新型コロナウイルス感染症の流行やダイバーシティ推進によって働き方が変化しているため、オフィス空間の見直しが求められています。しかし、「従業員が求める環境とは何か?」「何から着手すればいいかわからない」と、頭を悩ます担当者も少なくありません。
本記事では企業が抱えるオフィス空間の課題を7つまとめました。その他、デザインのポイントやオフィス空間デザインの流れが分かるため、オフィスデザインの悩みが解決できます。
目次
新たなオフィス空間が求められる背景
新型コロナウイルスの拡大や働き方の多様化、労働人口の減少によって新たなオフィス空間が求められています。新たなオフィス空間に必要な要素はずばり快適性です。
2020年の新型コロナウイルスの拡大を機にパーソナルスペースの確保が基本となり、パーテーションの設置や稼働領域を広く取れる「並列型レイアウト」の採用が増えました。また、働き方の多様化とダイバーシティ経営の推進によって、プライバシーを保護する作業空間やコミュニケーションスペースの重要性が高まっています。
さらに、労働人口の減少によって、多くの日本企業で人材不足が慢性化しています。課題である個人の生産性を上げるには快適なオフィス空間が必須といえるでしょう。
企業が解決すべき従来のオフィス空間が抱える課題
企業が解決すべき従来のオフィス空間が抱える課題は、多様な働き方への対応です。
従来のオフィスは部署ごとにデスクを配置する「島型レイアウト」が多く採用されていました。部署内の情報共有はスムーズに行える反面、他部署と連携が取りにくいという難点があります。また、人や場所を固定化すると組織力の脆弱化にもつながります。
多様な働き方へ対応するには、オフィス空間も柔軟でなければいけません。従業員の働く時間や業務内容などを考慮して、ワークスタイルに合った空間を構築しましょう。快適な空間は意欲向上や交流促進など、多くのプラスの効果をもたらします。
快適なオフィス空間を実現するために必要なこととは?
組織力を高めるには快適なオフィス空間の実現が重要です。しかし、視覚的な変化だけでなく、従業員が理想するワークスタイルや企業理念など、多角的視点で考えなければいけません。
そこで、快適なオフィス空間を実現するために必要な7つのことを紹介します。
1.自社が抱える課題と理想のワークスタイルを把握する
快適なオフィスを実現するには、まずどのようなオフィス空間が自社に必要なのか把握しなければいけません。
オフィスデザインの見直しは企業の課題解決や理想のワークスタイルの実現が目的なので、従業員へヒアリングを行い深く掘り下げてみましょう。たとえば、新卒の離職率が高いという課題があれば、従業員同士の交流やキャリア研修などに使える多目的スペースの設置を検討するのも1つの手です。
そして、理想とするワークスタイルの把握も忘れてはいけません。ワークライフバランスの実現や、グローバル化など企業によって課題は異なります。そのため、生産性が上がる快適なオフィスを目指すには、他社の模倣ではなく、自社にとってベストなデザインを考えることが重要です。
2.企業理念や社風を取り入れる
オフィス空間は企業の顔となるため、企業理念や社風に基づいて企業イメージを構築する要素を取り入れると企業ブランディングを強化できます。
たとえば、お客様が来訪した際に最も目につくエントランスに企業ロゴを設置するだけで、企業イメージを視覚的に印象付けることができるでしょう。同時にブランド価値や権威性を高める効果も期待できます。また、従業員に対するブランディングにも有効です。企業カラーを取り入れたオフィス空間にいると企業の一員として自覚を持てるため、モチベーション維持や帰属意識を高めるのに役立ちます。
3.デザイン性・機能性を両立させる
快適なオフィス空間はデザイン性も大事ですが、機能性を両立させることで実現します。
おしゃれなオフィスがトレンドですが、働きやすさやストレスフリーを無視したオフィスは、業務に支障をきたしてしまう原因です。何より、おしゃれなオフィスは企業のブランディングには適していますが、従業員にとって快適な空間とは限りません。
たとえば、雰囲気作りにこだわるあまり作業スペースにも間接照明を用いると、眼精疲労のリスクや作業効率の低下を招きます。そのほか、パーソナルスペースや通路幅の確保、スムーズな業務遂行ができる収納、機能性を持ったオフィス家具などへの配慮が必要です。デザイン性と機能性が両立したオフィスデザインを意識しましょう。
おしゃれなオフィスの事例はこちらの記事で紹介しています。
4.用途に応じて使えるスペースを確保する
快適なオフィス空間を実現するには、用途に応じて使えるスペースを確保することも重要です。
従業員のストレスを軽減するには、パーソナルスペースを十分に確保して、オフィス全体に開放感を与えるデザインが効果的です。しかし、あまりに広すぎると情報共有や進捗状況の確認がしづらく、生産性が落ちる可能性があります。
また、多くの従業員が同じ空間にいるため、視線や足音、話し声などが煩わしく感じて集中力に欠けてしまう人も少なくありません。この場合は、リフレッシュスペースや会議室などの共用部分とプライバシーが確保できる個人ブースを分ける方法が有効です。用途に応じて使えるスペースを確保すれば、生産性の工場が期待できます。
5.変化に対応できる柔軟性を持たせる
働き方の多様化により、変化に対応できる柔軟性がオフィス空間にも求められています。そのため、最小限の手間とコストでレイアウト変更ができることは快適なオフィス空間の実現に重要です。
柔軟性を持たせるには、座席レイアウトの再考や什器・オフィス家具の入れ替えが挙げられます。たとえば固定席をなくしてフリーアドレスにすると、必要最低限の座席で済みます。また、キャスター付き家具にすれば、レイアウト変更や移転時の負担が軽減するでしょう。
なお、オフィス空間を変更する際は、将来の変化を予測した対応が重要です。組織変更や増員など直近の予定から、十数年後のワークスタイルの変化や業界の動向、自社の課題まで考えておきましょう。
6.オフィスセキュリティ対策に配慮する
オフィスデザインを考えるときは、信用損失、情報資産の漏洩、従業員の負傷などの最悪の事態を防ぐため、セキュリティ対策にも配慮しなければいけません。
オフィス内には顧客情報を始め、財務情報や製造工程図などの機密情報が保管されています。セキュリティ対策が不十分だと、情報が漏洩してしまい、顧客はおろか従業員の信頼までも一瞬で失ってしまうリスクがあります。現金や小切手などの管理も慎重に行ってください。
また、不審者に侵入されて、従業員が危険な目に遭う恐れもあります。防犯カメラの設置や入退室管理システムの導入のほか、日頃からシュレッダーの利用を徹底するなど、万全な対策を心がけましょう。
7.防災対策を見直す
快適なオフィス空間を実現するには防災対策の見直しも必要です。災害には自然災害のほかに水質汚染や騒音などの人為災害、そして感染症拡大やテロといった特殊災害の3つがあります。とくに日本は自然災害が多く、事業継続には対策が必要不可欠です。
オフィスデザインの防災対策には、避難経路を確保したレイアウト、家具やOA機器の固定、ガラス飛散防止フィルムの貼付などが挙げられます。また、新型コロナウイルスにより防災対策は変化していて、ソーシャルディスタンスを確保するレイアウトが標準となりました。さらに、防災備蓄品の管理は感染拡大のリスクを考慮し、1人分の備蓄品セットを用意して個々で管理する方法へと変わってきています。
【エリア別】オフィス空間をデザインするときのポイント
快適なオフィス空間を作るには、エリアごとの使用目的を明確にしなければなりません。使用目的とマッチすれば、従業員のモチベーションや生産性率の向上に効果を発揮します。
ここでは、オフィス空間をデザインするときのポイントをエリア別に8つ紹介します。
1.エントランス
エントランスはブランディングの場です。企業ロゴやコーポレートカラーを取り入れると企業の魅力をアピールできます。
来訪者に良いイメージを与えることが重要なので、ソファを配置したり、アロマディフューザーや観葉植物を置いたりして居心地の良い空間を演出しましょう。落ち着いた雰囲気を演出したい場合は電球色を、清潔感やスタイリッシュな印象を出したい場合は昼光色を選ぶなど、照明にこだわるのもおすすめです。
オフィスエントランスのデザインポイントについてはこちらの記事でも解説しています。
2.執務スペース
執務スペースは作業効率の最適化が求められます。ポイントは、業務内容・コミュニケーション・柔軟性の3点です。
部署により快適と感じる条件は異なるため、職種や仕事の特性に適した作業スペースと動線を確保しましょう。たとえば、外出が多い営業部ではコミュニケーションが取りやすく出入りがしやすいオープンな空間が向いており、作業スペースは多少狭くても不自由はないでしょう。一方、機密情報の資料を多く扱う経理や法務部などでは、外部に情報が漏れないようクローズな空間が向いており、資料の保管やデスクワークのための広い作業スペースの確保が求められます。
3.集中スペース
集中スペースを作る際は視覚的情報の遮断と遮音がポイントです。周囲の音や視線がないほうが、集中力を維持できる人が多いため、個室を設置する企業も少なくありません。個人作業以外にWeb会議や面談など多目的に使う場合は、パーテーションを配置したブース型レイアウトがおすすめです。
集中ブースでは、コンセントやモニターを完備した作業環境の充実や、自席からアクセスしやすい動線の確保を行いましょう。集中スペースが限られる場合は、併せて利用時のルールも定めておくと、トラブルなく活用できます。
4.リフレッシュスペース
コーヒーブレイクやランチタイムに使用されるリフレッシュスペース。部署問わず従業員が大勢集まるため、スペースを広く設けて開放的な空間を作るのがポイントです。数人しか入れない空間では、一部の人間しか使えず、社内全体のコミュニケーションは活性化しません。
なお、自由にくつろげる工夫があるとリラックス効果が高まります。たとえば、寝転べる芝生があったり、マッサージチェアを設置したりと、ゆっくりと心身を休めることができれば、生産性の向上も期待できます。
休憩室を導入するメリットについては、こちらの記事でも解説しています。
5.ミーティングスペース
ミーティングスペースは従業員数や用途に合ったスタイルを取り入れましょう。たとえば、研修や取引先とのオンライン会議などマルチに使う場合は、情報漏洩防止のため個室を設けるのがおすすめです。
一方で、ミーティングスペースを固定化せず、間仕切りを活用するケースも増えています。そのほか、カウンターだけを配置したスタンディングスタイルやオープンタイプなど企業によって多種多様です。
6.応接室
応接室は、大切なお客様をもてなす場なのでワンランク上の空間に仕上げましょう。本革ソファやデザイン性の高い家具を配置するほか、内装や家具を無彩色またはブラウン系でまとめると重厚感が増します。
また、応接室は、来訪者を案内しやすいようにエントランス付近へ設置しましょう。セキュリティ対策として執務スペース付近への設置は避けてください。
詳しくは、「応接室のレイアウトで考慮すべき9のポイント|応接家具には何を選ぶ?」にて解説しています。
7.役員室
役員室は執務のみならず経営に関する重要な意思決定や商談に使用されるため、セキュリティの配慮が特に重要です。サウンドマスキングシステム・入退室管理システムの導入や、ダイヤルロック式の収納の設置など情報が外に漏れないようにすることが重要です。
また、役員室ではお客様を接待することもあるため、執務用デスクや応接セットは上品な印象を与えるデザインや質感のものを選びましょう。
詳しくは、「管理職の席配置はどうすべき?上司も部下も働きやすいオフィスレイアウトとは」にて解説しています。
8.社長室
社長室には機密情報が管理されています。最もセキュリティを強化しなければいけないエリアなので、社内の奥に設置するのが一般的です。入口に防犯カメラを設置したり暗証番号式のドアロックを導入したりする企業も少なくありません。一方で、従業員との交流が疎かにならないよう壁の一部をガラス張りにするなど、閉鎖的な空間にしない工夫も必要です。
役員室と同様に、社長室でもお客様を接待したり、重要な商談が行われたりするため、インテリアや家具にこだわりたいところです。企業のトップの執務スペースということもあり、ブランディングにも活用できます。
詳しくは、「「社長室」に必要な要素とレイアウトのポイントを解説」にて解説しています。
オフィス空間デザインの流れ
オフィス空間デザインの流れは下記の4ステップです。
- プランニング
- デザイン会社に設計依頼
- デザインの確認・修正
- 施工業者に施工を依頼
プランニングは施工の軸となる重要な作業です。ワークスタイルや空間の特徴、用途など多角的に検討しなければいけません。判断を誤るとワークスペースとしての機能が落ちるほか無駄なコストがかかるため、自社でも検討はできますが、できればプロへ依頼するのがおすすめです。
プランニング後、デザイン会社に設計依頼をします。図面を見せるだけでなく、希望条件や予算、解決したい課題などを具体的に伝えましょう。デザインの確認・修正を行い、問題点を解消した後は施工業者へ依頼します。ワンストップの業者であれば、プランニングから施工までまとめて対応してもらえます。
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企業が抱えるオフィス空間の課題は多様化する働き方への対応です。働きにくいオフィスは生産性の低下やコミュニケーション不足を招きます。課題解決と理想のワークスタイルの確立を叶えるには、業務内容や各エリアに合った空間作りが重要です。しかし、プランニングに頭を抱える企業担当者は少なくありません。
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