仲 隆介先生連載|働く人のWell-being向上 第一話「従業員のウェルビーイングを高める働く環境とは」

こんにちは、新しい連載のスタートです。

普通に、Well-beingって何?ってところから始めてみます。

ウェルビーイングとは、「心も体も、そして社会的にも、いい感じに満たされている状態」のことです。もっと簡単に言えば、「気持ちよく生きられてるな〜って感じ」です。

「知ってらい!」ですよね。このような、よく見かける文脈でWell-beingを書いても面白くないので、違う視座で始めてみます。もし普通に基本知識を勉強したい方がいたら、ChatGPTに聞いてみてください。優等生の解答が手に入りますw。

始めますね。

いきなり飛びますが、ユヴァル・ノア・ハラリが、世界的ベストセラーの『サピエンス全史』で、

『人間の苦しみは「割愛」―つまり「欲するがゆえに手放せない」ことから生まれる』と書いています。

・割愛と苦しみ

人類は、農耕も文明もテクノロジーも「もっと良くしたい」「もっと欲しい」という割愛から動いてきました。しかしそれはしばしば「永遠に満たされない状態」を生み出す。つまり、

“もっと幸せになりたい”という思いこそが、今の幸せを見えなくしてしまう”

・涅槃とウェルビーイングのつながり

仏教で言う「涅槃」は、その割愛・渇望を手放した境地。何かを求めることによってではなく、何も求めずとも「あるがままに満ちている」状態。この涅槃のような境地を、現代的に言えば、「ウェルビーイングの究極形」=“外的条件に左右されない、静かで深い満足感”とも言えるかもしれません。

ウェルビーイングは、「今ここ」にいて、今の自分にOKが出せていること。それはまさに、割愛を超えたウェルビーイングなのです。

きっと、「涅槃なんて言われてもなぁ」って感じですよねw。これは、ウェルビーイングを高めたかったら、悟りを開けと言ってるわけで、みんなお坊さんになって修行をしなければならなくなりますもんね。

じゃあどうすればいいのかを、この連載で少しずつ考えてみたいと思います。基本は、今を楽しむことで、以下のキーワードで考えてみようと思います。

1. 仕事を楽しむ
集中のリズムを作る/休息をはさむ/仕事意外の行為をリズムよく混ぜる/仕事(身体)のリズムをつくる(日、週、月、年)

2. 気持ちの良い場所で働く
ワクワクする場所で働く/移動を楽しむ

3. 身体で考える
自分の声を聞く/自分をととのえる/自分を気持ちよくする/身体の声を聞く/五感を活性化させる/自分を研ぎ澄ませる

4. 自然を感じる
その場を感じる/環境を楽しむ/自然の声に耳を澄ます/陽光を感じる

以上です。

短い時間で書いたので、2回目は全然違う内容になるかもしれませんw。

ではでは。

合同会社Naka Lab. 代表 / 京都工芸繊維大学 名誉教授
知識情報社会における建築・都市をテーマに様々な活動と研究を行う。
特にこれからのワークプレイスに力を注いでおり、企業や協会と共同で次世代の働き方とワークプレイスを模索する活動を展開している。
また、新世代クリエイティブシティ研究センターセンター長(2018年まで)、日経ニューオフィス賞審査委員、国道交通省オフィスの知的生産性研究委員会建築空間部会主体研究WG主査、国道交通省次世代公共建築研究会新ワークプレイス研究部会長、長崎新県庁舎、兵庫県庁舎など多くの自治体のアドバイザーなどを務める。