100mm(210cm)程度がひとつの目安です。
サイズが小さく移動に向いていて、オフィスの増員など簡易的に仕切りを追加したい場合にも便利です。
また、デスクに座っているときの視線を隠し、立った時にコミュニケーションを取りやすいので、メリハリのある環境づくりにも役立ちます。ただし、部屋を完全に区切れるほどの高さはなく、遮音性も低めです。
2.ハイパーテーション
ハイパーテーションは、天井までの高さがある間仕切りです。床から天井までの壁ができるため、密閉性や遮音性を確保でき、独立した部屋を設ける目的でも活用できます。ドアや電子錠などを取り付けることで防犯性を高めることも可能です。
また、応接室や会議室、エントランスと執務スペースとの間に境界を構築したい場合にも役立ちます。注意点としては、設置の際に専門業者に施工を依頼する必要があり、ローパーテーションよりも費用がかかる点です。
ハイパーテーションには、床と天井にレールを設けて移動できるようにした可動式タイプもあります。使用人数などによってスペースの大きさを調整できますが、可動域がレール沿いに限られるためレイアウトの自由度が下がることには注意しましょう。
ハイパーテーションの場合、上部と天井との隙間を指す「欄間(らんま)」を開けるか閉じるか、という点も考える必要があります。
欄間オープン型
欄間オープン型は、パーテーションの上部と天井との間に隙間を設けるタイプです。隣室との空気の通り道があるため、仕切られたスペース内の空気がこもりにくく、空調を設置しなくても湿度や温度が適切に保たれやすいでしょう。また、天井に固定しないパーテーションなど、業者による施工が不要な場合はコスト節約につながります。
欄間の総面積などの条件で変わりますが、欄間がオープンだと原則として隣室と同室と見なされ、消防法で定められた火災探知機やスプリンクラーなどの設置は免除される可能性があります。侵入対策が必要なケースもあるので注意が必要です。
欄間クローズ型
欄間クローズ型は、欄間を塞いでパーテーションを設置する方法です。上部に開口がないため、欄間オープン型よりも遮音性が高まります。また、天井まで仕切りが立つことで、見た目もすっきりとします。
一方で、消防法により非常灯や火災報知機等などの消防設備や、空調設備の新たな設置が必要となる可能性があります。
パーテーションの種類(素材)
パーテーションには、アルミやスチールといった金属からガラス、布までさまざまな素材が用いられます。ここでは、パーテーションの素材別の特徴やメリットを見ていきましょう。
1.アルミパーテーション
アルミパーテーションは、アルミの枠組みを使ったパーテーション。パネル部分は、ハニカム構造のペーパーコアや透明なポリカーボネートなど、不燃性の高いコア材を使用するものが多く見られます。
アルミパーテーションは軽量で、設置や移動が簡単に行える上、コストも抑えやすい傾向があります。パネルは色のバリエーションが豊富で、空間デザインを目的とした設置も向いているといえるでしょう。
2.スチールパーテーション
スチールパーテーションは、スチールの骨組みと石膏ボードのパネルで構成させたパーテーションです。フレームとパネルのつなぎ目がボードで覆われているため、見た目がすっきりとしています。
スチールは耐久性が高いため、長期間の使用が可能。アルミパーテーションに比べて重量があり、防音性や耐火性にも優れているため、守秘性の高い会議を行う応接室や会議スペースでの利用に向いています。
スチールパーテーションの設置や移動は、原則として専門の業者へ依頼する必要があり、コストが割高になります。また、機密性が高いため、火災報知機や空調設備の設置が新たに必要になる可能性もあるでしょう。
3.ガラスパーテーション
ガラスパーテーションは、パネル部分にガラスを用いたデザイン性の高いパーテーションです。開放感のあるおしゃれなオフィスづくりがしやすいため、人気があります。
光や視線を遮らずに空間を仕切れるため、通常の壁や他のパーテーションと比べて明るく広々とした印象を与えます。また、透明性や公共性を表現して、コンプライアンス体制の強化を効果的にアピールしたい場合にも有用です。圧迫感を感じさせないため、狭い空間を上手に仕切りたい場合などに役立ちます。
一方で、ガラスパネルの施工には特殊技術を要する上、1枚ずつ受注生産になるケースが多いため、工事費が高額になるのはデメリットです。現在は強化ガラス仕様や飛散防止タイプが普及していますが、ガラス製だけにヒビが入るリスクもあります。また、厚みのあるガラスは施工現場でサイズを調整できないため、専門業者による精密な採寸が必要です。
4.アクリルパーテーション
アクリル板を用いたアクリルパーテーションは飲食店などでもよく使用されています。アクリルボードはある程度の重量があり、設置時に安定しやすいのがメリットです。
また、透明性が高く、採光を確保しやすい上、視界を遮らないため圧迫感を感じにくいでしょう。デスクの仕切りに利用すれば、個別のスペースを確保しつつコミュニケーションを行いやすい空間を構築できます。
一方で、視線を遮る効果や遮音性は低く、高級感に欠ける可能性があります。
アクリルパーテーションの選び方や使用時の注意点については、下記記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
「アクリルパーテーションの特徴 自社に合う製品の選び方も紹介!」
5.クロス(ファブリック)パーテーション
クロス(ファブリック)パーテーションは、オフィスでよく使用されるパーテーションの1つです。パネル部分が布のため、軽量で設置や移動、撤去が簡単です。サイズやカラーのバリエーションが豊富で、空間デザインに合わせた選び方ができます。ロールカーテンのように、不要な場合に収納できるタイプもあります。
視線を遮るなど見た目の仕切りとしての効果はありますが、遮音性は高くありません。また、布の厚みや種類によっては耐久性が高くないため、丁寧に扱う必要があります。
6.その他
上記の他に、フラワーボックスを間仕切りとして使う方法もあります。インテリアとしても使えるフラワーボックスは、明るい雰囲気を演出でき、癒やしの効果があるためスタッフの休憩スペースにも向いています。
また、簡易的な間仕切りとしてカーテンタイプのパーテーションも有用です。必要なときだけカーテンを閉めて空間を区切り、不要なときは開けておけば圧迫感のないスペースを構築できます。
オフィスにパーテーションを置くメリット
オフィスにパーテーションを設置することによって、用途に適した空間づくりができることに加えて、防音やセキュリティ面などのメリットが期待できます。ここでは、オフィスにパーテーションを設置することによる3つのメリットについて解説します。
集中力アップ
パーテーションを設置することで、集中力を高める効果が期待できます。パーテーションを使って空間を仕切ることで、周囲からの視線や物音をある程度遮ることができ、作業効率がアップします。
個人のデスクを卓上のパーテーションで仕切る、防音性のあるパーテーションを用いて個別ブースを構築する、といった使い方により、集中して作業できる空間を構築できます。
セキュリティ強化
パーテーションはセキュリティ対策にも役立ちます。ワンフロア構成のオフィスでは、社員のデスクと会議室や応接室が同じフロアにあり、来客時にエントランスや廊下を通る際に社外秘情報を守る対策が必要です。
ハイパーテーションを設置することでスペースを明確に区切ることができ、情報漏えい予防にもつながります。また、暗証番号や指紋認証、カードキーなどが付けられる場合、入室権限のある人以外は利用できないため、高い安全性を確保できるでしょう。
防音対策
防音タイプのパーテーションは、室外からの音の侵入や音漏れを防ぐために役立ちます。社外秘の会議を行う会議室や来客時の応接室では、周囲の音が入ってきてしまうと、重要なミーティングが台無しになってしまいます。また、情報漏えいのリスクも出てくるため、音漏れがしないよう防音対策が必要です。
パーテーションを選ぶときの注意点
パーテーションで仕切られたオフィスは、空間別の用途や目的を重視したレイアウトを実現できるというメリットがありますが、一方でコミュニケーションが取りづらいなどのデメリットも考えられます。ここでは、パーテーションを選ぶ際に気をつけたい注意点について解説します。
コミュニケーションがとりづらい
パーテーションを使って間仕切りをすることで個別のスペースを確立できる分、声掛けがしづらいなど、コミュニケーションが取りづらくなる可能性があります。
部署ごとにパーテーションで区切る場合、部署以外の人は足を踏み入れづらくなることも考えられます。コミュニケーションの必要性を考慮し、設置位置やサイズを工夫するとともに、磨りガラスや半透明なパネルなどの選択肢も検討すると良いでしょう。
空調や照明効率が悪い
パーテーションは、空調の効きや照明効率にも影響します。パーテーションが室内の空気の流れを遮ってしまい、空調の効きにムラが出る可能性も。
また、パーテーションで区切られたブースごとに照明を設置すると、より多くの電気を消費するため電気代が上がる可能性もあります。欄間オープン型や、不要なときにすぐ片付けられるカーテンタイプなどの選択肢も視野に入れると良いでしょう。
設置コストがかかる
施工型のパーテーションを選んだ場合、置き型よりも施工費用がかかります。パーテーション工事にかかる費用は、高さや種類によって変わります。大規模でなければ1〜2日程度の工事で完了しますが、場合によっては一時的にオフィスを閉じる必要が出てくるので注意が必要です。
賃貸オフィスの場合、管理会社や契約次第では、施工タイプのパーテーションを自由に取り付けできないケースもあり、取り付け後の原状回復が必要になることも考えられます。
安全対策や各種手続きが増える
パーテーションの種類や設置場所によっては、安全対策や手続きが必要になるため確認が必要です。欄間クローズタイプのように、天井まで隙間がないパーテーションを設置する場合、工事を始める7日前までに消防署へ届け出るよう義務付けられています。
また、防火対策など安全に関する配慮も要します。間仕切りを立てるだけの比較的簡単な工事だからといって、届け出をしないと消防法違反として罰則が課せられるので注意しましょう。
さまざまな活用方法とおすすめパーテーション
ここからは、オフィスでのパーテーションの活用方法とおすすめのパーテーションの種類について紹介します。自社オフィスでの利用を検討する際に参考にしてください。
社員の集中スペース
社員が集中して作業できるよう、パーテーションで専用スペースを作ることで、生産性の向上につながります。デスクに座った状態なら、最低1,200mm(120cm)程度のローパーテーションでもスペースを区切ることが可能です。
遮音性や防音性がさほど必要ない場合は、アルミパーテーションを選ぶと設置や撤去が簡単で費用も抑えられます。スチールパーテーションや防音性の高いパネルのものは、Web会議などの利用に向いているでしょう。
来客用の応接スペース
執務スペースとの区切りとしてパーテーションを設置することで、お客様を通す応接スペースを構築できます。落ち着いた空間でプライバシーや会話内容に配慮するために、身長の高い人の視線も遮れる高さ1,800mm(180cm)以上が目安です。
スチールパーテーションなど遮音性のあるものだと、重要なミーティングを行うための隔離された空間を作ることができます。ハイパーテーションを選ぶ際には、遮音性や防音性のある素材かを確認しておくと無難です。
ロビースペース(待合室)
執務室の入り口をパーテーションで間仕切りし、ロビースペース(待合室)を作ることも可能です。賃貸オフィスでも、パーテーションを設置するだけで空間のデザイン性が高まり、独自性をアピールできます。
コーポレートカラーやロゴを連想させる色を採用すれば、ブランディング効果も期待できるでしょう。また、フラワーボックスはインテリアとしても活用でき、緑を取り入れることでさわやかなロビーを演出できます。サイズの小さいパーテーションを感染症対策として取り入れる方法も有用です。
備品や棚の目隠し
来客者から見えないように、棚やコピー機、備品などを目隠ししたい場合にもパーテーションが活躍します。備品置き場など煩雑になりがちな箇所には、ローパーテーションを置くだけで見た目がすっきりします。
クロスのように軽量で場所を取らず移動しやすいタイプや、折りたたみが可能な連結タイプが使いやすいでしょう。
おしゃれな空間を作る
パーテーションは単に空間を区切るだけでなく、おしゃれな空間デザインを取り入れる目的でも役立ちます。オフィスというと無機質な空間になりやすいですが、デザイン性のあるパーテーションを活用すれば、現在のオフィスの雰囲気は維持しつつ、部分的におしゃれな要素を加えることが可能です。
例えば、休憩スペースや共有エリアなどは、色の付いたパーテーションや植物のフラワーボックスを使ってコーディネートするといった方法でリフレッシュ空間を構築できるでしょう。
オフィス空間のデザインはソーシャルインテリアにお任せ
パーテーションは、設置するだけで空間を区切ることができる便利なアイテムです。パネルの素材や施工方法、高さなどのバリエーションが豊富で、活用シーンや目的にあわせて適切なものを選択できます。
場合によっては業者による施工や消防法の届け出が必要になるので、オフィス全体のレイアウトをプロに相談することをおすすめします。
ソーシャルインテリアでは、オフィスのインテリア選びやレイアウトを含めたオフィス構築支援を承っています。オフィス家具の選定や現状回復についてなど、理想的な職場環境を実現するための幅広いご提案が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
