企業がオフィス移転を考える理由は、社員増加やコスト削減、ブランディングなどさまざまです。近年の働き方の多様化を受けて、オフィスの機能性を見直すためにオフィス移転を行うケースも増えています。目的に合ったオフィス移転を実現できれば、生産性の向上や業績アップといった効果が期待できます。

本記事では、オフィス移転の企業一覧を紹介するとともに、よくある移転理由やメリットについて解説します。オフィス移転の流れやおおまかな費用など、自社オフィスの移転を検討する上で役立つ情報もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

オフィス移転した企業一覧|事例・画像付き

企業のオフィス移転事例を紹介します。オフィス移転を決めた理由や新しいオフィスでのテーマやこだわり、移転前後に得られた変化などを解説しますので、自社のオフィス移転やオフィススペースの構築にお役立てください。

株式会社明電舎|

株式会社明電舎では、社会的価値のある製品開発を行うための共創拠点「デジタル・ラボ」において、オフィス家具のサブスクリプション導入を決定しました。

「既存のブランドイメージや過去の実績にとらわれず、新たな挑戦に取り組む」という空間コンセプトを反映し、あえてコーポレートカラーを使わずに新しいスペースを構築。目的が異なる3つのエリアでは、基本的な使用ルールのみを決め、自由度の高い活用方法を実現しています。

サブスクリプションでは、多彩なテイストのオフィス家具をレンタルで利用でき、気に入ったものは購入もできます。また、契約満了前でも一部の家具を入れ替えられるプランでは、定期的な植栽の変更も含めて、常に変化のあるスペースづくりが可能で、デジタルラボのコンセプトにぴったりだったそうです。

株式会社明電舎|

株式会社mento|手狭なオフィスからコラボレーションが実現できる空間に移転

コーチングプラットフォーム事業を手掛ける株式会社mentoでは、以前より出社とリモートワークのハイブリッド型の働き方を採用していました。事業成長に向けて組織力をより一層高める時期にあることを踏まえ、全員が集まれるワークスタイルを重視して、オフィス移転を決めたそうです。

「みんなで集まれるスペース、キャンプファイヤーみたいな場所」というこだわりを、くつろげる広いソファを置く形で再現。ソファのサイズが大きい分、スペースを取ってしまうと思われがちですが、ソファがあることで社員が気軽に顔を合わせやすく、会議や交流のスペースとしてよく使われていることに満足されています。

執務エリアを含むオフィスレイアウトに関しては、「日常的な会話からイノベーションが生まれることを意図したゾーニング」というリクエストを受けて、全体が見渡せる一体感はキープしたまま、家具の配置で目線を遮るゾーニングを意識しました。執務エリアの隣に設置したファミレスブースは気軽にミーティングができ、社員同士のちょっとした会話が生まれるなどコミュニケーションが促進されたなど、良い変化を感じられているそうです。

株式会社mento|手狭なオフィスからコラボレーションが実現できる空間に移転

TieUps株式会社|シェアオフィスから専用オフィスへ移転

プロフィールサイト「lit.link」などのオンラインサービスで知られるTieUps株式会社は、事業拡大に伴う人員増加のため、より広いスペースが必要になりました。また、業務上のコミュニケーションが取りにくいという課題を解消するために、シェアオフィスから自社専用のオフィスへ移転を決めました。

オフィス移転の際は、組織の成長にあわせて必要な家具を気軽に取り入れられるオフィス家具のサブスクリプションを導入。オフィスのサブスクリプションなら、おしゃれな家具を気軽に利用できるだけでなく、再度オフィス移転をするときも家具を破棄せずに済むという環境配慮のメリットもあります。

執務スペースは、部署を超えた交流や会話が生まれるようフリーアドレス制にし、集中スペースを別に設置することでメリハリをつけています。また「アットホーム感を大事にしたい」という要望を反映し、定期メンテナンス付きのグリーンやバランスボールなどバラエティ豊富なアイテムを配置しています。

TieUps株式会社|シェアオフィスから専用オフィスへ移転

株式会社iPSポータル|社員が出社したくなるオフィス作りをするため移転

株式会社iPSポータルは、iPS細胞を含むCell-Tech事業やiPSテクノロジー事業支援を手掛ける企業です。事業拡大に伴う人員増加を見込んで、インキュベーション施設から自社オフィスへ移転する際に、「月曜日に会社に行きたくなるオフィス」というテーマを掲げられました。

未来への重要な投資としてのオフィス移転を実現するために、一般的なオフィス家具では感性を刺激されるアイテムが少なく、コンセプトには合わないため、遊び心のある家具が充実したサブスクリプションを採用されました。

また、オフィス全体の統一感がなく雑然としているという課題を、オフィス全体のデザインから家具選定までのトータルコーディネートを利用して解消。機能性とデザイン性のバランスが取れた新しいオフィスは、社外の人からも褒められることが多いそうです。

株式会社iPSポータル|社員が出社したくなるオフィス作りをするため移転

株式会社RECEPTIONIST|初期費用をおさえつつ理想のオフィスに移転

クラウド受付システム「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」を開発、提供する株式会社RECEPTIONISTでは、スタートアップやベンチャーならではの「おしゃれなオフィスを低コストで実現」というリクエストにより、オフィス家具のサブスクリプションを導入。

インテリアのベースを内装業者と相談しながら、予算内でリクエストに合ったおしゃれなオフィスを提案できるため、時間と費用の節約につながったそうです。「オープンで開放感ある空間」というポイントを押さえ、風通しの良い軽やかな空間が実現しています。

多目的に使える受付のオープンスペースは、柔軟な空間利用ができるように心地よさのあるカラーやアイテムを配置し、機能面とのバランスも確保しています。

株式会社RECEPTIONIST|初期費用をおさえつつ理想のオフィスに移転

オフィス移転を行う理由

社員が増加してオフィスが手狭になったり、生産性をもっと向上したいと考えたりしたときに、オフィス移転を行うのが一般的です。その他にも、オフィス移転を行うことで複数のフロアや部署にまたがって利用している重した家具を削減できたり、複数の拠点を一か所に集約したりすることで、コストを削減できる利点もあります。その他にも、企業ブランディングを向上するためにオフィス移転を行う企業も。本章では、企業がオフィス移転を行う主な理由をご紹介します。

社員が増えてオフィスが狭くなった

企業のオフィスを移転する理由の中でも、「社員が増えてオフィスが狭くなった」ケースは多いです。業績向上や事業拡大に伴って社員が増えてオフィスが手狭になったときや、増員の採用計画が立てられたタイミングで移転を行います。

社員数が増えたのに手狭なオフィスのまま放置していると、社員一人ひとりの就業スペースが確保しきれず、ストレスがたまったり、業務効率が落ちたりするリスクがあります。将来的に社員数が増えていく見込みがある場合は、早めにオフィス移転を検討すべきでしょう。

生産性を高めたい

社員の生産性アップを目的として、新しいオフィスに移転するケースも多く見られます。仕事の生産性は働く環境と深く関係しています。フロアが狭いせいで周囲の声や雑音が気になり作業がしづらかったり、ミーティングルームや休憩室などを分ける広さがなかったりすると、生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。

広くて明るいオフィスへ移転して、リラックスできる空間やコミュニケーション用スペースを設けられれば、社員が気持ちよく働けるオフィスを構築でき、生産性の向上が期待できます。

社員のモチベーションを上げたい

オフィスの移転は、社員のモチベーションにも大きく関係しています。手狭で使い勝手の悪いオフィスは、社員がストレスを感じやすく、士気が下がるリスクもあります。

一方で、駅近にオフィスを移転したり、建物のグレードやオフィスデザイン、レイアウトなどにこだわることで、社員のモチベーションを高める効果が期待できるでしょう。

ハイブリッドな働き方に適応したい

近年の働き方改革やコロナ禍の影響などにより、出社とリモートを組み合わせたハイブリッドな働き方を取り入れる企業が増えています。新しい勤務スタイルに合ったオフィス実現のために、オフィス移転を検討する企業も少なくありません。

リモートワークや自宅勤務などで出社率が減少したことを受けて、あえて小さめのオフィスに移転したり、レンタルオフィスに切り替えたりする選択肢もあります。自社におけるニーズや状況の変化に合わせて働く環境を見直し、適切なオフィスを選ぶことが重要です。

コミュニケーションを活性化したい

リモートワークや在宅勤務の浸透に伴い、社員同士が直接顔を合わせる機会が減っています。その結果、社内におけるコミュニケーションの機会が減少し、ノウハウや知識の共有、精神面・身体面での管理の難化、社員間のつながりの希薄化などの課題が浮き彫りになっています。

オフィス移転により、リフレッシュスペースやミーティングスペースといったコミュニケーション用の空間を設けることで、社内交流の活性化が期待できます。部署の垣根を超えた気軽なやり取りから、新しいコラボレーションやイノベーションが生まれる可能性もあるでしょう。

事業縮小・コスト削減したい

オフィスコストの負担を軽減する目的で、賃料の安いオフィスに移転する方法も有用です。業績悪化などによって賃料の支払いが厳しくなった場合、固定費の大きな割合を占める賃料をカットし、コストを抑える必要があります。

都心部のオフィスよりも賃料相場の安い郊外に移動するだけでも、維持費を抑えられます。また、ビルグレードやオフィスレイアウト、オフィス家具を見直すことで、社員満足度を維持しながらコストカットすることも可能です。

企業イメージをアップしたい

オフィスの立地やデザインは企業イメージに直結するため、ブランディングを目的としてオフィスを移転するケースも少なくありません。IT企業は六本木や渋谷、銀行は丸の内・大手町周辺というように、各業種の一流企業が集まるエリアが存在します。

同業種で有名な地域に移転することで、事業成長をアピールでき、企業のイメージアップにつながります。大企業や一流企業が密集している場所にオフィスを移転すれば、知名度や社会的信用が高まる可能性もあるでしょう。

オフィス移転の進め方

オフィス移転には、引っ越し業者や内装会社、移転先のビル関係会社まで多くの人と調整が必要になるため、計画的に準備を進めることが大切です。

オフィス移転における基本的な流れは、以下6つのステップで進めます。

  1. 移転目的の明確化
  2. 新オフィスの要件整理
  3. 移転業者の選定と契約
  4. 関係業務の洗い出し
  5. 内装・レイアウトの確認
  6. 引っ越し&移転後の効果検証

オフィスの規模や移転場所などの条件にもよりますが、移転を決めてから新しいオフィスへの引っ越しが完了するまで、およそ6ヶ月以上の期間を要します。また、オフィスの退去告知は通常3〜6ヶ月前までに行うため、前もってオーナーへ退去告知をしておく必要があります。

オフィス移転の詳しい流れやそれぞれの段階における注意点については、下記記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

オフィス移転をスムーズに行うには?スケジュールや準備物・手順を解説

オフィス移転の費用

オフィス移転時にかかる費用は、現在入居しているオフィスの退去費用、新しいオフィスの入居費用、引っ越し後の引き継ぎ費用の3つに分けられます。それぞれの内訳と目安金額をまとめました。

実際の金額は、オフィスの坪数や社員数によって変動するため、1つの目安として参考にしてください。

【旧オフィス退去にかかる費用】

原状回復工事費50坪まで:約3〜5万円/坪50坪以上:約5〜10万円/坪
不用品・廃棄物の処理費用2トン車:約7〜8万円4トン車:約12〜15万円
賃料​​​​3〜6ヶ月前の退去予告に基づき計算

【新オフィス入居に関する費用】

引越し費用約2〜5万円/社員1名
敷金50坪まで:賃料4〜6ヶ月分50坪以上:賃料6〜12ヶ月分
礼金賃料1〜2ヶ月分
仲介手数料賃料1ヶ月分
保証会社加入料賃料1ヶ月分
火災保険料約2万円/2年契約
前賃料入居月+翌月分の2ヶ月分の賃料
内装工事費約10〜40万円/坪
設備・通信工事費約5〜15万円/坪
備品・家具購入費約5〜30万円/社員1名

【引っ越し後の引継費用】

取引先への告知費用約1〜2万円/社員1名(名刺や書類、営業ツールなどの住所変更費用)
移転に伴う届出書類作成費約10〜25万円

オフィス移転した企業一覧を参考に移転の検討を進めよう

本記事では、オフィス移転の企業一覧を事例とともにご紹介しました。オフィス移転を行う理由には、事業拡大による人員増加や生産性の向上のほか、ハイブリッドな働き方への適応や企業ブランディングなど、さまざまなものが挙げられます。オフィス移転は6ヶ月〜1年前後の長いプロジェクトとなるため、計画的に準備を進めることが重要です。

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