グループアドレスをオフィスに取り入れるメリットは?導入手順を紹介

グループアドレスとは、部署やチームなどの少数グループ単位で行うフリーアドレスの一種です。全社員でフリーアドレス化するよりも導入ハードルが低く、グループアドレスを取り入れようと考える企業も増えています。

本記事では、グループアドレスの特徴やフリーアドレスとの違い、メリットや導入手順などを解説します。オフィスの座席制度について理解を深め、より快適な職場環境を構築するためにぜひお役立てください。

グループアドレスとは

グループアドレスとは、部署やチーム単位で使用する座席エリアを決め、その範囲内で自由に席を選ぶワークスタイルを指します。その日の気分や仕事内容にあわせて自由に座席を選べるフリーアドレスと、一つのエリアに同部署・同チームのメンバーが集まる座席固定制の要素、どちらも兼ね備えた新しい働き方といえます。

フリーアドレスやABWとの違い

グループアドレスとフリーアドレスの違いは、座席の自由度やエリアの指定有無にあります。グループアドレスは部署やチームごとにエリアが割り当てられ、その範囲内で席を選びます。一方、フリーアドレスの場合、基本的にはオフィス内のすべての席から座席を決めるため、グループアドレスよりも自由度は高めです。

また、ABW(アクティビティベースドワーキング)は、オフィス外のカフェや自宅などを含め、活動や目的に合った場所を選んで働くワークスタイルです。オフィス内で指定された範囲内での自由席を意味するグループアドレスとは、根本的に異なります。

フリーアドレスやABWについて、詳しくは下記記事をご覧ください。

フリーアドレスとは?導入のメリットと失敗しないためのポイントを紹介

「ABW(アクティビティベースドワーキング)とは?導入メリットやフリーアドレスとの違いを紹介

グループアドレスのメリット

グループアドレスを導入することで、働く社員や企業にさまざまなメリットが期待できます。ここでは、グループアドレス導入による主な7つのメリットについて解説します。

マネジメントしやすい

グループアドレスは、社員のマネジメントがしやすい働き方です。フリーアドレスでは、社員がオフィス内に散らばって座っているため、部下の離席や遅刻などに気づきにくくなります。業務状況をリアルタイムに目視確認できないため、コミュニケーションがとりづらいと感じる方も少なくありません。

対して、グループアドレスは特定のエリアに社員が集まっているため、各メンバーの様子を目視で把握できます。気になることがあれば、すぐに声掛けできるため、コミュニケーションがとりやすく従来型のマネジメントがしやすいでしょう。

部署やチームのコミュニケーションをとりやすい

グループアドレスにより、部署やチーム内のコミュニケーションや交流を促すことが可能です。固定席では、席が離れている社員同士が話す機会は物理的に限られていますし、フリーアドレスでは同じ部署やチーム内のやり取りが減ってしまいます。

一方、グループアドレスでは、特定のエリアに同部署・同チームなどの社員が集まるため会話がしやすいメリットがあります。決められたエリア内であれば、日々座席を変えても良いため、同じ部署内でさまざまな人とコミュニケーションがとれる点も魅力です。

自由度が高い

グループアドレスでは、業務内容や部署に合わせた自由度の高い運用が可能です。部署ごとにフロアやエリアを固定するだけでなく、「曜日ごとにエリアを移動する」「特定の部署は同じフロア内で自由に選択できる」などルールを細かく決められます。

ほかにも、「人事・総務・経理といった執務内作業の多い職種は固定席のまま」「外出の多い職種や、チーム内の会議が多い部署のみグループアドレスにする」など、職種や部署の特徴にあわせて、部分的にグループアドレスを取り入れることも可能でしょう。

レイアウト変更がスムーズになる

グループアドレスを導入すると、オフィスのレイアウト変更をスムーズに進められます。従来の固定席とは異なり、グループアドレスでは座席ではなく個人ロッカーで荷物を管理することが多い傾向にあります。そのため、急なレイアウト変更のときでも、座席上の荷物を移動する必要がないためです。

くわえて、キャスター付きや連結可能なデスクを導入しておけば、より柔軟にレイアウト変更ができます。組織変更や新規事業の立ち上げ、社員の入れ替えが発生しやすく、頻繫にレイアウト変更を行いたい企業は、グループアドレスとの相性がよいでしょう。

人材教育をしやすい

グループアドレスは、社員の人材育成にも役立つ制度です。フリーアドレスでは新入社員が先輩社員の近くに座る機会が減り、先輩の仕事を見て学んだり、直接仕事を教わったりしづらい場面もあるでしょう。一方、グループアドレスであれば、同じエリアに同部署・同チームの先輩社員が座っているため、質問もしやすくオンボーディングを促進しやすいはずです。

導入しやすい

グループアドレスは、フリーアドレスよりも導入しやすい点もメリットです。「フリーアドレスは自由度が高すぎてマネジメントがしにくそう」と感じている企業も、自由度と管理面のバランスをとりやすいグループアドレスは導入ハードルが低いでしょう。

そもそも、環境変化が苦手で、固定席がなくなることに不安を抱く方も少なくありません。グループアドレスであれば、ある程度エリアやデスクが指定されている安心感もあり、社員に与えるストレスも軽減できるでしょう。

オフィスコストを削減できる

固定席を作らないグループアドレスは、オフィスコストの削減にも役立ちます。固定席がなく、荷物は必ず指定の棚や個人ロッカーに収納する習慣がつけば、書類や資料の削減にもつながります。

また、グループアドレス導入に伴い席数を減らして、オフィスの省スペース化を促進できれば賃料や光熱費もカットできるでしょう。

グループアドレスの導入手順

ここからは、実際にグループアドレスを導入する手順を紹介します。導入前に検討すべき事項や運用ポイントをまとめていますので、自社での導入を検討する際に参考にしてください。

目的を決める

まずはグループアドレスを導入する目的を明確にします。目的や目標を決めないまま始めてしまうと、導入後に社員から不満が発生し、効果的に運用できなくなる可能性があります。

例えば「営業部署やマーケティング部署でコミュニケーションを増やし、チーム内の情報共有量増を促進させる」といった具体的な目標を設定します。事前にアンケートなどで現場の意見を聞いておくと、社員が納得できる運用方法が明確になり、スムーズな導入につながります。

対象部署・チームを決める

どの部署やチームでグループアドレスを導入するかを決めます。部署ごとに運用できるグループアドレスは、全部署に採用する必要はありません。例えば、事務作業が中心で仕事で使う道具が多い部署は、デスクの移動や片付けが負担になる可能性があります。

社員の業務内容や状況とともに、向き・不向きも考慮し、場合によってはグループアドレスを導入しない部署を決める必要があります。

レイアウト・必要な家具を検討する

グループアドレスを導入する部署が決まったら、レイアウトや必要な家具を検討します。席数やインフラ環境、荷物や書類の保管場所などを把握し、デスクや収納の配置を決めていきます。

グループアドレス向けのデスクには、用途に合わせてレイアウトを変えられるロングデスクやラウンドデスク、ミーティングデスクなどがあります。また、移動やレイアウト変更がしやすいキャスター付きや、連結機能が付いたものも向いています。

フリーアドレス用のデスクについて、詳しくは下記記事で解説しています。

フリーアドレスデスクの選び方は?おすすめのデスクの種類と機能も紹介

ルール決め・社内周知

マニュアルや運用ルールを策定し、社内に周知します。グループアドレス導入に伴うリニューアルプロジェクトの担当チームの選定や、保管する荷物の整理整頓などを明確化して、仕組みを整えます。

社員に不満や不明点が残らないように、必要に応じてセミナーや説明会を実施して、新しい働き方を浸透させることが大切です。

導入・導入後のフィードバックを継続する

グループアドレスは導入して満足せず、定期的に効果を検証し、運用ルールを見直すことが大切。定期的に利用している社員の意見を聞き、導入前に想定した用途で使われているか、不便や不満はないかなどの確認も重要です。

社員からのフィードバックをもとに課題を洗い出し、改善しながらオフィス環境をアップデートしていきましょう。

さまざまな座席制度を検討してみよう

グループアドレスは、部署やチームごとの指定エリア内で自由に席を選ぶワークスタイルです。フリーアドレスよりもコミュニケーションやマネジメントがしやすく、導入のハードルが低い点が特徴です。

また、レイアウト変更にも対応しやすく、人材教育の促進やコスト削減といった効果も期待できます。フリーアドレスやABW、グループアドレスなどの違いを理解して、自社オフィスに適した座席制度を検討しましょう。