執務スペースの快適性は社員のパフォーマンスと直結します。フレキシブルな働き方が定着しつつある近年、執務室の在り方が変わり、多様性と柔軟性の高い執務スペースがトレンドとなってきました。執務スペースを再構築する際は、まず求められる付加価値を把握しなければなりません。
本記事では、ご担当者へ向けて執務スペースのトレンドをまとめました。導入事例も紹介するので、自社に合うレイアウトがイメージしやすくなるはずです。
目次
執務スペースとは?
執務スペースとは、会議室・応接室など仕切られた部屋を除いた、業務を行うための場所です。主に個人のデスクや収納家具が設置されています。
ただし、近年は従来の執務室とは異なり、コミュニケーションの促進や健康への配慮などの付加価値を意識した設計が増えていることから、執務室と分けて考えられることもあります。
変化しているオフィスと執務スペースの在り方
2020年に新型コロナウイルス感染症が発生して以降、予防対策としてテレワークが急速に普及しました。ワークライフバランスが実現しやすくなった一方で、オフィスに余剰が生まれたり、コミュニケーションが停滞したりとオフィスのトラブルに頭を抱える企業は少なくありません。
2023年時点では感染予防対策が緩和されて、出社回帰の兆しがみられるようになりましたが、テレワークに慣れて出社しない働き方を望む声も多くあります。そのため、テレワーク廃止による離職者の増加も懸念されています。
テレワークの支持拡大は、パンデミックの影響だけでなく働き方改革の浸透も要因となっているため、現代の働き方に合うオフィスと執務スペースの在り方を見直すことが重要です。
近年の執務スペースのトレンド
近年の執務スペースは、今までの執務室のようにただ業務を行うだけの場所ではありません。働きやすさや快適性、コミュニケーションの活性化にこだわっている点が特徴で、具体的には6つのトレンドが挙げられます。
- 非執務スペースの拡大
- 社内コミュニケーションの重視
- リフレッシュ・リラックスできる空間の確保
- 集中スペースの確保
- エリアや用途に合わせた家具や素材の採用
- 健康的に働けるオフィス環境の整備
ここでは、それぞれのトレンドを解説します。
1.非執務スペースの拡大
近年の執務スペースには、個人のデスクを並べて業務を行う以上の機能が求められています。社員の多様なニーズに対応できるように、実は個人のデスクを配置する面積は減少しています。
具体的には、1on1ミーティングや立ち話ができる打ち合わせスペースや休憩スペースといった、多目的に利用できる非執務スペースを設置するのがトレンドです。その他、オンライン会議がしやすいように、防音ブースの設置やビデオ会議設備の充実が求められています。
2.社内コミュニケーションの重視
テレワークで対面の機会が減少したことで、近年の執務スペースには社内コミュニケーションの要素が重視されるようになりました。
たとえば、他部署やチームとのつながりを深めるには、フリーアドレス制やフリースペースの導入が有効です。執務スペースの中央に休憩エリアを設置すれば、より気軽にコミュニケーションが図れるでしょう。
その他、ファミレス席などのオープンなミーティングスペースを設置すれば、個室よりも心理的安全性が高いため活発なディスカッションが行えます。
3.リフレッシュ・リラックスできる空間の確保
作業効率を上げるには気分転換が必要です。1時間おきに10~15分の休憩を設けるのが理想ですが、休憩スペースへ移動するまでが面倒に感じてしまい、従来のオフィスでは自分のデスクで休憩をとる人も少なくありませんでした。
近年の執務スペースには、気軽にリフレッシュ・リラックスするための設計がなされています。
快適性が高い空間のポイントは以下の通りです。
- 大きな窓や高い天井などで開放感を出す
- グリーンを取り入れて視覚的な癒しを演出する
- 靴を脱いでくつろげる小上がりなどを設置する
- 仮眠スペースやオフィスラウンジを設置する
- トレーニングルームや卓球台など体を動かせるアイテム・スペースを設置する
企業によって求められる機能やスペースは異なります。ミスマッチがないように導入時には社員の要望を取り入れましょう。
4.集中スペースの確保
オープンスペースの導入や非執務スペースの拡大はコミュニケーションを促進する一方で、話し声や足音など雑音が入りやすい・プライバシーの確保が難しいなど、集中力低下の原因にもなります。また、個人のデスクがないと落ち着かないという人もいるでしょう。
そこで、作業に没頭できる集中スペースを設ける工夫も、トレンドの1つに挙げられます。執務スペースは、本来業務を遂行する場所なので、業務に支障をきたしては本末転倒です。
集中スペースを確保するには、雑音を遮断できる防音ブースの導入や、パーソナルスペースを保ちやすいパーソナルソファ・カウンターの設置が有効です。視線を避けられるパーテーション・パネルデスクの活用も検討しましょう。
5.エリアや用途に合わせた家具や素材の採用
従来は、オフィス内で統一したオフィス家具を使うのが一般的でした。しかし、エリアのニーズに合ったオフィス家具・素材を採用すると、パフォーマンスの向上が期待できます。たとえば、カジュアルなミーティングスペースにソファ・ファブリック生地・木製家具を配置すると、リラックス感が増して発言しやすい雰囲気を生み出せます。
エンジニアや事務のような長時間のパソコン作業を行う職種の場合は、体の負担を軽減する高機能チェア・ハイバックチェア、デュアルモニターにも対応可能な広めのデスクを採用すると生産性向上が見込めるでしょう。
短時間のデスクワークには、省スペースのローバックチェア・小さめのデスクが適しています。増員が見込まれる場合は、増連可能で配線機能があるフリーアドレスの導入も検討しましょう。
6.健康的に働けるオフィス環境の整備
人手不足のほか、多様な働き方が広がったことにより、社員の健康に投資を行う「健康経営」の取り組みが定着してきました。そのため、勤務中に最も滞在時間が長い執務スペースにおいては、健康への配慮が求められています。
たとえば、執務スペースの照明は蛍光灯や昼白色が適していますが、赤味の強い白熱電球などを使用してしまうと手元が見えにくくなり作業がはかどりません。また、オープンスペースにすると空調効率が下がる恐れがあるため、高機能な換気・空調設備が求められます。
オフィス環境を最適化するには、災害対策も忘れてはいけません。レイアウトでは以下の点に注意しましょう。
- 避難経路の幅を1.2m以上確保する
- 避難経路を塞がないよう大型家具の配置場所を考慮する
- 什器は地震時の転倒防止のため固定する
オフィスを縮小する前に気をつけるべきこと
出社する社員数が減り、オフィスの縮小を検討している企業も多いでしょう。ペーパーレス化や家具の見直し、動線の工夫などオフィス全体の再構築を行えば、実現できる可能性はあります。
ただし、リフレッシュスペースや集中ブースの併設、フリーアドレス導入後の個人ロッカーの設置にはそれなりの広さを空けておく必要があります。また、1人当たりに必要な執務スペースは職種によって異なります。標準では14.5㎡(約4.4坪)程度なものの、パソコン作業が多いIT職・クリエイティブ職や、書類仕事が多い研究職・士業ならより広いスペースが求められます。
社員の物理的・心理的負担を減らして幸福度を高めるウェルビーイングの視点では、オフィス縮小が良い判断とは限らないのです。単にオフィスを縮小するのではなく、従業員が働きやすく、生産性が上がる職場作りを検討しましょう。
トレンド感のある執務スペースの事例5選
オフィスや執務スペースの再構築は「ソーシャルインテリア」にご相談ください
近年の執務スペースの在り方は、業務スペースだけでなくコミュニケーションを図る場としての役割を担っています。そのため、多目的に活用できる非執務スペースの拡大や集中スペースの確保など、多様な働き方に対応できる環境を作らなければなりません。
ソーシャルインテリアでは、オフィス構築から空間に関する課題解決の提案までサポートしています。オフィス家具や集中ブースのサブスクサービスも展開しているので、担当者様の負担を最小限に抑えた執務スペースの再構築が可能です。
まずはお見積りフォームよりお気軽にご相談ください。