オフィスリノベーションとは?|実施ポイントから依頼先の選び方まで解説

「働きやすいオフィスにリニューアルしたい」「企業の顔となるようなオフィスをデザインしたい」といったときには、オフィスリノベーションがおすすめです。大規模な工事を施してオフィスの価値を高めることで、従業員の生産性向上も見込めます。

この記事では、オフィスリノベーションをするメリットや、オフィスリノベーションの種類や事例について解説します。実施のポイントやリノベーション工事を依頼する会社の選び方を押さえて、スムーズなオフィスリノベーションを実現しましょう。

目次

オフィスのリノベーションとは?

オフィスリノベーションを行うことで、職場環境を現状よりも快適に作り変えることができます。まずは、オフィスリノベーションの概要から、リフォームとの違い、注目されている理由までを見ていきましょう。

リノベーションは”価値”を高める改装工事

リノベーションとは、古くなったり使いづらかったりする機能を再生・変更することで、空間の価値を高める改装工事を指します。リノベーション(renovation)は、「革新」「刷新」「修復」を意味しており、現状よりも機能性を向上させることを目指します。

オフィスリノベーションの目的は、従業員が快適に働ける空間づくりです。よって、オフィスの一部だけを改装するのではなく、フロア全体・建物全体といった大規模な工事を行うのが一般的です。法律の範囲内であれば、壁や仕切りの位置を変えることもできるため、デザイン・レイアウトの自由度は大きく広がります。

リノベーションとリフォームの違い

リノベーションとリフォームは、工事の目的が異なります。リノベーションが現状よりも高い機能性を求めるのに対して、リフォームは老朽化した建築物の性能を戻すことを目的とします。

リフォームは比較的規模の小さい工事になることもあるため、工期も短くなる傾向があります。たとえば、トイレや給湯室などの水まわりのみを修繕する場合は、リフォーム工事を行います。一方で、リノベーションは「オフィス全体の最適化」を試みることが多いため、工事の規模も大きくなり工期も長くなります。「予算が限られている」「工期を短くしたい」といった場合には、リフォーム工事が向いているケースが多くなります。

オフィスのリノベーションが注目されている背景

オフィスリノベーションが注目されている背景としては、2つの理由が挙げられます。1つ目は、老朽化が進むビルが増えているためです。一般社団法人「日本不動産研究所」が2020年に発表したデータによると、主要都市・地方都市のオフィスビルの約8割が築年数20年以上となっており、建て替えやリノベーションの必要性が高まっていることがわかります。

2つ目は、働き方改革やコロナ禍によって働き方が変化・多様化しているためです。テレワークの推進やWeb会議システムの導入に伴い、会議室の省スペース化、オフィスレイアウトの見直しなどが活発となり、オフィス移転やリノベーションを検討する企業が増えています。

オフィスをリノベーションするメリット

オフィスをリノベーションすることは、企業と従業員の双方にメリットがあります。ここでは、オフィスリノベーションを行うことで期待できる5つのメリットを紹介します。

業務効率・生産性の向上

オフィス環境は業務効率・生産性に大きな影響を与えます。古くなったオフィス家具や、スムーズに移動しづらい動線など使い勝手の悪いオフィスでは、従業員も十分なパフォーマンスを発揮できません。

現状の課題を把握して、それを解決できるようなリノベーションを行うことで、業務効率・生産性の向上が見込めます。従業員の作業プロセスを細かく洗い出すことで、最適なレイアウトが導きやすくなり、リノベーションの効果は高まります。

従業員のモチベーション・エンゲージメントメントの向上

リノベーションによりオフィス環境を改善することは、従業員のモチベーション・エンゲージメントの向上に直結します。

狭かった作業デスクが広くなったり、騒音問題が改善されたりすることで、従業員は仕事に対して前向きに取り組みやすくなるでしょう。エンゲージメントは「会社への貢献意識」と訳されるように、オフィスがおしゃれで快適に生まれ変われば、会社に対する愛着は深まります。そのほか、モチベーションやエンゲージメントを向上させることは、組織の活性化や離職率の減少といった、さまざまなメリットにつながります。

社内コミュニケーションの活性化

社内コミュニケーションの不足は、スムーズな業務遂行の障害となります。「上司と部下の会話が少ない」「チームに一体感がない」といった課題を抱えている場合は、リノベーションでオフィスレイアウトを変更することで改善が見込めます。

また、新しいアイデアを生み出すためには、チーム以外の社員とのコミュニケーションも重要です。リフレッシュルームを新設する、フリーアドレス制やABWを導入するなど、自然とコミュニケーションが取りやすい仕組みづくりも積極的に行っていきましょう。

光熱費・メンテナンス費用の削減

オフィスをリノベーションすることで、光熱費・メンテナンス費用が削減できます。古くなったエアコンや照明器具は電気料金が高くなりやすいため、リノベーションにより設備を刷新することで、固定費を減らせます。

トイレは高性能なモデルが続々とリリースされており、水道代やメンテナンス費用を抑えながら、清潔な空間に改装することができます。リノベーションを行うためにはある程度まとまった出費が発生しますが、長期的な視点で考えると、トータルコストの削減につながります。

企業イメージ・ブランディング力の向上

オフィスは従業員が働く場所であると同時に、企業イメージを発信する場でもあります。魅力的な商品・アイテムを取り扱っていても、雑然としたオフィスでは、相手にネガティブな印象を与えかねません。

取引先や顧客の訪問が多い企業は、オフィス空間をブランディング戦略の1つとして捉えることが大切です。オフィスの雰囲気が企業イメージにマッチしていない場合は、リノベーションを検討してみましょう。リノベーションにより、おしゃれで機能性に優れたオフィスを構築することで、企業イメージ・ブランディング力の向上が実現できます。

オフィスリノベーションの種類

オフィスリノベーションには、「ポイントリノベーション」「フルリノベーション」「スケルトンリノベーション」の3種類があります。それぞれの特長、期待できる効果、費用感を比較しながら、理想とするオフィスを実現できる方法を選びましょう。

ポイントリノベーション

ポイントリノベーションでは、オフィスの一部分だけを改装します。「大会議室をいくつかの小規模会議室に分割したい」「給湯室をリフレッシュルームに変更したい」など、工事をしたい場所が明確になっているときは、ポイントリノベーションが向いています。

費用は施工面積や追加する設備によって異なりますが、オフィス全体をリノベーションするよりも低くなります。工期も比較的短いため、予算やスケジュールに合わせて調整しやすいリノベーション方法です。

フルリノベーション

フルリノベーションでは、建物の基礎部分は残して、内装とすべての設備を入れ替えます。「フロアレイアウトを全面的に見直したい」「耐久性・耐震性を向上させたい」など、オフィス全体に手を加えたい場合は、フルリノベーションが向いています。

フルリノベーションはポイントリノベーションより、費用が高くなる傾向です。とくに、高階層ビルのフルリノベーションは資材搬入のコストも高額となります。工期も長くなるため、しっかりと計画を立てて進めて行くことが重要です。

スケルトンリノベーション

スケルトンリノベーションでは、コンクリート打ちっぱなしのオフィス空間に仕上げます。スケルトンは、「骨格」「骨子」「枠組」を意味する用語で、コンクリートを生かしたデザイナーズ物件のような雰囲気が特長です。

「スタイリッシュなオフィスにしたい」「オフィスイメージを向上させたい」といった場合は、スケルトンリノベーションが向いています。比較的小規模なオフィスで取り入れやすいリノベーション方法です。

オフィスリノベーションを実施するときの4つのポイント

オフィスリノベーションの効果を高めるためには、つぎの4点を意識することが大切です。工事完了後に手直しするのは難しいため、事前に注意事項を確認して、トラブルなくリノベーションを進めて行きましょう。

解決したい課題・リノベーションの目的を明確にする

リノベーションは単に設備やレイアウトを新しくするだけではありません。解決したい課題を掴み、リノベーションの目的を明確にすることで、理想のオフィスに近付きます。たとえば、事業の規模を拡大していくと、新しく従業員を雇うこともあるでしょう。人が増えるごとにデスクの配置を変更したり、設備を見直したりするのは効率的とはいえません。

「今後10人前後の採用を予定している」という会社方針があれば、「1人当たりの作業スペースが狭くなる」といった課題が予想できます。課題を解決するためには、「使用頻度の低い会議室を減らして、1人当たりの作業スペースを確保する」といった対策が講じられます。リノベーションの計画を立てる際は、実際にオフィスを使っている従業員にもヒアリングを行い、解決すべき課題を明確にすることが重要です。

オフィスの「原状回復」を考慮した計画をする

オフィスには「自社ビル」と「賃貸ビル」の2つがあります。毎月の家賃を支払っている賃貸ビルの場合は、オフィスの「原状回復」を考慮した計画を立てる必要があります。原状回復とは、借りた当初の状態に戻すことをいいます。

契約内容によって差はありますが、原状回復工事としては、床材の張替え・壁のクロス交換・配線の撤去などが挙げられます。リノベーションを行うときは、退去する際に元に戻せるように準備しておかなければなりません。たとえば、入れ替えのために撤去した設備があっても、基本的には原状回復に備えて保管しておきます。賃貸ビルのなかにはリノベーション工事自体が制限されているケースもあるため、事前に貸主に詳細を確認しておきましょう。

原状回復義務についてはこちらの記事もご確認ください。

内装工事に関わる法律を順守する

オフィスリノベーションを行うためには、順守すべき法律が存在します。内装工事にかかわる法律として、以下の5つがあります。

概要配慮すべきポイント
事務所衛生基準規則労働安全衛生法に基づき定めた規則換気・温度・照明・騒音・清掃など、快適なオフィス環境にするための基準を守る必要がある
消防法火災から国民の生命等を守るための法律「防火対象物工事等計画届出書」を着工の7日前までに管轄する消防署に提出する必要がある
建築基準法建築物の設備・構造・用途について最低基準を定めた法律有事の際に避難の妨げとならないよう、定められた通路幅の確保する必要がある
減価償却資産の耐用年数等に関する省令固定資産の耐用年数についての省令設備や備品の耐用年数は法律で定められた数値を採用する必要がある
健康増進法(受動喫煙防止対策)国民の健康等を守るための法律室内での喫煙を認める場合、受動喫煙を阻止するために分煙措置が必要になる

動線設計は入念に行う

オフィス内の移動をスムーズにするためにも、動線設計は入念に行いましょう。動線設計は、「できるだけシンプルにすっきりさせること」が基本です。メイン通路幅はしっかり確保しながら、効率的に業務を進められる動線を考えていきます。

使用頻度の高い設備がデスクから離れた場所に配置されていると、1つの作業を進めるのにオフィスを何度も行き来しなければならず非効率です。従業員が日々の業務を快適に行えるよう、動線設計は綿密に行うことが大切です。一方で、リフレッシュスペースやカフェエリアなどは、「どうすれば人が集まりやすくなるか」を考えながら動線設計を行うことで従業員同士のコミュニケーションを生むことができます。

動線設計では、「行き止まりを作らない」「出入口や扉に干渉しない」「無駄な移動をさせない」などに注意しましょう。行き止まりがあったり、出入口や扉に干渉したりすると、日々の業務効率が低下するだけでなく、災害時の避難の障害となるリスクもあります。動線設計は、有事の際の安全確保としても重要な役割を果たします。

またオフィスの適切な通路幅についてはこちらの記事で解説しています。

オフィスリノベーションを依頼する会社の選び方

専門的な知識が必要なオフィスのリノベーションでは、依頼する会社の選び方も重要です。それぞれの会社で、特長や得意分野は異なるため、1つの基準ではなく総合的に判断していきましょう。

またこちらの記事でオフィスの引越し業者の種類や選び方を紹介しています。

相見積もりをとって対応や費用を比較する

オフィスリノベーションは、施工面積や工事内容によって費用が変動するため、相場がわかりづらい傾向です。費用感を知りたいときは、複数の会社から相見積もりを取得するのが有効です。

相見積もりを取ることで費用だけでなく、会社の対応を比較することもできます。対応面では、見積もり提出のスピードや丁寧さをチェックしましょう。見積もりは、内訳が具体的かつ詳細に記載されている会社のほうが発注時に金額が変動する可能性も低い傾向にあります。また、最終的な金額だけでなく、数量・面積・施工時間なども確認します。他の見積書と比べて極端に多かったり少なかったりする場合は、理由を尋ねてみてもよいかもしれません。

実績・事例の詳細を調べる

気になるオフィスリノベーション会社を見つけたら、公式サイトで実績・事例の詳細を調べてみましょう。

見積もりを取得する前に、個別に問い合わせをすることで、一般公開されていない実績・事例が確認できる場合もあります。可能であれば、同業の企業や規模の近い事例を紹介してもらいましょう。自社に似た実績・事例を見ることで、リノベーションの仕上がりを具体的にイメージしやすくなります。

会社の特徴・得意とする分野を確認する

デザイン会社や施工会社によって、得意分野や多く手がけてきた分野は違います。会社によっては、リフォーム工事がメインで、リノベーションの実績が少ないケースもあります。オフィスリノベーションを依頼する場合は、「リノベーション」を得意とする会社から選びましょう。

オフィス家具メーカー、OA機器メーカーなどがオフィスリノベーションを手がけている場合があります。「専任のコンサルタントに相談したい」「オフィス家具やOA機器をリーズナブルに導入したい」といった要望もある場合は、デザイン会社や施工会社以外のパートナー企業に問い合わせるのもおすすめです。

対応やアフターフォローの内容を確認する

オフィスリノベーションは少なくない費用がかかるため、信頼できる企業を見つけなくてはなりません。「問い合わせや見積もりの対応が丁寧か」「希望・要望を考慮した提案があるか」などは、正式に依頼する前に見極めておきましょう。

また、アフターフォローの内容も事前に確認しておくと安心です。リノベーション工事がスムーズに完了しても、実際に新しいオフィスで働きはじめると、予期せぬトラブルが発生することがあります。いざというとき、相談する窓口が明確になっていると、適切に対処しやすくなります。

予算内で調整できるか確認する

相場がわかりづらいオフィスリノベーションでは、理想を詰め込みすぎると、当初の予定より施工費用が高額となります。想定より見積もり費用が高くなった場合は、優先順位付けして取捨選択することで、予算内に収めやすくなります。

依頼する企業に対しても、解決したい課題・リノベーションの目的を明確に伝えることで、デザインや必要な機能が絞り込めます。費用を抑えたいときは、単に値下げをお願いするのではなく、「こだわりたいポイント」と「節約できるポイント」をはっきりさせることで、予算内に収めてもらいやすくなるでしょう。

また、これらの優先順位付けや実施判断には、オフィスリノベーションの経験が必要とされるケースもあります。デザインの提案だけでなく、予算やスケジュールを鑑みた要件整理を行ってくれるデザイン会社に依頼することをおすすめします。

依頼後の担当者や携わるスタッフを確認する

企業によっては、依頼前と依頼後の担当者が違う可能性があります。「問い合わせ・見積もりの対応は丁寧だったのに、工事がはじまったら意思疎通がうまくいかない」といった事態を防ぐためにも、依頼後の担当者や携わるスタッフを確認しておきましょう。

コンサルティング会社や設計事務所に依頼した場合、実際のリノベーション工事は、別会社が実施するケースもあります。内装を別会社が行う場合は、依頼元の会社が工事中も間に入ってしっかりとサポートしてくれる会社を選びましょう。

スムーズなリノベーションにはワンストップで依頼できる会社がおすすめ!

設計から工事までスムーズにオフィスリノベーションを行いたいのであれば、ワンストップで依頼できる会社がおすすめです。ワンストップ最大の魅力は、1つの窓口ですべてが完結する点です。

個別に依頼した場合、デザイン会社・施工会社の担当者とそれぞれやり取りが発生するだけでなく、既存の社内インフラ・OA機器会社との調整が発生する可能性もあります。リノベーションの規模が大きくなるほど、関係者の数も増えるため、スケジュール管理も大変です。

窓口を一本化することで、さまざまな調整作業を任せることができ、負担の軽減につながります。ワンストップは、リノベーション工事のトータルコストも把握しやすくなるというメリットもあります。

オフィスのリノベーション事例

※並びは順不同となっております。

ヤマトオフィスクリエイト株式会社 様|サブスク家具導入事例

株式会社河野 様|サブスク家具導入事例

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