フリーアドレスとは
フリーアドレスとは、固定席を前提にせず、業務内容や一日の予定に合わせて座る場所を選べる方法です。席を個人に割り当てるのではなく、必要なときに必要な席種を使います。

フリーアドレスの目的
「雰囲気が良さそう」などという印象で検討してしまうと、導入後の振り返りが難しくなってしまいます。導入の目的を先に言語化し、何を改善したいのかを明確にします。社内コミュニケーション、コラボレーション、集中作業、スペースの使い方といった観点から、自社にとっての狙いをはっきりさせておくことが重要です。よくある目的として、以下が挙げられます。
社内コミュニケーションの活性化
固定席は同じ部署の相手に声をかけやすい一方で、部署ごとに情報がまとまりやすくなります。フリーアドレスは、用件に合わせて座る場所を選べる点が違いです。たとえば打合せのあるプロジェクトメンバーの近くに座る、レビューを依頼したい担当のそばに座る、相談が多い時間帯はカウンター席に寄る、といった形で、必要な相手との距離をその日ごとに調整できます。結果として、確認やレビューまでの行き来が短くなり、部署をまたぐやり取りがしやすくなります。
集中と協働の切り替えを促進
一日の中で、集中して進めたい時間と、打合せやディスカッションに当てたい時間が混在する場合もあるでしょう。フリーアドレスでは、個人作業に向いた静かな席、短い相談に向くカウンター、通話に適したブースを切り替えながら使います。必要な席種が同じフロアで揃っていると、移動の負担を抑えたまま切り替えができます。ここから先は、活動ごとに最適な場所を選ぶという考え方(ABW)にもつながります。ABWは、コミュニケーションを増やすといった目的や、フリーアドレスという手段そのものではなく、その間にある方針として位置づけます。詳しくはこちらの記事をご確認ください。
オフィス空間の有効活用
フリーアドレスの場合、基本的には従業員全員分の座席を用意する必要はありません。リモートワークを積極的に活用している社員の割合や外出機会の多い部署の割合が高い場合は、座席数を見直し、減らすことを検討してみましょう。
座席数を減らし、空いた空間をWEBミーティングブースや集中ブース用のエリアに変えるだけでも、オフィス空間を有効活用することができます。
オフィス空間を短期間で作り出すことが難しい場合はレイアウトから変えてみるのも一つの手です。オフィスレイアウトに関してはこちらの記事でも説明しています。
フリーアドレス導入で気をつけるポイント

フリーアドレスの導入可否や効果は、各社の業務内容や働き方によって左右されます。ここでは、検討の段階で見落としやすい点を三つに絞って整理します。
座席移動を頻繁に行える現場か確認
紙の書類や現物を日常的に扱う、窓口対応が常にある、保管庫やサーバールームとの行き来が多い、といった環境では、席を頻繁に移す運用が負担になることがあります。この場合はフリーアドレス単独ではなく、ペーパーレス化や資料・物品の保管方法の見直しを合わせて検討します。
また、リモート勤務を併用するなら、部署ごとに出社する曜日を決め、フロアでは緩やかな島を保つと、相談しにくさを抑えられます。新卒の育成がある部署は、一定期間は近くに座れる枠を残しておくと安心です。さらに、エンジニアやデザイナーのように外部モニターを必要とする職種では、全席モニターと電源を整えるか、どこでも電源を取れる配線やモバイルバッテリーの用意が必要となります。
マネジメント方法を再考
席が固定されない環境では、上長が同じ島で部下の様子を把握するやり方に頼りにくくなります。そのため、進捗の共有やレビューのタイミング、相談の入り口をあらかじめ決めておくことが重要です。会社として基本方針を示し、部署やチームがそれを自分たちの運用に合わせて具体化する流れにすると、やり方のばらつきを抑えられます。会議体の設定や記録の残し方も合わせて統一しておくと、席が離れていても進め方を合わせやすくなります。
人探しの負担を軽減
固定席では部署の島を目印に人を探せますが、フリーアドレスでは在席場所が日によって変わります。そのような環境で人を探す手間を減らすには、座席マップと在席表示の仕組みを整えることが重要です。
また固定電話の取次が多い職場は、クラウドPBXに切り替えて個人端末に着信できるようにすると、取次の往復が減ります。新人が取り次ぐ場面が多ければ、手順をまとめて誰にどう連絡すればよいかをすぐに確認できるようにします。
フリーアドレス導入の流れ
ここまでフリーアドレスの導入のポイントについてお伝えしました。次の項目では、実際にどのようしてフリーアドレスを導入すればいいのか流れについて説明します。
フリーアドレスの導入にあたって必要な流れは以下です。
- フリーアドレス導入の目的と対象者を決定する
 - フリーアドレスの座席数と運用ルールを設定する
 - デスクやチェアをはじめとした備品各種を検討する
 
フリーアドレス導入の目的を決定する
繰り返しとなりますが、まずはフリーアドレス導入の理解を促すため、導入する目的を定め、社内での共有を行いましょう。導入後の振り返り項目についても事前に議論できるとベストです。
フリーアドレスの座席数と運用ルールを設定する
フリーアドレスを社内の全部門や全部署に導入する企業は少なく、フリーアドレスの導入が必要な部署に採用していく導入方式が一般的です。導入対象となる部署の業務内容や特性も考慮して、フリーアドレスが適切なのか固定席が適切なのかを決めていきましょう。
フリーアドレスが適切な部署や導入しやすい職種は、得意先への訪問機会が多い営業職や企画部門、マーケティング部署などがおすすめです。オフィス内の在席率が低い座席をフリーアドレス化することで、有効スペースを生み出すことができます。
一方でフリーアドレスが適さない部署としては、総務人事、営業事務などが挙げられます。席を固定化することで、オフィス社内にいる全員が効率よくコミュニケーションを行うことができるためです。これらは一例として挙げましたが、工夫次第ではフリーアドレス化の検討余地もあります。
フリーアドレスを導入したオフィスでよくある悩みが収納です。フリーアドレスオフィスの収納については、こちらの記事で紹介しております。
デスクやチェアをはじめとした備品各種の検討
フリーアドレスに適したオフィスデスクやチェアの導入を検討しましょう。オフィスには様々な部門の従業員がいることも考慮します。例えば、オフィスの一部エリアには昇降デスクのエリアを設けたり、一部エリアにはカフェソファとテーブルを導入したり、オフィス内のエリア単位でコンセプトを定め、それに合わせた備品を導入しましょう。
フリーアドレスのデスクの選び方についてはこちらの記事でも紹介しています。
備品を検討する際は、デスクやチェアだけでなく、各席で電源(コンセント)やモニターを使えるかも確認してください。フリーアドレスのエリアでこれらが使えない席が多いと、不便に感じる社員が出る場合があります。全席にモニターを置けない場合は、持ち運び可能なモバイルモニターを共用備品として用意することも検討できます。必要な台数や配置は、今のデスク状況やモニターの使用状況をもとに判断しましょう。
フリーアドレスの導入事例3選
株式会社ジャンプコーポレーション|「来たくなる」オフィスとフリーアドレス

出社とリモートの両立を見据え、座席が固定化しにくいオフィスをつくりました。斜めに向き合える三角テーブルで声をかけやすくしたり、同じフロアに集中席と短い相談向けの席をそろえるなどの工夫も取り入れています。私物の置きっぱなしが減り、席を替えた後も作業に入りやすい流れになりました。
株式会社朝日ネット|増員に耐える座席と小会議の受け皿づくり

人員増で座席数と会議室の数が足りなくなった状況に対し、フリーアドレスに合わせて席種を再構成しました。小さな確認は小会議スペースで受け、長めの打合せは会議室へ移る運びに統一。在席表示と座席マップを用意し、探す・呼ぶの往復を減らしています。
モベンシス株式会社|全席モニターと電源で、席を替えても同じ仕事環境に

エンジニアとデザイナーが多く、外部モニターと電源が必須となる環境でした。全席にモニターを備え、どこでも給電できる配線に変更。通話ブースや短時間の相談席も同じフロアに配置し、移動後も作業を途切れさせないオフィスにしています。
まとめ
フリーアドレスは、IT技術の浸透や働き方の多様化の影響を受けて、多くの企業で注目されています。従来の固定席に比べて自由度が高い分、私物の管理やチームの連携が難しいといった懸念点もあります。
フリーアドレスを導入を成功させ、効果的に運用するためには、自社に適したオフィスレイアウトや設備の設置が必要です。
ソーシャルインテリアでは、オフィス空間における課題解決をトータルでサポートします。フリーアドレスと相性の良いオフィス家具のサブスクを採用しており、組織規模や予算に応じた柔軟な提案が可能です。自社に最適なフリーアドレスの実現に向けて、まずは下記よりお気軽にご相談ください。
また私たちが普段働いているフリーアドレスの環境を現地で体感してみませんか。オフィスツアーの形式で、家具のみならず内装や照明、AV機器、アート、アロマに至るまで、働き方に合わせた選び方と整え方をそのままお見せします。集中席から小会議、通話ブースまでの動線や、音と光の配慮もあわせてご案内します。







