オフィスの理想的な寸法とは?法律に基づいた快適な基準寸法を解説

オフィス環境を整える際、家具の配置よりも前に寸法計画を考えなければなりません。適切な通路幅やデスクサイズの確保は、従業員の安全確保や業務の生産性向上、円滑なコミュニケーションにも大きく影響します。本記事では、労働安全衛生規則や建築基準法などの法的基準を整理した上で、実際の執務室や会議室で推奨される寸法を詳しく解説します。

オフィスにおける寸法計画の重要性

オフィスの寸法計画は、単なるレイアウトではありません。社員の安全確保や生産性の向上などにも関連する重要な要素です。快適な労働環境をつくるという視点とともに、労働安全衛生規則や建築基準法、消防法といった法律を守ることも意識して行う必要があります。

特に、消防法や建築基準法による避難経路の規定は、不特定多数が利用する空間や大規模なオフィスでは、避難に際しての基準が厳しくなる傾向にあります。自社のオフィスの状況を踏まえて、法律で決められている基準を設計に盛り込まなければなりません。

労働安全衛生規則

第543条では、機械間または機械と他の設備との間に設ける通路幅は80cm以上にすることが明示されています。

参考:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター

建築基準法

第119条では、避難経路(廊下)の有効幅を「片側居室=1.2m以上」「両側居室=1.6m以上」と定めています。これは学校などに適用される基準ですが、オフィスにおいても最低限確保しておいた方が良いとされています。

参考:e-GOV法令検索 建築基準法施行令

消防法

第8条の2の4では、廊下や階段、避難口などに避難の支障となる物を放置しないよう管理しなければならない旨が記載されています。

参考:e-GOV法令検索 消防法

オフィスの基準寸法について

オフィスの基準寸法を理解することで、社員の動きや心理的な快適性を踏まえた空間づくりが可能となります。具体的に見ていきましょう。

デスクの面積

オフィスの標準的なデスクサイズは、幅1,200mm、奥行700mmです。これは、PC作業とA4サイズの書類を広げて作業するための最小限必要なスペースでもあります。

しかし、大きなサイズの書類を扱ったりデュアルモニターを使用する場合などには、よりゆとりのあるデスクサイズが良いでしょう。たとえば、ITエンジニアや図面を広げて仕事をする設計職などは、幅1,400mm~1,600mm程度あるデスクの方が作業しやすいと考えられます。

一方で、固定席をもたないABW(Activity Based Working)を導入する場合は、幅800mm程度のコンパクトなデスクから、プロジェクトメンバーで囲って使用できるような幅2,400m

m以上の大型のテーブルまで、多様なサイズを組み合わせる必要があるでしょう。

通路幅

社員それぞれがオフィス内での移動をスムーズに行うためには、人間工学に基づいた通路幅の設定が重要です。人が1人通るために必要な幅は約600mmとされていますが、これはあくまで最低限の数値です。

同じ1人でも、車イスに乗っている人が通る場合は、よりゆとりのある通路幅が必要です。また、オフィス内では単に通り過ぎるだけでなく、荷物を持っていたり、誰かと立ち話をしたりすることもあります。

荷物を持った人が通る場合は最低でも750mm以上、大人2人がすれ違うには1,200mm以上の通路幅が必要です。

執務室の通路幅

執務エリアは、社員が最も多くの時間を過ごす場所であり、人の出入りが頻繁です。そのため、配置のパターンによって細かく寸法を使い分ける必要があります。

しかし、デスクが並ぶ列の間と、コピー機などの共有設備へ向かう通路では、求められる通路幅が異なります。これらの寸法を意図的に計画することで、社員同士が接触するといったストレスを防ぎ、集中力を維持しやすい環境を作ることができます。

デスクとデスクの間(メイン通路)の通路幅

メイン通路は、最も余裕を持たせるべき場所といえるでしょう。先ほどもご紹介したように、大人2人がすれ違うには最低でも1,200mmの通路幅が必要とされています。

メイン通路の理想的な幅は、1,600mm以上です。これだけの幅があれば、2人がゆったりとすれ違えるだけでなく、車椅子を利用する社員の通行や、台車を使った備品の運搬もスムーズになります。

メイン通路は災害時の避難経路としての役割も担うため、十分な幅を確保しておくことは安全管理の観点からも重要です 。

座席と座席の間(背面式レイアウト)の通路幅

デスクを背中合わせに配置する背面式レイアウトでは、双方が椅子を引いた状態でも中央を人が通れる幅が必要です。

椅子を引く動作には約400〜500mmのスペースが必要であり、両側から引くとそれだけで1,000mm程度は占有することとなります。これに通路幅を加えると、最低でも1,800mmは確保しなければなりません。

もし空間に余裕があるならば、2,100mm程度の確保が理想的です。ゆとりがあると、背後の人の気配が気になりにくくなり、動きにくさや人との接触などの心理的なストレスも軽減しやすくなります。

デスク背面の通路幅

デスクの背後がそのまま通路になっている場合、一般的には1,800mm以上の幅が求められます。

背面式レイアウトと同様に、着席者が椅子を引いて離席しようとしている際や、リラックスして椅子にもたれかかっている際でも、その後ろを別の人がスムーズに通り抜けられるだけの余裕が必要です。この幅が不足していると、通行人が通るたびに着席者が椅子を前に詰めなければなりません。

壁とデスクの間の通路幅

壁際にデスクを配置する場合、壁とデスクの間の幅は、後ろを人が通るかどうかで決まります。後ろを人が通らない場合は、900mm程度の幅でも問題ありません。

しかし、そこが通路を兼ねている場合、1,000〜1,600mm程度は必要になります。壁があることで通路の反対側への逃げ場はなく、オープンな空間よりも心理的な狭さを感じやすくなるため注意しましょう。特に、頻繁に人が行き来するのであれば、壁への接触を気にせずに歩行できるよう1,200mm以上の通路幅が求められます。

キャビネット前の通路幅

キャビネットや収納庫の前では、これらの扉や引き出しを開けることも踏まえた通路幅の設定が必要です。観音開きの扉や引き出し式のキャビネットは、開けた時に500mm程度のスペースを占有することも珍しくありません。

したがって、キャビネットを開けるためのスペースも考慮して、デスクの横に設置する場合は1,400mm程度の通路幅が望ましいとされます。

座席の後ろにキャビネットがある場合は、椅子をひいた時にキャビネット前に立っている人に接触しない程度の通路幅が必要です。1,800mm以上の通路幅があると良いでしょう。

コピー機・複合機周りの通路幅

コピー機や複合機の周りは、印刷物の待ち時間やトナー交換などのメンテナンス等で人が留まりやすい場所です。そのため、作業中の人がいても他の人がストレスなく通り抜けられる幅を確保しましょう。

デスクとの間に設置する場合は、1,200mm程度の通路幅があると快適です。もし座席のすぐ後ろにコピー機がある場合は、座っている人の椅子と干渉しないよう、さらに余裕を持たせた1,600mmが理想です。

デスクとパーテーションの間の通路幅

集中スペースやミーティングエリアを区切るためにパーテーションを設置する場合、デスクとの距離が近すぎると閉塞感を生みます。この場合の通路幅は、最低でも600mm、できれば800mmを確保するのがおすすめです。

会議室の通路幅

会議室のレイアウトでは、大型のデスクを囲う対面型と、同じ方向にデスクを並べるスクール形式が代表的です。

対面型(ミーティング)の通路幅

対面型の会議室では、着席者の後ろを通って奥の席へ移動するためのスペースが必要です。テーブルから壁までの距離をしっかり取ることで、プレゼンターが移動したり、遅れて来た参加者が座席の後ろを通ったりする際にストレスにならずに済みます。

椅子をひいた状態でも後ろをスムーズに通行するために、椅子と壁の間は、800mmの通路幅が最低限必要です。

セミナー型(スクール形式)の通路幅

スクール型では、前後のデスク間隔を適切に取ることで、参加者が離着席する際の混乱を防ぎます。

メインの動線は1,000mm、列と列の間は800mmの通路幅が最低限必要です。

適切なゾーニングで集中・交流がしやすいオフィスに

ゴウリカマーケティング株式会社様は、移転に伴い図書館のような集中しやすい執務室を実現されました。

従来は、部署ごとにフロアが離れ連携しにくく、周囲の雑音も気になることが課題でした。今回のオフィス移転でワンフロアオフィスとなり、全ての部署が同じフロアに集まることとなりましたが、適切なゾーニングにより静かで仕事のしやすい環境となっています。

オフィスエリアと来客エリアを明確に分け、お客様をお迎えするエントランスは重厚感と高級感のある作りにしています。

一方、オフィスエリアは、執務スペースとブースミーティングスペースがあり、フォンブースの導入や会話しやすいエリアを設けたことで、仕事に集中したい人が周囲を気にせず没頭しやすい環境となっています。

ゴウリカマーケティング株式会社様の事例の詳細は以下をご覧ください。

まとめ

オフィスの寸法計画は、法律で定められた最低限の基準寸法を守るだけでなく、働きやすいオフィスづくりのために適切なサイズをよく考えて決めることが重要です。

しかし、不安定な経済情勢の中、オフィス面積を贅沢にとれる会社はそう多くありません。多様な働き方や様々な変化に対応できるような、柔軟性のあるデザインを意識し、限られた空間でも快適性を高めていくことが求められます。

それぞれの会社に適したオフィスづくりのために、ぜひソーシャルインテリアの資料も参考にしてみてください。

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