フリー アドレスのオフィス|成功例・失敗例から導入の可否を考える

フリーアドレス制の導入によって生産性や働きやすさの向上が期待できます。一方で、フリーアドレスに向いていない組織や職種も存在します。

この記事では、フリーアドレス制の成功例・失敗例や、導入の流れを解説します。従業員の働き方に大きな影響を与えるフリーアドレス制は、メリット・デメリットを比較したうえで、導入の可否を考えることが重要です。

フリーアドレスについての詳細は「フリーアドレスとは?導入のメリットと失敗しないためのポイントを紹介

フリーアドレス制の種類

フリーアドレス制には、次の2種類があります。

  • 完全フリーアドレス
  • グループアドレス

完全フリーアドレス制では、所属部門に関わらず自由に席が選べるため、幅広い交流が生まれます。リモートワークが多い組織では、完全フリーアドレスにすることで、オフィスの省スペース化も実現できます。

グループアドレスは、所属部門に割り当てられた範囲内で自由に移動できるスタイルです。フロアで働く従業員が100人以上の大規模オフィスでは、移動範囲の限定的なグループアドレスが便利です。

事例から考えるフリーアドレス制の向き不向き

フリーアドレスには、向いている職種と向いていない職種があります。また、組織の風土や働き方によっても向き不向きは変わります。企業として一律で導入するのではなく、職種や組織に合わせて臨機応変な対応をすることが、フリーアドレス制の成功には欠かせません。

1.成功例

フリーアドレス制による成功事例は、次の通りです。

  • コミュニケーションの活性化
  • 情報共有の円滑化
  • クリアデスクの習慣化
  • 生産性の向上
  • オフィスコストの削減

フリーアドレスではプロジェクトメンバーが固まって座ることができるので、情報共有がスムーズにでき、業務効率もアップします。また、終業時にはデスク上の私物をすべて片付けることになるため、オフィスをきれいに保ちやすい点もメリットです。

2.失敗例

フリーアドレス制のよくある失敗事例は、次の通りです。

  • 管理職の負担増
  • コミュニケーションの不足
  • 業務効率の低下
  • セキュリティリスクの増大
  • 座席の固定化

自由に席を選べるフリーアドレス制では、誰がどこにいるのかわかりづらく、部下の管理が難しくなります。また、人の出入りが多いオフィスでは、紛失や盗難といったセキュリティリスクの高まりも懸念されます。「仲の良い社員同士が固まって座る」「お気に入りの席に毎日座る」など、座席が固定化されると、フリーアドレス制のメリットが得られません。

3.フリーアドレスに向いている・向いていない組織とは

フリーアドレス制では、従業員全員の座席を用意する必要がありません。外出が多い営業部門やテレワーク中心の管理部門などは、フリーアドレス制を導入することで、限られたオフィススペースを有効活用できます。また、営業部・企画部・管理部など、部門を超えたプロジェクトが多い組織もフリーアドレスに向いています。

一方、従業員の出社率が高い企業はフリーアドレスに向いていません。他にも、専門機材を使うシステムエンジニアなどは、フリーアドレス制を導入してしまうと、管理の手間が大きくなり生産性の低下につながります。

フリーアドレス制導入の流れ

フリーアドレス制は職種・組織によって向き不向きがあります。導入後に後悔しないためには、正しい手順に沿って進めていくことが大切です。ここからは、フリーアドレス制導入の流れを解説します。

  1. 導入の可否を判断する
  2. 目的や理想とする働き方を明確化する
  3. 従業員に周知する
  4. フリーアドレスを導入する範囲を決める
  5. 運用方法・ルールを決める
  6. フリーアドレス用のデスクや設備などオフィス環境を整える
  7. メンバーの位置や入退室を管理するシステムを導入する
  8. 試験導入から初めて課題や改善点を洗い出す

ステップごとに詳しくみていきましょう。

1.導入の可不可を判断する

はじめに、在席率の調査を行って導入の可否を判断します。従業員の在席率は、以下の方法で計測できます。

  • 在席・離席・退席の3つの項目を設定
  • 時間ごとに月曜日から金曜日まで調査を実施

調査を実施すると、「営業部門の在席率は50%」といった具体的な数値が算出できます。「月曜の朝は在席率80%、金曜の夕方は在席率30%」といったようにピークやミニマムが把握できれば、必要な座席数が見えてきます。在席率の調査が終わったら、従業員へのヒアリングを実施して、フリーアドレス制を導入するメリットがあるのかを判断しましょう。

2.目的や理想とする働き方を明確化する

フリーアドレス制を導入する目的は企業によって異なります。「どのような働き方を目指すのか」「何のためにフリーアドレス制を導入するのか」を明確にすることで、失敗のリスクを軽減できます。

たとえば、フリーアドレスがうまく機能すればコミュニケーションの活性化につながりますが、運用によってはコミュニケーションを阻害してしまうケースもあります。コミュニケーション活性化を目的とするなら、フリーアドレス制以外の選択肢も検討したうえで、最適な方法を選びましょう。デスクレイアウトの変更やリフレッシュスペースの導入によっても、コミュニケーションは促進できます。

3.従業員に周知する

フリーアドレス制の導入は、業務への影響が大きいため、早めの周知・合意形成が重要です。従業員の意見を軽視して一方的に進めてしまうと、反発が起こりやすくなり、スムーズに導入できません。

たとえば、「フリーアドレス制の導入によって荷物管理の手間が増える」という不安に対しては、「キャスター付きのフリーワゴンを導入する」といった解決策が提示できます。従業員にとってのメリットを訴求することで、フリーアドレス制を前向きに受け入れてもらいやすくなるでしょう。

4.フリーアドレスを導入する範囲を決める

前述したように、固定席のほうが働きやすい職種・組織ではフリーアドレスを導入する必要はありません。在席率や従業員へのヒアリングをもとに、フリーアドレス制の対象となる部門や座席数を決めていきます。

従業員の不安が大きい場合は、導入しやすい営業部門などからトライアルで始めてみるのも1つの方法。トライアルを行うことで、従業員はフリーアドレス制のメリットが実感しやすくなり、企業も本導入を前に課題の洗い出しができます。

5.運用方法・ルールを決める

フリーアドレス制を成功させるためには、運用方法・ルール作りが欠かせません。自由に移動できるフリーアドレス制では、「誰がどこで何をしているのか把握しにくい」といった特徴があります。所在がわからないと、電話の取り次ぎや来客の対応に手間取るケースが考えられます。

「ICTツールで座席を管理する」「フリーアドレス管理ツールを利用する」など、オフィスの規模に合った運用方法・ルールを決めていきましょう。また、座る場所が固定されないよう「前日とは必ず違う席に座る」「同じ席に座れるのは週2回まで」といったルール作りも効果的です。

6.フリーアドレス用のデスクや設備などオフィス環境を整える

自席で荷物を保管できる固定席とは違い、フリーアドレス制では個人ロッカーなどの新しい設備が必要になります。また、どの席からも簡単にインターネットにアクセスできるようWi-Fiを整備したり、軽さを重視したノートパソコンに入れ替えたりと、快適に働ける環境作りも必須です。

フリーアドレス制では、導入するデスクの種類によっても生産性が変わります。拡張しやすい「ロングデスク」、ミーティング向きの「ラウンドテーブル」、グループアドレスでも使いやすい「ミーティングテーブル」のなかから、利用シーンに合わせて最適なデスクを選びましょう。

フリーアドレスデスクについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

「フリーアドレスデスクの選び方は?おすすめのデスクの種類と機能も紹介

7.メンバーの位置や入退室を管理するシステムを導入する

メンバーの位置が把握できるシステムを導入することで、急ぎの用がある場合でも対処しやすくなります。フリーアドレス制では、「パソコンは置いてあるのに本人がいない」というケースも少なくないため、スマートフォンに連動したツールの活用が便利です。

入退室まで記録できるシステムを導入すれば、勤怠管理がスムーズになり、管理職の負担も軽くなります。

8.試験導入から始めて課題や改善点を洗い出す

すべての組織で一斉にフリーアドレス制を導入すると、問題が発生したときの対応も大がかりなものになります。まずは試験導入から始めて、従業員の意見を聞いたり、課題を洗い出したりしながら、本導入を目指すのがおすすめです。

試験導入では、すぐに意図したような効果が出ないかもしれません。試行錯誤を繰り返しながら、スムーズに運用するための改善策を模索していきましょう。

フリーアドレスの導入なら「ソーシャルインテリア」にお任せください

さまざまなメリットのあるフリーアドレス制ですが、すべての職種や組織で高い効果が期待できるわけではありません。機密情報の取り扱いが多い職種、在席率が高い組織は、フリーアドレスに不向きです。

フリーアドレス制を成功させるためには、自社に合った方法を見つけ、正しいアプローチを行うことが重要です。ソーシャルインテリアでは、フリーアドレス向きのオフィス家具を多数取り揃えております。オフィスの規模や目的に合わせて最適な空間デザインをご提案いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。