コラボレーションスペースの具現化

ビジネス・キャリア・人間関係などあらゆる悩みを抱える人に、専門のトレーニングを受けたプロコーチを紹介するパーソナル・コーチングサービスを提供する株式会社mentoのオフィスデザインを担当いたしました。


Direction:Yukine Koshi
Interior Design:Yuki Kurosu


株式会社mento マーケティング/カスタマーサクセス 顧 文瑜 様

「夢中をふつうにする」をビジョンに掲げ、コーチング市場の拡大を目指す

株式会社mentoは、コーチングのプラットフォームを運営しており、toBとtoCの2軸で展開をしています。
コーチングとは、対話によって相手の目標達成をサポートする手法で、mentoでは多くの認定プロコーチが登録しています。

弊社は事業フェーズでいうと、2022年4月にシリーズAの資金調達を行い、次はシリーズBに向かう段階となります。まさにPMF(プロダクトマーケットフィット)*1 の状態に向けて、社員一同で事業成長に取り組んでいるところです。 *2

はじめは個人向け(toC)を主に立ち上げましたが、顧客からの相談の中で法人事業でのニーズを発掘しました。法人向け(toB)は継続収益が多くニーズが顕在化していることもあり、現在は企業様の人材育成としての導入提案に軸足を置いて力を入れています。

カルチャーに合わせた移転計画

まず移転理由については、事業成長に向けて人に投資する段階のため、単純にオフィスが手狭になってしまったことです。みんなで集まりながら、対話を通じて事業の方向性を擦り合わせていくことを大事にしているカルチャーです。やっぱりみんなでわいわい仕事するのって楽しいよね、という思いもあり、一堂に介してオフィスを活用することを考えていました。

もともと出社とリモートワークのハイブリッド形式ですが、月曜日と金曜日を原則社員は出社の日としています。まだまだ一丸となって目標に向かっていく事が大切な現在だからこそ、コラボレーションの最大化を重視したいという意図が背景にあります。

「毎日出社ではないのに、大きなオフィスにコストをかけるのはどうなのか?」という議論ももちろんありましたし、しばらくは出社日をずらすことも可能です。ただ、全員が車座になって集まれるワークスタイルに価値を置きたいし、そういう働き方をしたい。そんな思いから今回のオフィス移転を決めました。

移転により、固定席からフリーアドレスになりましたが、今の所は全員分の席があるので、特に混乱もありません。まずはやってみて、様子を見ながらオフィス運用をしていきたいと思っています。これからまた人数が増えていったとしても、オフィス全体の運用を工夫すれば、常にオフィスには人がいる状態を維持できる余裕があります。

みんなが集まるオフィスに必要な要素

以前のオフィスではスペースの都合上、全員が集まる場所がとれないこともあり、全社会議もオンラインで行っていました。オフィス内に集まっているメンバーも顔を合わせることなく、自分のパソコン画面に投影された資料を見ている状況。そのため、新しいオフィスにおいては、お互いの顔をみながら一堂に会することができる広い場所をひとつ持つことを必須条件としていました。

執務エリアは自分の作業をする場所としてもちろん大事ですが、それ以外のエリアはやはりコラボレーションを重視しています。そのため、アイデアが生まれたり、新しい開発方針ができたり、会話からイノベーションが生まれる場所になることを意図したゾーニングを依頼をさせていただきました。できるだけ”壁やパーテーションで仕切る”というよりも、家具の配置で目線を遮ることによって、全体が見渡せる一体感をそのままに、ゾーンを上手く作ることを意識しました。

オフィスのレイアウトは、執務エリアのすぐ近くにファミレスブースが隣接しており、気軽にミーティングができて、ちょっとした会話が促進される仕組みになっています。以前と比べるとすごくコミュニケーションが取りやすくなったと感じます。

執務エリアとそれ以外の場所を自由に行き来をして、オンライン会議でこもったり、カフェのようにリラックスするなど、気分転換に使えるスペースとしても機能しています。

コラボレーションスペースの具現化

今回、キャッシュフローのメリットがあるということでソーシャルインテリアさんへご相談をさせていただきましたが、一定予算内に収められる方法を見い出せそうだったため、最終的には、一括購入にシフトしました。コストを抑えるため、大きくオフィスを改修して利用するというよりは、最低限の内装工事に留めて、家具で上手くゾーニングをしていくという予算利用の方針がありましたので、その中でも最大限のパフォーマンスを出していただけたため成し得たことだと思います。

家具のセレクトでオフィスのカラーを定めるというところで、コストに対する選択の幅を持たせながら、要望の内容をソーシャルインテリアさんなりの解釈をしていただいた提案性にも魅力を感じました。オフィスっぽくない程よい抜け感のある提案は他社にはなく、要望していた内容も充分に叶えていただきました。

みんなで集まれるスペース、キャンプファイヤーみたいな場所、というこだわりのキーワードを、広いソファスペースを置くという形で解釈いただいたのが、一番印象に残っています。ソファでこれだけのスペースを取ってしまうのは、スペース効率的にも、オフィスの運用的にも勇気がいるので悩んだ部分もありました。今では、顔を見ながら会議をしたり対話するスペースとしてよく使ってくれている場面を見ると、本当に良かったなと思います。

また、かなりタイトなスケジュールだったにも関わらず、いろんな都合をくみ取っていただきながらご進行いただけました。

事業推進 × カルチャーで ”mentoらしさ” を価値に

これから重要となるのは、ビジネスコーチングという領域におけるmentoのらしさと良さ、それからmentoが選ばれる理由をしっかりつくっていき、そういった価値を実感していただけた結果として、より多くの企業様に導入し続けてもらう状態を作っていくことです。それがtoC事業の拡大にもきちんと貢献すると思っています。

そのためには、プロフェッショナリティを持ってひとりひとりが事業推進していく主体性と、忖度せずに思ったことを率直に伝えた上で重要なことはみんなで話し合って決めるフラットな文化、この2軸のバランスがとても大事です。

企業カルチャーとしては、これから事業成長するにあたってメンバーが増えていったとしても、ここでお伝えしたようなmentoの良さが、トレードオフされることなく薄まらないようにすることが、私たちのチャレンジだと思っています。


*1 PMFとは「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」のこと。 優れた製品やサービスは、市場が存在してはじめて価値を持ちます。PMFは、国内外のスタートアップで重要視されている達成指標です。

*2 投資フェーズにおいて、シリーズAを「アーリー期」、シリーズBを「ミドル期」と考えることが一般的。
アーリー期~ミドル期とは、スタートアップとして新しく始めた事業について「顧客を獲得した際に得られる将来も含めた収入が、顧客獲得コストを上回っている状態が達成している、または達成が見込まれる」状態を指します。この状態のことをPMFが成立していると呼ぶこともあります。

株式会社mentoについて

ToBとToCの両方向でコーチング事業を展開。ToC事業ではミレニアル世代のビジネスマンを中心にビジネス・キャリア・人間関係など、あらゆる悩みを抱える人に、専門のトレーニングを受けたプロコーチを紹介。ToB事業では、ハイレベルなプロのコーチングを人事担当者の工数を削減しながらリーダー育成・パフォーマンス向上を実現に貢献。
「夢中をふつうにする」をビジョンに掲げ、コーチングとテクノロジーの力で日本の主観的ウェルビーイングをNo.1にすることを目指している。

Azusa
Kurabayashi

編集後記(広報担当より)

事業拡大を見据えたオフィス移転のブリーフィングが記載された書類には、企業のカルチャーを反映した要望がほとんど完璧に言語化されていて驚きました。移転後に果たしたいイメージや、ゾーニング、コンセプト、家具の機能における使い方にまで…!私たちインテリア会社は、ただ要望を満たす内容やデザインにこだわるだけではなく、実際に形にするための予算や納期にあわせた総合的な提案を行う責任を改めて感じました。お客様があっての空間づくりですので、今後もこのオフィスでの成長を楽しみにしています。今回のインタビューにおいても無駄なくお伝えいただき、改めて濃い内容になりました。お忙しいところ本当にありがとうございました!