多くの企業が社会情勢の変化に対応する目的で導入しているフリーアドレス。今回はフリーアドレスについての基礎知識とどんな企業が向いているのか、メリット・デメリットを交え成功のポイントもご紹介します。
目次
フリーアドレスとは?
フリーアドレスとは、社員がオフィスにおいて自分の座席を持たず、オフィス内であれば自由に働く席を選ぶことができるワークスタイルのことを指します。フリーアドレスは中央省庁をはじめ、様々な業種で採用されていて、その採用率は10年前と比べると2倍近くにまで増えています。
グループアドレスとの違いとは?
一方グループアドレスとは、部署やチーム単位で大まかなエリアを決定しその中で自席を自由に選べる働き方をいいます。つまり、フリーアドレスとの大きな違いは座席のエリアが決まっているかどうかです。
グループアドレスについてはこちらの記事でも説明しています。
フリーアドレスの導入が増えた背景
フリーアドレスを採用する企業が増えた背景とは何でしょうか。一番はテクノロジーが発達し、多くの職種でインターネット回線があればどこでも仕事ができるようになったことでしょう。
働き方改革による影響やナレッジワーカーの活用
他には、ナレッジワーカーの増加も影響しています。ナレッジワーカーとは、「ナレッジ(知識)」と「ワーカー(労働者)」を組み合わせた言葉で、社会に対し新たな付加価値を生み出す労働者を指します。ナレッジワーカーはオープンかつインタラクティブな環境を必要とするため、フリーアドレスという働き方は彼らにとって不可欠といえるでしょう。
フリーアドレスの導入がおすすめなケース
ここまでフリーアドレスの意味や採用背景について説明してきましたが、実際にはどんな企業がフリーアドレスの導入を検討すべきでしょうか?
オフィス空間の有効活用
フリーアドレスの場合、基本的には従業員全員分の座席を用意する必要はありません。リモートワークを積極的に活用している社員の割合や外出機会の多い部署の割合が高い場合は、座席数を見直し、減らすことを検討してみましょう。
座席数を減らし、空いた空間をWEBミーティングブースや集中ブース用のエリアに変えるだけでも、オフィス空間を有効活用することができます。
オフィス空間を短期間で作り出すことが難しい場合はレイアウトから変えてみるのも一つの手。オフィスレイアウトに関してはこちらの記事でも説明しています。
社内全体のコミュニケーションの強化
フリーアドレスの場合、基本的には部署単位での席の割り当てにはならず、出社して空いている席に座る運用形態になります。そのため、オフィスに出社した従業員は毎日違う席に座る可能性があるので、部署や組織を超えたコミュニケーションに期待できます。
一般的な固定席の場合、部署単位内でのコミュニケーションに収まる機会が多いため、組織全体のコミュニケーションに課題を抱えている企業には、フリーアドレスは非常におすすめです。
ABWを取れ入れた働き方を検討したいとき
ABWとはActivity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略を指し、従業員が働く時間と場所を自由に選択できる働き方のことです。フリーアドレスはオフィスにおける自由な働き方を指しますが、ABWはそうではありません。
オフィス内にカフェスペースや集中ブースがある場合、フリーアドレスを導入することでオフィス内には限定されますが、ABWに近い働き方を従業員に提供することができます。
ABWについてはこちらの記事でも説明しています。
フリーアドレスのメリット
ここでは、フリーアドレスを導入することによる具体的なメリットをお伝えします。
自律的な働き方の促進とコミュニケーションの促進
従業員が自分で仕事に集中しやすい場所などを選べ、必要なものや環境を考えることができるため、個々のモチベーションの向上が期待できます。また、自由に席を選んで業務を行うことにより、他部署とのコミュニケーションが促進され、新たな発想や情報を得ることもできるでしょう。
急な組織変更、人数変更への対応ができる
固定席ではないため、突然の組織変更やプロジェクト発足にも対応しやすくなります。それに伴ったメンバー増減に合わせたオフィスレイアウトの変更が不要のため、企業として工数をかけないオフィス運営を行える点がメリットです。
フリーアドレスのデメリット
フリーアドレスを導入することによる具体的なデメリットをお伝えします。
所属社員の管理が難しくなる可能性がある
従業員がオフィス内の好きな場所で仕事を行うことができるため、誰がどこにいるのか分かりにくくなってしまい、部署内やチーム内における個々の報告や相談のコミュニケーションが円滑に進みづらくなってしまう側面があります。
個々の社員の負担が増える
固定席ではないため、オフィス内の移動においても自分の荷物をまとめる必要があり、帰宅時には私物は何もない状態にしなければならないため、従業員に物理的な負担が発生します。
フリーアドレスを成功させる仕組みとは?
フリーアドレスの導入に際し、課題の発生はつきものです。フリーアドレスをうまく導入した企業はどこも仕組み作りに力を入れています。
フリーアドレスの導入は運用の前後が重要
フリーアドレスの仕組み作りのポイントは従業員への目的の周知と運用ルールの策定にあります。運用ルールを作り、一人ひとりの社員がそれを理解することがフリーアドレス導入の成功の一歩となるでしょう。
目的を明確にする
今まで固定席で仕事を行ってきた従業員にとっては、フリーアドレスの導入に対して不安が発生することがあります。そのため、何の目的でフリーアドレスを導入するのか、導入することによるメリットを伝え、不安を軽減するとよいでしょう。
フリーアドレス導入の目的を従業員全員が理解するためには、あくまでも導入することそのものが目的でなく、所属する組織を現状よりも改善する手段であることを伝え、浸透させることがポイントです。
フリーアドレスの導入を不安に思う従業員や社員に対しては、何が不安なのか、フリーアドレスを導入することによって何が困るのか具体的な要素をヒアリングすることが重要。ヒアリングにあたっては社内アンケートやサーベイ等を実施することがおすすめです。
運用ルールを作り、回し続ける
フリーアドレス導入にあたっては、運用ルールの策定を行い、従業員全員がそのルールを守って運用し続けてもらうことが重要。なぜ運用ルールが必要なのかというと、固定席と違い従業員の管理難易度が高く、形骸化しやすいためです。
ルールの決め方としては、従業員や社員の声を反映させることが大事です。例えば「フリーアドレスを導入することによって従来よりもコミュニケーションが希薄になってしまうのではないか。」という声に対してはオフィス内にエリアを定めグループアドレスの運用を行ってみるなど、フリーアドレスの導入にあたって試験的な取り組みを行ってみることをおすすめします。
フリーアドレス導入の流れ
ここまでフリーアドレスの導入のポイントについてお伝えしました。次の項目では、実際にどのようしてフリーアドレスを導入すればいいのか流れについて説明します。
フリーアドレスの導入にあたって必要な流れは以下です。
- フリーアドレス導入の目的と対象者を決定する
- フリーアドレスの座席数と運用ルールを設定する
- デスクやチェアをはじめとした備品各種の検討
フリーアドレス導入の目的と対象者を決定する
繰り返しとなりますが、まずはフリーアドレス導入の理解を促すため、導入する目的を定め、社内での共有を行いましょう。
フリーアドレスの座席数と運用ルールを設定する
フリーアドレスを社内の全部門や全部署に導入する企業は少なく、フリーアドレスの導入が必要な部署に採用していく導入方式が一般的です。導入対象となる部署の業務内容や特性も考慮して、フリーアドレスが適切なのか固定席が適切なのかを決めていきましょう。
フリーアドレスが適切な部署や導入しやすい職種は、得意先への訪問機会が多い営業職や企画部門、マーケティング部署などがおすすめです。オフィス内の在席率が低い座席をフリーアドレス化することで、有効スペースを生み出すことができます。
一方でフリーアドレスが適さない部署としては、総務人事、営業事務などが挙げられます。席を固定化することで、オフィス社内にいる全員が効率よくコミュニケーションを行うことができるためです。これらは一例として挙げましたが、工夫次第ではフリーアドレス化の検討余地もあります。
フリーアドレスを導入したオフィスでよくある悩みが収納です。フリーアドレスオフィスの収納については、こちらの記事で紹介しております。
デスクやチェアをはじめとした備品各種の検討
フリーアドレスに適したオフィスデスクやチェアの導入を検討しましょう。オフィスには様々な部門の従業員がいることも考慮することがポイントです。例えば、オフィスの一部エリアには昇降デスクのエリアを設けたり、一部エリアにはカフェソファとテーブルを導入したり、オフィス内のエリア単位でコンセプトを定め、それに合わせた備品を導入しましょう。
フリーアドレスのデスクの選び方についてはこちらの記事でも紹介しています。
フリーアドレスの導入事例3選
ソーシャルインテリアが移転やレイアウト変更をサポートしたフリーアドレスの導入事例を紹介します。
株式会社ジャンプコーポレーション様
株式会社ジャンプコーポレーション様では、社員同士が自然に会話が生まれるようなオフィスコンセプトを実現すべくフリーアドレス制を採用しています。
株式会社mento様
株式会社mento様では、従業員一人ひとりのワークスタイルに合わせ、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド形式の働き方に合わせるため、フリーアドレス制を採用しています。
株式会社IPSポータル様
株式会社iPSポータル様では、今後の人員計画に合わせ、オフィス移転に伴いリモートワークの標準化や作業スペースの追加など会社のアップデートに対応できる形でフリーアドレス制を採用しています。
まとめ
今回はフリーアドレスを採用するポイントや事例についてご紹介しました。フリーアドレスは、生産性向上を目的とした新しい働き方を支えるオフィス形式です。従業員一人ひとりがフリーアドレス導入の目的とメリットを理解することが、導入運用にあたっての重要なポイントとなります。
フリーアドレス導入でお困りなら「ソーシャルインテリア」にご相談を!
フリーアドレスは、IT技術の浸透や働き方の多様化の影響を受けて、多くの企業で注目されています。従来の固定席に比べて自由度が高い分、私物の管理やチームの連携が難しいといった懸念点もあります。
フリーアドレスを導入を成功させ、効果的に運用するためには、自社に適したオフィスレイアウトや設備の設置が必要です。
ソーシャルインテリアでは、オフィス空間における課題解決をトータルでサポートします。フリーアドレスと相性の良いオフィス家具のサブスクを採用しており、組織規模や予算に応じた柔軟な提案が可能です。自社に最適なフリーアドレスの実現に向けて、まずは下記よりお気軽にご相談ください。