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PROJECT株式会社朝日ネット
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SCALE549.41㎡
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CATEGORYオフィス移転
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YEAR2024
ワークプレイスの最大価値化を追求した”つながり”のあるオフィス
株式会社朝日ネット様
今回は、弊社の案件担当者も交え、株式会社朝日ネットの溝上 聡司 様(取締役/上席執行役員)、大木 美由紀 様(業務部 CS推進チーム)、柿本 和子 様(業務部 CSセンター長崎)に、オフィス移転の経緯やプロジェクトの中身、移転後の運用や反響について伺いました。
- SCALE
- 549.41㎡
- CATEGORY
- オフィス移転
- YEAR
- 2024
- MEMBER
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Project Management:Yuhei Yagi / Chika Katsura
Construction Management:Shinri Suzuki
Design Direction:Tatsuhiko Igaki(BA & CO Inc.)
Project Merchandise:Takuya Oura - PHASE
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- PM
- Design
- マーチャンダイザー MD
- PR
- カスタマー・エクスペリエンス CX
- カスタマー・リレーションズ CR
- PM : プロジェクトマネジメント
- Design : 設計・デザイン
- MD : 家具選定
- PR : PR TIMES配信,開所式開催支援,マスメディア対応
- CX : 新オフィスマニュアル対応
- CR : アフター対応マニュアル作成
INTERVIEW
インタビュー溝上 聡司 様(取締役/上席執行役員)
大木 美由紀 様(業務部 CS推進チーム)
柿本 和子 様(業務部 CSセンター長崎)
株式会社ソーシャルインテリア
八木 悠平 (Project Management)
桂 知加 (Project Management)
大野 健太 (Marketing/Interviewer)
CSセンター長崎を旗艦とするために
-貴社が移転前に抱えていた課題を教えていただけますでしょうか。
溝上様
移転前の課題として、まず第一に挙げられたのは、キャパシティ不足です。
朝日ネットではリニューアル前から、顧客サービス部門の旗艦としてCSセンター長崎の規模を拡大していきたいという構想を持っており、CSセンター長崎の旧オフィスでも何度か増床を行っていました。
しかし、いよいよビルの空きスペースもなくなってきて、機能の拡張や予定している人員増加への対応が難しくなってきた状況で、タイミングよく条件の合う物件をご紹介いただき、移転を決めました。
また、CSセンターは銀座本社と長崎の2拠点に設置しており、CSセンターの運営において様々な施策を実行していく過程で、本社機能と同ビルにいる銀座のCSセンターが主導で実施していくことに課題感がありました。
移転を契機に、旗艦であるCSセンター長崎のメンバーにはより主体的に判断し、センター運営を推進してほしいと考えておりました。
大木様
以前のセンターのキャパシティは限界に近く、これ以上人員の増加は難しいと感じていました。
しかし現場で顧客対応の様子を見ていると、さらに対応のクオリティを向上させるためには、もう少し人員を増やす必要があるように感じていたんです。
また、オフィスの動線についても、以前は機能(ワークとリフレッシュ)によって区画が分かれていたため、ワークエリアとリフレッシュエリアの行き来には一度廊下に出て移動する必要があり、全体的にコミュニケーションが不足していたことも課題として挙げられます。
従業員が働きやすい環境を構築
-今回の移転において、SOCIAL INTERIORを選んだ理由を教えていただけますでしょうか。
溝上様
もともとソーシャルインテリア様の存在や、サブスクリプションというビジネスモデルについては存じ上げていました。従来のオフィスベンダーのサービスでは、旧オフィスの全体的な経年劣化やリフレッシュルームなどの設備の劣化が進む中で、改修が必要だと認識していたとしても、改修することに対してのハードルが高くなっていたように思います。
しかし、サブスクのように設備を更新しやすいサービスを導入することで、常に良好な状態を保つことができるかもしれないと考えました。またソーシャルインテリア様はサブスクだけではなく、PMやデザインまで一気通貫でご担当いただけると伺い、ご相談させていただくことになりました。
-移転プロジェクトのコンセプト・テーマを決めた背景について教えていただけますでしょうか。
溝上様
今回のプロジェクトは銀座本社からの指示ではなく、長崎のメンバーが自分たちで作り上げていくものであるということを意識してもらいたかったので、プロジェクトのコンセプト設定に関しても長崎メンバーを中心に考え、社員にとって”オフィスに行くのが楽しみになるような空間”を作り上げるよう取り組みを行いました。
大木様
朝日ネットのCSセンターが掲げる ”顧客サービス満足度No1プロバイダとして、あるべき顧客サービスの姿を体現すること” と、社員の実際の声から見えてきた ”コミュニケーションの促進”と”働く人を第一に考えグッドコンディションで働き続けられること” を掛け合わせ、 ”人が行き交い、成長する。そして最高の顧客体験へ 交流を基軸とした新しいカスタマーセンターの形成” をコンセプトとしました。
また、ソーシャルインテリア様からのご提案にもありましたが、長崎の県民性や歴史・風土・長崎駅を中心としたまちづくりの基本方針に、”交流とにぎわいの都市拠点の形成”という内容が設定されており、朝日ネットの企業理念である”交流と創造”と共通点がありました。
今後、更なる人員の拡大とJR長崎の街づくりや地域貢献、地元企業・コミュニティとも連携を高めて地域に密着し、長崎県、長崎市への雇用促進活動とつなげていきたいと考えております。また今回、プロジェクトのコンセプト作り自体が初めての経験だったので大変でしたが、それと同時に、様々な検討や判断をするにあたり、コンセプト設定の重要性を改めて実感しました。新しいセンターの運用が始まった今、さらに自分の中で定着したように感じます。
物理的にも心理的にも“つながる”オフィス
-今回のプロジェクトの中で最も大変だった工程を、皆様それぞれの視点で教えていただけますでしょうか。
大木様
最も大変だったのは、家具や設備などの検討よりも、どのような取り組みを推進するのか、そのための設備は何が必要なのか、また、ファシリティを活かしてどのように運用を進めていくのか、を検討することでした。
今回、環境を一新し、より機能的な設計に刷新したことで、その活かし方を考えることに多くの時間を費やしました。他社の事例を参考にしたり、課題を再確認したり…取り組み内容が決まらないと必要な設備も確定できず、時間との戦いという面でも苦労したポイントといえますね。
皆様からフィードバックをいただきながら、現在も改善に向けて試行錯誤を続けています。
柿本様
第1フェーズで要件定義を行うために、社員全員でアンケートやワークショップに参加したのですが、そこで上がった多くの意見やアイデアを基にコンセプトと照らし合わせながら、会議室数や機器類などの具体要件を決定していくことが非常に大変でした。移転プロジェクトという初めての経験を通して、情報収集と議論を重ね、最適なセンターを作り上げていくのだという想いがあったことで、自分たちが働く場所により一層愛着が生まれたように感じます。
PM担当|八木
お二人のご意見がまさにそのとおりで、私自身もそこが難しい点であったと感じております。
ハード面はリモートのミーティングでも比較的順調に進行できたかと思います。しかし、実際に運用していく方法や想定される利用状況については、やはり現地の様子を把握することが重要です。
ここは長崎チームが綿密にリサーチをしてくださり議論を重ねる中で、お互いに理解が深まっていきスムーズに進行できました。
柿本さんがおっしゃっていた要件定義の方法についても、人感センサーによる会議室利用率調査を含めいくつかの内容で検討していましたが、今回は我々からの一方的な提案ではなく、可能な限り朝日ネット様に主導権を握っていただき、取捨選択の判断をしていただきました。
こういった要件を決めるタイミングは皆様にとって数年に一度しか経験することのないものなので、どこまでをこちらで提案してどこまでおまかせするかの判断は、かなり慎重に行いました。
PM担当|桂
定例ミーティングの際にさまざまなご要望やご質問をいただく中で、それに対してシンプルに質問に回答するだけでは、意味がないと感じていました。朝日ネットの皆様の秘められた裏の声(=真意)を読み取る必要があると感じていたのですが、そこを精査して具体的な提案に落とし込むのが、難しかったポイントです。
-とくに気に入っている点や、評判の良いポイントについて教えていただけますでしょうか。
大木様
まず第一に変わってよかったと感じるのは、エリア全体が繋がっていることです。
“つながりのあるオフィス”というデザインコンセプトのとおり、社員の顔が見えやすく、誰がどこで何をしているのかよくわかります。休憩室や研修室の様子もガラス越しに見ることができるので、直接コミュニケーションを取らずとも、お互いの様子がわかるのも良いですね。
また、休憩スペースの多様性も魅力的に感じます。リフレッシュルームでは、休憩中に会話を楽しんだり、しずかにゆっくり食事をしたり、その時々で休憩スタイルが選びやすい設計にしていただきました。働く場所と休憩場所がうまく循環しているのは理想的ですし、社員からも評判が良いです。コミュニケーションの促進と情報連携の仕組みとしては、リフレッシュエリアとワークスペースにて大型モニタを活用した情報共有を行っています。
リフレッシュエリアには、会話のきっかけとなるような業務以外の情報をメインとして、社内イベントやサークル活動、タウン情報を配信しており、よい社内風土を醸成を目指しています。
ワークエリアでは、本社と長崎の拠点間のリアルタイム中継することで双方のセンターの状況が把握できます。また、社内会議室の機能としてWeb会議システムを充実させ、各拠点がよりシームレスにつながり、連携が迅速かつ効果的に実施できる仕組みで運用されております。
柿本様
ミーティングスペースが充実しているところに魅力を感じます。
新オフィスでは、会議室の増設の他、ワークエリア内にオープンミーティングスペースも設置しました。旧オフィスでは、業務におけるフィードバックを行う際には、コミュニケータまたは管理者の自席で行うことが多かったのですが、現在はオープンミーティングスペースを利用することで、顔を合わせて集中してコミュニケーションを行うことが可能になりました。
カジュアルにアクセスしやすく、また、衝立があるので周りの目を気にすることなく、しっかりと目線を合わせたコミュニケーションができる、社員が相談しやすい環境になったのではと思います。
溝上様
エントランスの温かみのある雰囲気が、とても気に入っています。
また、リフレッシュルームからオフィスに入る動線も良いですね。以前は、執務室に入るとすぐに電話で忙しくしているメンバーの姿を見ることが多かったのですが、今はリフレッシュルームでリラックスした表情を見られます。
-提案側として、気に入っている部分やこだわった部分など教えていただけますか。
PM担当|八木
センターのレイアウトに関して、正方形に近い形状ではなく、縦長の区画を採用しているんです。
一般的な3段積み構造ではなく、縦方向に細かく区切られることで、視線が縦方向にも横方向にも抜け、動線もスムーズに流れるように設計されています。
また、リフレッシュエリアとワークエリアはガラス壁で仕切られていますが、天井や床の仕上げを変えることで、物理的に区画され、距離感をとりながらも、視覚的なつながりを維持しています。さらに、リフレッシュエリアとワークエリアの間に簡易ミーティングスペースを配置することで、より立体的な空間を実現しています。各エリアの行動に対して、機能的な配慮をしつつ、開放感のある空間が作られているんです。
溝上さんがおっしゃっていたエントランスには、波佐見焼の陶磁器片の壁を採用し、オリジナリティと長崎らしさを表現しています。また、社名のロゴにも使用されている赤を基調としたフレームと、木目調を採用することで、温かみのあるHUMANITYを表現した空間を演出しています。
PM担当|桂
パーソナルスペースとオープンな空間、執務スペースをうまく共存させるのが課題であったと同時に、こだわりのポイントです。
通常、用途の異なるエリアが同じ空間にあると、音問題によって、業務・休憩に集中できないなどの問題が発生することが多くあります。しかし、今回の設計では、それぞれのエリアをしっかりと壁で区切ることで問題を解消しながらも、各所に窓がありオフィス全体が見渡せるレイアウトなので、開放感があるだけでなく何がどこで起きているのかを把握しやすくなっています。
-オフィスを実際に使っていただいて、業務やビジネスにも変化がありましたか?
溝上様
今回のリニューアルを契機に、広告やメディア露出などにも改めて力を入れたことで、採用に非常に好調な効果が出ています。センターに関するCMやメディアを見て応募したという方も増えています。
また社内の話では、以前に比べてセンターに対する社員の帰属意識が全体的に向上していると感じます。個の集団という意識から、センターの一員という自覚が生まれ、一体感が向上していますね。
大木様
オフィス移転後に積極的に取材を受けたり、各種活動を行った結果、採用活動は非常に好調に滑り出しています。
業務の面でいうと、ワークエリアにモニタを設置していただいたことで、コールセンター稼働時間の着信状況や業務関係のお知らせ事項をサイネージで表示できるようになりました。
旧オフィスでは、各コミュニケーターが自分のパソコンで着信状況を確認するのみでしたが、このサイネージによって、管理部門のスタッフも、コールセンター全体の状況を把握できます。そのため、SVや管理部門のメンバーが、状況に応じてコミュニケーターに声かけを行い、業務をフォローしやすくなりました。
柿本様
リニューアル後に入社したメンバーを見て、空間をうまく使うことでコミュニケーションを活発に行っていると感じます。リフレッシュルームのようなコミュニケーションスペースが多くあり、それらをうまく利用することによって、以前のオフィスでは無かったカジュアルな交流ができているなと思います。
新入社員はリニューアル後のオフィスが新鮮ということもあってか、積極的にコミュニケーションを図ろうとする前向きな姿勢を持っており、それが既存メンバーも含めたチームワークの向上にも繋がっているように思いますね。
ワークプレイスの真価を伝承するセンターへ
-今後、オフィス環境でさらに変化・アップデートさせていきたいポイントはありますか。
溝上様
今後年数を経るにつれて、構築時のメンバーから新しいメンバーへオフィスの活用を伝承していく必要性があると思っています。
また、従業員数が大幅に増えたときに、適切な動線確保や1人当たりのワークスペース確保が課題となる可能性があるので、そこは検討しながらアップデートを進めていきたいですね。
大木様
CSセンターとして、全社員が自ら考え機動的に動き、お客様に最適な対応をできる組織を目指します。
また、現在でもコミュニケーション促進に力を入れていますが、メンバー間の繋がりをさらに深め、強い絆で支え合える組織をつくり、業務のパフォーマンス向上に繋げていきたいと考えています。
ハードの部分では、モニターをさらにうまく使えるようにしていきたいですね。
柿本様
持続的に従業員のエンゲージメントを高められるような取り組みを考えて実行していきたいと思ってます。
PM担当|八木
ワークプレイスが本当に価値を発揮するかどうかが真の意味でわかるのは、これから先です。
作られた皆様がいらっしゃる間は言葉や説明で伝承し続けられますが、本当にCSセンター長崎が会社の歴史に刻まれるかどうか、世の中にあるCSセンターを持たれてる他の企業様にどう見てもらえるかといったところは、ここから先、持続的に運用を回しながら発信・伝承し続ける必要があると思っています。
株式会社朝日ネットについて
主要サービスであるインターネット・サービス・プロバイダ「ASAHIネット」は、光接続サービス、モバイル接続サービスなど利用シーンやデバイスに合わせて選べる幅広い接続サービスを提供。
回線品質の高さと迅速かつ的確なサポートにより、顧客の快適なインターネットライフを支え続けています。