社内コミュニケーションを活性化する重要性とアイデア9選
社内コミュニケーションを活性化することは、生産性や従業員のエンゲージメントの向上など、さまざまなメリットをもたらします。一方で、リモートワークや自由出社といった働き方の多様化により、コミュニケーションを活性化させるためにどのような施策を行えば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、社内コミュニケーションのメリットと活性化のアイデア、企業が取り組んでいる施策を紹介します。
目次
社内コミュニケーションを活性化するメリット
社内のコミュニケーションが活発だと、各々が良好な人間関係を築くことができ、業務効率化に期待ができます。まずは社内コミュニケーションを活性化する具体的なメリットについて説明します。
1. 業務効率・生産性の向上
従業員同士のコミュニケーションの機会が多い場合、個々の社員が仕事の進め方で悩んだとき、気軽に上司や同僚に相談することができます。
結果として解決策が見つかりやすくなり、仕事を円滑に進めることができます。急なトラブルが発生したときも、事前に情報共有を行うことで早急な対処ができ、会社全体の業務効率や生産性の向上に期待ができます。
2. 従業員定着率の上昇
気軽に雑談を行える職場環境は、良好な人間関係の構築に影響し、オフィスにおける心理的安全性を高めます。職場で働く社員一人ひとりが自身の意見や気持ちを安心して表現できる環境は、働きやすさに直結するため、以下のようなメリットが期待できます。
・離職率の低下
社員が退職してしまう理由はさまざまですが、人間関係が要因のひとつとして挙げられます。
“内部コミュニケーションが従業員のやりがいを高め,職場活動の質を高めることを明らかにした。仕事のやりがいが高まれば,長期欠勤率,離職率,安全性記録,健康指標といった成果指標に影響を及ぼし,結果として,財務業績にも影響を及ぼす可能性もある。”
参照:櫻井通晴. コーポレート・コミュニケーションのレピュテーションへの貢献. Diss. Senshu University, 2010.
http://hdl.handle.net/10119/17741
社員同士でうまくコミュニケーションを取ることができれば、良好な人間関係を築くことにつながります。普段から気軽にコミュニケーションをとれるオフィス環境を作り、社内コミュニケーションを活性化することで、人間関係の悪化や離職率の低下を防ぐことができるのです。
・モチベーションの向上
社員が自分の目標や意見を積極的に話せる職場環境は、仕事のやりがいを感じやすく、モチベーションの向上につながるといったメリットがあります。部下と上司で双方向のコミュニケーションを取ることで、社員のやりがいや得意なことが把握しやすく、適材適所に組織を編成できるでしょう。成果をアピールする機会も増え、社員のモチベーション向上に繋がります。
・イノベーションの創出
新しいアイデアが、何気ない会話から生み出されるケースも多くあります。部署の垣根を超えてコミュニケーションを図ることができる風土は、イノベーションの創出につながるでしょう。
“近年,科学技術におけるイノベーション創出を促進するプロセスとして「対話」に注目が集まっている.国内では,2013年に文部科学省が大学発イノベーションのための対話促進を目的としたシステム構築1)を開始した.また,民間の企業や団体でも部署を超えた— 5 —「対話」が見直され,イノベーション創出に繋がる「対話」が生成される「人々の交流の場」を意図的に作り出す取り組みが行われている”宮本淳子, and 増田靖. “イノベーション創出を促進する 「対話」 型コミュニケーションの特徴——新技術開発現場における 「語り」 に関する事例研究——.”
参照:日本コミュニケーション研究 48.1 (2019): 5-27.
https://doi.org/10.20698/comm.48.1_5
社内コミュニケーションの活性化に取り組む企業が増加している背景
現代では、リモートワークが拡大してコミュニケーション不足になりやすかったり、個人の価値観や働き方が多様化していたりするため、社内コミュニケーションの重要性がさらに高まっています。次に、社内コミュニケーションの活性化に取り組む企業が増加している背景を説明します。
1. リモートワークが拡大してコミュニケーション不足になりやすい
リモートワークには様々なメリットがある一方で、社員同士が気軽なコミュニケーションを取ることが難しい点がデメリットとして挙げられます。オンラインでのやり取りは、対面の会話に比べて必要最低限になってしまいやすい傾向があります。
“テレワークでは,インフォーマルコミュニケーションが不足するため,意思伝達ができない,孤独感を感じるなどの問題が発生することが指摘されている”
参照:小川和也, 高島健太郎, and 西本一志. “Commidor: テレワーク状況における インフォーマルコミュニケーションを誘発する仮想廊下.” 情報処理学会研究報告 (2021).
http://hdl.handle.net/10119/17741
業務上の打ち合わせはオンライン会議システムで効率化できるものの、雑談などで従業員同士が親交を深める機会が減少します。また、部下や同僚の不調に気づくタイミングが遅れてしまう可能性も高まります。オンライン上でも気軽に人と接しやすい環境を整え、コミュニケーション不足を解消する仕組みを整える必要があります。
2. 急速に変化する時代でスピーディーなコミュニケーションが求められている
テクノロジーの発展や働き方の多様化により、世の中は急速なスピードで変化しています。この激動の時代を「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとって「VUCA時代」と呼びます。
”その意味は“社会環境・ビジネス環境の複雑性が増大する中で、想定外のことが起きたり、将来の予測が困難だったりする、不確実な状態”を指します。”
参照:用語解説 経営 VUCA” 野村総合研究所(NRI)
VUCA | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI)
VUCA時代では、企業内におけるコミュニケーションの遅れが致命的な問題を引き起こす可能性もあります。リスクの軽減やビジネスチャンスを掴むために、企業はスピーディーで活発なコミュニケーションが求められています。
3. 個人の価値観が多様化してお互いの理解が必要になっている
現代では、一緒に働く仲間の環境や価値観をお互いに理解し尊重する必要があります。
これまでは従業員全員が出社するスタイルが一般的でしたが、現在はライフスタイルに合わせて、在宅勤務やサテライトオフィス、ワーケーションなど、働く場所を選べる企業が増えています。例えば、「介護と両立するために在宅勤務を行っている」「通勤が心身の負担だったためサテライトオフィスを利用している」など各々が抱える悩みや環境によって働く場所を選択できる方が増えています。
こうした個人の価値観や働き方が多様化したことも、社内コミュニケーション活性化に取り組む企業が増加している理由の1つ。多様な働き方をする従業員同士が、お互いを深く理解し、良好な関係を築くことが、円滑なコミュニケーションには不可欠です。
社内コミュニケーションを活性化させるアイデア9選
社内コミュニケーションの活性化は、企業が主体となって仕組みづくりを行ったり、ツールを導入したりすることで作り上げることができます。ここからは、社内コミュニケーションを活性化させる具体的なアイデアをご紹介します。
1. フリーアドレス制を導入する
フリーアドレスとは、社員が固定のデスクを持たず、自由に働く座席を選べる働き方のことをいいます。業務で関わりの少ない従業員同士でも席が近くなるなど、違う部署の人とのコミュニケーションを自然に促すことができます。会社全体のコミュニケーションを活性化したい場合は、フリーアドレス制の導入がおすすめです。
フリーアドレスの導入については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
2. 気軽に使える交流スペースを設置する
社内コミュニケーションの活性化には、気軽に使える交流スペースの設置も効果的です。オフィス内における交流スペースの代表として、オープンスペースやリフレッシュスペース、カフェスペースが挙げられます。それぞれの特徴やメリットを詳しく説明します。
・ミーティングスペース
会議室だけでなく、気軽なミーティングに活用できるスペースを設けると、社員同士の交流も活発になります。執務スペースの近くに設置すれば、立ち話の延長のような感覚で短時間の意見交換ができます。ブレインストーミングや簡易的な会議で社内コミュニケーションを促進したい企業は、ミーティングスペースを確保しましょう。
・リフレッシュスペース
リフレッシュスペースは、打ち合わせの他にも、休憩を兼ねて雑談をするなど、フレキシブルな使い方ができることが大きなメリットです。従業員がリラックスしやすいよう、ソファや照明にこだわった空間を構築しましょう。
・カフェスペース
ドリンクや軽食を取ることのできるカフェスペースは、オフィスにおける新しい交流スペースとして注目されています。リラックスした状態で打ち合わせをすることができ、社員の意見交換がしやすくなるでしょう。また、休憩場所として活用したり、企業のブランディング向上に寄与したりと、様々なメリットが期待できます。
3. 社内ブログや社内報で情報発信する
リモートワークがメインの企業や規模が大きい組織では、会社への帰属意識が希薄になりがち。そのような場合は、社内ブログや社内報で情報発信することで、従業員同士の会話のきっかけを創出することができます。
社内ブログでは、社員の業務や休みの日の過ごし方を紹介することで、普段直接やり取りすることのない従業員同士でも仲間意識を生むことができます。また、新規事業の動向など、プロジェクトの進捗を社内報で取り上げることで、情報共有も行うことができる点もメリットです。
社内ブログを通じてお互いのことを知っていれば、会議で顔を合わせた時にコミュニケーションが活性化しやすいでしょう。
株式会社日立ハイテクフィールディングでは、社員の離職を未然に防ぐという目的で、新入社員の社員ブログを導入しています。
“また、今年度の新入社員のみが参加できる「2007年新人コミュニティ」もある。2007年度入社の安藤さんによると「新入社員は全国に配属されます。会社生活や仕事に対する不安をブログで同期と共有し、”一緒にがんばっていこう!”という目的で利用しています。”
参照:『日立ハイテクフィールディングがMovable Type Advanced(旧Enterprise)を使う理由』シックス・アパート株式会社
https://www.sixapart.jp/business/11690.html
4. 社内イベントを開催する
社内イベントでは、従業員同士の親睦を深めることができます。社内イベントには、具体的に次のようなものがあります。
- 歓送迎会
- 新年会・忘年会
- スポーツ観戦
- シャッフルランチ
- オンライン総会
- オンライン懇親会
歓送迎会や新年会、忘年会など節目となるイベントは、新しい気持ちで次のステージに進むことができ、社員のモチベーションアップにも影響します。オンライン総会やオンライン親睦会では、離れた場所でも同じ食事を手配することで、一体感や非日常感がお手軽に演出できます。
5.タウンホールミーティングの実施
タウンホールミーティングとは、経営陣と従業員が直接対話することができる集会です。タウンホールミーティングのメリットは現場の声を経営の判断に活かしたり、会社のビジョンを従業員に直接伝えたりすることができます。日本ではまだ導入企業が多くありませんが、欧米やアメリカでは一般的に実施されています。
NECでは、従業員と社長の対話を目的にタウンホールを実施。タウンホールミーティングを通して、「社長の考えを理解した」「モチベーションが上がった」といった声が上がっており、従業員のエンゲージメント向上につながっています。
“エンゲージメント向上を目的の一つとして、森田が社長就任から毎月欠かさず続けている社員とのコミュニケーションの場が「タウンホールミーティング」です。オープンな場で、社員との対話をするこの企画、2021年4月にスタートしました。コロナ禍のため、オンラインで始まったタウンホールミーティングは、毎回1万人を超えるNECグループ社員が参加。最近ではオンラインとオフラインのハイブリットで行われ、リアルの会場にも多くの社員が集まっています。”
参照:『徹底的に「対話」する。NEC社長森田が社員との対話にこだわるわけ』日本電気株式会社
https://jpn.nec.com/corporateblog/202305/01.html
6.社員食堂の設置
社員食堂とは、食事補助の福利厚生のことです。多くの社員が利用するため、普段の業務で関わりのない従業員同士の会話を促すこともあり、社内コミュニケーションの活性化に役立ちます。他にも、社員のモチベーションを向上したり、健康をサポートしたりと、様々な効果が期待できるでしょう。
7. 社内サークル・部活動を行う
企業が社内サークルや部活動の支援をすることで、新しいコミュニティを形成することができ、業務で関わりの少ない従業員同士の交流を促進します。
社内サークルとして人気が高いのは、フットサルや野球などのスポーツ関連ですが、英会話や資格取得関連のサークルなど、スキルアップできる活動も存在します。運営費用の一部を支給するなど、会社としても積極的にバックアップすることで、従業員の満足度向上や企業のイメージアップにつながります。
8. コミュニケーションツールを導入する
コミュニケーションツールは、リモートワークや在宅勤務に導入は必須といえます。メールや電話だけでも業務は進めることは可能ですが、チャットツールがあると、コミュニケーションのスピードや幅が広がります。他にも、社内コミュニケーションを活性化させるためのツールとして、以下のような方法があります。
・サンクスカードの導入
サンクスカードは、感謝の気持ちを形にして相手に伝えるためのツールです。
例えば、仕事で助けてもらった時や、良いアイデアをもらった時などに、感謝の気持ちをメッセージに込めて贈ります。
サンクスカードのメリットは、社内コミュニケーションが活性化することです。対面ではなかなか感謝を伝える機会がない場合でも、サンクスカードを導入することによって手軽に感謝の気持ちを届けることができます。
サンクスカードによってオフィスで対面した時に声をかけるハードルを下げ、新しいコミュニケーションを生むことができるでしょう。
9. 社内制度の見直し
社内コミュニケーションを促進するためには組織制度の見直しも有効です。効果的な社内制度を2つご紹介します。
・1 on 1ミーティングの導入
1on1ミーティングとは、上司と部下がマンツーマンで対話し、部下とのコミュニケーションの場を意図的に設ける手法です。1on1ミーティングでは、部下と上司で双方向のコミュニケーションが可能なため、やりがいや抱えている悩みなどオープンに話しやすことができます。部下がやりがいを再確認し、成長も感じやすくなるため、帰属意識やモチベーションアップにもつながる点もメリットです。
1 on 1ミーティングを行うブースについては、こちらの記事で紹介しています。
・メンター制度を導入する
メンター制度とは、新入社員に対して担当の先輩社員がついて行う支援体制のことです。業務の他にも、抱えている悩みを定期的に聞くなどのサポートをすることで、人材の育成を行います。
新入社員以外に、若手や昇進して間もない人を対象にするケースも。社員の悩みを解消し、成長を促すことができます。社員同士のコミュニケーションを活性化する目的の他、社員の定着率を高める効果も期待できるため、積極的に取り入れましょう。
社内コミュニケーションの活性化に取り組む企業のアイデア事例
株式会社セキュア様
館内増床プロジェクトでオフィス環境を整えることによって、コミュニケーションの活性化を図りました。
詳しくは以下のインタビューレポートをご覧ください。(ダウンロード無料)
社内のコミュニケーションを活性化できるオフィス構築なら「ソーシャルインテリア」にお任せください
今回は、社内コミュニケーションを活性化することのメリットとアイデアについてご紹介しました。これまでも多くの企業が社内コミュニケーションの活性化に取り組んできましたが、急速に変化する現代ならではのアプローチが求められます。
ソーシャルインテリアでは、オフィス空間における課題解決をトータルでサポートします。企業の成長やフェーズに合わせたオフィスレイアウトをご提案いたします。オフィス家具の一括購入とサブスクを組み合わせたハイブリットな導入も可能です。
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