生産性向上とは?業務効率化との違いや効果的な取り組みを解説
日本経済は労働人口の減少や国際競争力の低下をはじめ、多くの課題を抱えています。限られたリソースをうまく活用して企業が存続・成長していくためには、生産性の向上が欠かせません。
この記事では、生産性向上のために必要な取り組みや、生産性向上を図るときに懸念される問題点と必要な対策を解説します。

目次
生産性とは?

生産性とは、投入するリソース(ヒト・モノ・カネ)に対する生産量や付加価値の比率を指します。生産性は次の2つに大別されます。
- 物的労働生産性
- 付加価値労働生産性
物的労働生産性では、従業員1人当たり、または1時間当たりの生産量が求められます。付加価値労働生産性では、労働者1人当たりの付加価値額が算出できます。付加価値額は、売上高から売上原価を差し引いた「粗利」とみなすことも可能です。生産性を数値化することで、改善のための施策が検討しやすくなります。
生産性向上のために必要な取り組み

生産性向上のために必要な取り組みとして、次の7つが挙げられます。
- ITツールの導入
- 業務の効率化
- オフィス環境の整備
- 従業員個人のスキルアップ
- 社内コミュニケーションの活性化
- 働き方の多様化
- 適材適所の人材配置
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.ITツールの導入
ITツールを導入することで、業務の効率化が実現でき、生産性の向上にもつながります。たとえば、「紙での申請・承認作業が多い」といった場合は、ペーパーレス化の取り組みを推進することで、コストの無駄が省けます。
また、データで保管することでオフィススペースに余裕が生まれるといったメリットもあります。ITツールには、業務管理型・プロジェクト管理型・コミュニケーション型をはじめ、さまざまな種類があるので、自社の課題を解決できるアイテムを見つけることが大切です。
2.業務の効率化
業務の効率化というと、システムやツールの導入を検討することが多いかもしれません。しかし、日々の業務フローを見直すだけでも、改善が見込めます。たとえば、得るものが少ない形骸化した会議を廃止することで、本来の業務に集中しやすくなります。
業務の効率化では、ムリ・ムダ・ムラを取り除くことがポイントです。ムリ・ムダ・ムラが多い職場は、ミスやトラブルが発生しやすく、生産性も低下します。
3.オフィス環境の整備
オフィス環境も生産性に大きな影響を及ぼします。たとえば、照明や空調が適切に整備されていないオフィスでは、心身の負担が増加してしまいます。また、座り心地の悪いオフィスチェアを使っていると、腰や肩を痛める原因になりかねません。通路幅や作業スペースが狭すぎるオフィスは、人の行き来がしづらく、ストレスが蓄積する原因に。
企業は従業員が快適に働けるようなオフィス環境を構築する必要があります。人数が増えたり、事業の方向性が大きく変わったりしたときは、オフィス移転やレイアウト変更も選択肢に加えてみましょう。
4.従業員個人のスキルアップ
従業員1人当たりの生産性が向上すれば、組織としての成果も上げやすくなります。生産性向上のためには、従業員個人のスキルアップが欠かせません。
主体的に資格を取得したり、勉強会に参加したりする従業員もいますが、企業としてサポートできる仕組みを作ることも重要です。「資格手当を支給する」「勤続年数に応じて定期的に研修を開催する」など、スキルアップのための施策を展開することで、従業員も前向きに取り組みやすくなるでしょう。
5.社内コミュニケーションの活性化
生産性向上の取り組みとしては、社内コミュニケーションの活性化も効果的です。コミュニケーションがしっかりとれてると、お互いの業務が把握でき、フォローし合いながら仕事をスムーズに進めていくことができます。
コミュニケーションが円滑な職場は、良好な人間関係を築きやすく、優秀な人材の退職を防ぐことにもつながります。また、リフレッシュスペースなどの交流の場を設けることで、普段の業務では関わりの少ない人ともコミュニケーションが取れて、組織を超えたリレーションシップが生まれます。
6.働き方の多様化
かつては出社して自席で業務を行うのが一般的な働き方でしたが、時代の変化に伴ってワークスタイルも多様化しています。多様な働き方の例としては、次の6つが挙げられます。
- リモートワーク
- フレックスタイム
- 短時間勤務
- 副業
- 業務委託
- ABW
柔軟な働き方ができる企業は、「従業員のエンゲージメント向上が期待できる」「優秀な人材を確保しやすい」といったメリットがあります。ただし、仕事内容によってはリモートワークにすることで生産性が低下してしまうケースもあるため、自社に合った取り組みを導入することが大切です。
7.適材適所の人材配置
従業員のスキルや適性を把握したうえで配属先を決めることで、生産性の向上が見込めます。適材適所に人材を配置するためには、従業員の意思を尊重しなければなりません。
たとえば、簿記の資格を持っているからという理由だけで、経理に配属するのはリスクがあります。「経理以外の場所で経験を積みたい」と考えているのに、ずっと希望が通らない状況が続けば、仕事に対するモチベーションは低下します。人材配置では、会社と従業員の意見を擦り合わせて、双方が納得できる結論が導き出せるよう心がけましょう。
生産性向上を図るときに懸念される問題点と必要な対策

生産性向上のための取り組みを行うことは重要ですが、誤った施策は状況を悪化させる可能性があります。生産性向上を図るときに懸念される問題点としては、次の4つが挙げられます。
- 個々人の負担増大
- 従業員の健康リスク・離職リスクの増大
- モチベーションの低下
- 従業員からの不満の発生
事前に問題点を知っておくことで、必要な対策が講じやすくなります。施策を行うときは、導入後も定期的に見直しを行い、軌道修正しながら進めていきましょう。
1.個々人の負担増大
従業員1人当たりの生産性を上げることで、会社の収益性は向上します。一方で、業務量が増えすぎると、個々人の負担は大きくなります。
また、さまざまな仕事を並行して処理するマルチタスクには、得意不得意があります。得意な従業員であればスキルアップも見込めますが、不得意な従業員にマルチタスクを押し付けてしまうとミスの増大やスケジュールの遅延などを招きます。限られた人員で生産性の向上を目指すなら、ITツールの導入やムリ・ムダ・ムラを省く効率化の取り組みは必須です。
2.従業員の健康リスク・離職リスクの増大
生産性の向上が達成できたとしても、従業員の健康リスク・離職リスクが増大してしまっては、企業にとって大きな損失に繋がります。一見すると成功しているように感じる生産性向上の取り組みでも、その背景には「従業員の長時間労働」「休日出勤の常習化」といった問題が潜んでいるかもしれません。
勤務時間を伸ばすことで一時的に生産性が上がっても、中長期的に維持することは難しいため、過度な労働を強いていないかは必ず確認しましょう。疲弊する従業員が増えれば離職率も高くなり、採用の手間とコストも膨らみます。
3.モチベーションの低下
現場の状況を無視した上層部からのトップダウン施策は、モチベーションの低下を引き起こします。生産性向上の施策を考えるときは、現場の声を聞き、課題を正確に把握することが大切です。
便利に見えるITツールでも、実務に即していなければ、従業員の負担が大きくなるだけで高い効果は見込めません。頻繁な方針転換もモチベーション低下を招くため、施策に一貫性を持たせることを意識しましょう。
4.従業員からの不満の発生
使い勝手の悪いオフィスは心身ともにストレスとなり、従業員から不満の声が上がりやすくなります。たとえば、レイアウトを変更することで生産性は大きく変わりますが、従業員の理解が得られないまま進めると、トラブルが発生しやすくなります。
レイアウト変更による生産性向上を目指すなら、ストレスのない動線や、オンオフを切り替えやすいエリア区分を考えて計画することが重要です。
生産性を上げるオフィスづくりなら「ソーシャルインテリア」にご相談を

業務の効率化や従業員個人のスキルアップを行うことで、生産性の向上が期待できます。生産性向上の施策では、事前に現場へのヒアリングを行うことで、企業と従業員双方によって最適な取り組みが実現しやすくなります。
作業環境が原因で生産性が低下しているなら、レイアウトやオフィス家具の見直しも検討してみましょう。ソーシャルインテリアでは、お客様の課題に合わせて最適なレイアウトをご提案します。身体の負担が少ないオフィスチェアやリラックスしやすい照明など、幅広くアイテムを取り扱っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
