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PROJECT株式会社アルマード
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SCALE522.314㎡
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CATEGORYオフィス移転
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YEAR2025
働き方を再設計する、オフィスのかたち
株式会社アルマード様
INTERVIEW
インタビュー常務取締役
蕨 博雅 様
働き方の変化で見えた改善点
前オフィスは2015年頃から利用しており、2019年には一度改装も行いましたが、その際は急遽進めた背景があり、レイアウト設計の根本的な見直しは行われていませんでした。結果として、コロナ禍以前の「全員出社・固定席」前提の設計が、リモートワーク中心の働き方と合わなくなっており、様々な課題を抱えることになってしまったのです。
具体的には、常に会議室が埋まっていて使用できない、フリースペースが固定席化している、家具の統一感がなく空間に雑然とした印象がある、配線が煩雑で整理されていない、ロッカーが不足している、などの問題が顕在化していました。
また、オフィス中央に配置されていたコールセンターでは、顧客対応中に周囲の会話が気になるという意見があった一方で、周囲の社員にとっては通話の音が業務の妨げになっており、双方にとってストレスとなる音環境の課題を抱えていました。こうした状況は、社員の集中力や業務効率にも少なからず影響を与えていたと感じています。
目に見えない課題を“体験”で解消
ソーシャルインテリア様には、今回の移転プロジェクトで物件を選ぶ段階でレイアウト案までご提案いただいており、その際のクオリティの高さが非常に印象に残っていました。最終的には別の物件に決まりましたが、現オフィスの内装コンペの際にも、その提案力を信頼し、お声がけさせていただきました。
コンペでは、エントランスのデザイン提案をはじめ、リフレッシュエリアの空間設計や、サウンドマスキングによる音環境への配慮など、全体として非常に完成度の高い内容をご提案いただきました。なかでもエントランスのパースはインパクトがあり、従業員からのアンケートでも高い評価を得ていました。
音問題へのアプローチに関しては、単に吸音材のサンプルを提示するだけではなく、サウンドマスキング機器を実際にオフィスに持ち込んでいただきました。音を流して「どうですか、聞こえないですよね?」と体感させてくださったことは非常に衝撃的で、決め手の一つになりました。目に見えない「音」という課題に対し、感覚的に納得できるアプローチを取っていただいた点に、貴社の提案力の高さが表れていたと感じています。
さらに、既存家具の転用を検討するにあたっても、単なる“流用”ではなく、どの家具をどこに配置すれば違和感なく馴染むかまで丁寧にご提案いただきました。実際、社内では「これ全部新調したの?」と話題になるほど自然な仕上がりで、プロの視点で空間と家具を整えていただいたおかげで、非常に満足度の高いオフィスになったと感じています。
出社の価値を再発見できる空間に
移転後は会議室の数が増えたことで、予約の取りづらさが大きく改善されました。以前は「取りたくても空いていない」という声が多かったのですが、今では打ち合わせや商談がスムーズに行えるようになり、業務効率も上がったと感じています。
音環境についても、以前のような音漏れに対するストレスはなくなり、明らかに快適になりました。特に会議室ではサウンドマスキングの効果を実感しており、隣室や外からの声が気にならないことで、より集中した議論ができるようになりました。執務エリアも同様で、コールセンターを空間の端に配置したことによって、周囲の業務への干渉がなくなり、静かで集中しやすい環境に整ったと感じています。
また、リフレッシュエリアはただの休憩スペースにとどまらず、日常的なコミュニケーションの場として定着しています。ランチタイムには近隣で購入したお弁当を持ち寄って、社員同士が自然と会話を楽しむ姿が見られるようになりました。これまでのような“決まった席で黙々と食べる”というスタイルから、“誰とでも気軽に会話できる”雰囲気に変化し、部署の垣根を越えた交流や情報共有が生まれています。
リモートワークが主流の時代において、出社したときこそ人と関わることの価値を感じられる、そんなオフィスになったと実感しています。
“使い方”を最適化する次のステップへ
現在は出社率が3〜4割程度と比較的落ち着いており、執務エリアにも十分な余裕があります。とはいえ、採用が想定以上に進んでいるため、今後の人員増加を見据えて、サテライトオフィスやシェアオフィスの活用など、多拠点化も選択肢に入れ始めています。
今後の人員増加を見据える中で、オフィスの機能やキャパシティをどう維持していくかは大きな課題です。すでに現在でも、会議室が予約されているのに誰も使っていなかったり、用途のないまま確保されているといった状況も見受けられます。こうしたケースが積み重なると、やがて会議室が逼迫し、オフィス全体の運用効率にも影響を及ぼしかねません。
リモートと出社のバランス、そして空間の使われ方をどう最適化するか。今後は柔軟な運用ルールや仕組みづくりがより一層求められていくと感じています。
また、現在のオフィスはフリースペースやリフレッシュエリアを活用できる設計にしていますが、依然として「会議=会議室」という意識が根強く残っています。空間設計の意図を十分に活かすには、運用ルールの整備に加えて、社員の行動意識そのものにも働きかけていく必要があると感じています。
“働く人”を主語にした空間づくり
今回のプロジェクトでは、単なる家具選びにとどまらず、「働きやすさ」や「健康面」への配慮が随所に感じられ、“働き方そのものを設計する”ような提案だったと強く印象に残っています。
たとえば導入した昇降デスクやモニターアーム(Haworth)についても、単なる利便性だけでなく、「長時間座ることの健康リスク」や「姿勢による身体への負担」といった観点を交えたご説明があり、非常に納得感がありました。
ちょうどその頃、自分自身も「Sitting is the new smoking(長時間座り続けることの健康リスクを、喫煙に例えて表現した言葉)」というフレーズを耳にしており、タイミング的にも深く共感するものがありました。こうした視点は私たちにはなかったもので、まさにプロフェッショナルならではの発想だと感じています。
一つひとつの家具や空間に「選ばれた理由」があり、それが働く中でしっかりと実感できる。目に見える快適さだけでなく、働き方や過ごし方にまで寄り添う提案だったからこそ、心から納得できるオフィスができあがったのだと思います。

株式会社アルマード
自社ブランドの化粧品やサプリメントの企画・開発・販売をはじめ、OEM(受託製造)にも対応しており、卵殻膜の機能性を科学的に解明しながら、独自性と品質にこだわった製品を国内外に提供。 高齢化が進む社会において、人々の生活の質の向上に貢献することを目指しています。