オフィス移転には複雑な手続きが伴います。この記事では、公的機関への届出から不動産・管理会社との調整、取引先への通知、金融機関や通信サービスへの手続きまで、オフィス移転に必要な一連のプロセスを網羅して解説します。
さらに、オフィスの作り方ロードマップでは、オフィスづくりプロジェクトにおいて大切なポイントを紹介。資料後半では「オフィス移転に伴うやることリスト」をダウンロードできます。ぜひ、ご活用ください。
目次
公的機関への手続き
まずは、公的機関への手続きです。法務局や税務署、労働・社会保険関係、郵便局など、オフィス移転に必要な手続きを解説します。適切に手続きを行うことで、新しいオフィスでの業務がスムーズに開始できるでしょう。
法務局
法務局では、会社の登記住所変更を行います。移転に伴い、登記簿に記載されている住所を新しいオフィスの住所に更新することが法律で定められています。手続きには、以下の書類の提出が必要です。
- 本店移転登記申請書(管轄外への移転の場合は2通)
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録または取締役決定書
- 委任状(管轄外への移転の場合は2通)
- 印鑑届書(管轄外への移転の場合のみ)
申請書には、新しい住所、移転日、登記を行う理由などの情報を記入し、必要に応じて株主総会の議事録や定款の変更書類とともに提出します。管轄内への移転の場合と、管轄外への移転の場合で添付書類は異なります。必要書類をしっかりと確認の上、正確な手続きを行いましょう。
税務署
税務署への手続きは、「異動届出書」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」があります。異動届出書は移転後速やかに、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書は移転後1ヶ月以内の提出が必要です。
いずれも移転前の管轄税務署へ提出する必要があり、e-taxを利用してオンラインで提出することも可能です。異動届出書では、法人名や所在地、納税地、異動事項などを報告し、給与支払事務所等の届出書では、法人番号や移転年月日、届出の内容、理由を記載します。
また、都道府県税事務所へは、「事業開始等申告書」を移転後速やかに提出しなければなりません。手続きを適切に行うことで税務上の問題を回避し、事業運営を円滑に進められるでしょう。
年金事務所・労働基準監督署・公共職業安定所
社会保険や労働保険の届出も必要です。手続きは、会社の人事労務担当者が行うか、もしくは社会保険労務士に提出代行を依頼することも可能です。
【社会保険(健康保険・厚生年金保険)】
- 提出先:年金事務所(健康保険組合加入の場合は健康保険組合へも提出が必要)
- 書類名:適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
- 届出期限:移転後5日以内
【労働保険(労災保険)】
- 提出先:労働基準監督署
- 書類名:労働保険名称、所在地等変更届
- 届出期限:移転の翌日から10日以内
【労働保険(雇用保険)】
- 提出先:公共職業安定所(ハローワーク)
- 書類名:雇用保険事業主事業所各種変更届
- 届出期限:移転の翌日から10日以内
届出期限や必要書類は機関によって異なります。移転前に確認し、期限内に適切な書類を提出しましょう。
郵便局
郵便局への届出により、郵便物の転送サービスを利用できます。転送サービスを利用すると、旧住所宛の郵便物を新住所に1年間無料で転送してもらえるため、重要な郵便物を見落とすリスクを減らせます。
転送サービスは、e転居、郵送、または郵便局窓口のいずれかの方法で手続きが可能です。インターネットでの手続きにはゆうびんIDでのログインが必要で、本人確認が完了している必要があります。郵送の場合は、転居届を郵便局から入手し、必要事項を記入後、専用封筒に入れて郵便ポストに投函します。窓口での手続きでは、提出者の本人確認資料のみで可能です。
転送サービス開始までは、手続きから若干のタイムラグが発生する可能性があるため、移転前に手続きを済ませておくと良いでしょう。
その他の手続き
オフィス移転に伴う手続きは、その他多岐にわたります。ここでは、主要な手続きを要約し、それぞれの重要ポイントを紹介します。
不動産・管理会社
オフィス移転時、不動産・管理会社への解約通知は契約に基づき、通常3〜6ヶ月前までに提出する必要があります。賃料の最終支払いを確認し、期限を過ぎないように注意しましょう。
また、移転時に最もトラブルが発生しやすいのが原状回復です。契約内容に基づき、どの程度の原状回復が必要かを確認し、退去日までに完了させましょう。原状回復の範囲と責任を明確にし、トラブルを避けるためにも、事前にスケジュールを立てて進めることが重要です。
取引先・協力会社
オフィス移転の際、取引先や協力会社へは計画が確定したら早めに通知することが大切です。一般的には移転1か月前には、遅くとも1〜2週間前までには連絡を完了させることが望ましいでしょう。
また、移転に伴い振込先情報の変更が発生する際は、合わせて伝える必要があります。住所変更による契約書の再締結は不要ですが、移転に伴う必要な情報を正確に共有し、適切なコミュニケーションをとることが重要です。
金融機関・クレジットカード
法人銀行口座の登録住所や法人名義のクレジットカード、ETCなど、金融関係の住所変更手続きも、忘れず実施しましょう。
手続きの方法は、銀行口座の場合は印鑑や通帳、印鑑証明書などが必要になることが一般的ですが、オンラインで対応できる場合もあります。具体的な情報は、銀行やクレジットカード会社によって異なるため、詳細は各金融機関のWebサイトやカスタマーサービスに確認してください。事前に必要な対応を把握するのが望ましいでしょう。
通信(インターネット・電話回線)
オフィス移転時、インターネットや電話回線の変更手続きは必須です。さらに、業務システムなどを提供するサービスベンダーの変更手続きが発生する場合もあります。
早めに通信プロバイダーや電話会社に連絡し、新オフィスでのサービス利用開始の準備を進めましょう。適切なプランの選定や回線速度の確認も、新しいオフィスの業務効率に影響します。必要に応じて契約の更新や解約を行い、機器の返却も忘れず行いましょう。詳細な手続きや必要書類については、各サービスプロバイダーに確認が必要です。
その他
防火防災管理者や消防計画など、オフィスの移転には、その他にも事業内容によって追加の手続きが発生します。例えば、職業紹介事業者や飲食店の経営、不動産業など、特定の業種では、業務内容に応じた特別な届出や許可の更新が求められます。
また、宅急便会社への移転連絡や、移転後の物流運用に関する手続きも重要です。通信設備については、光回線や電話回線の架設申込みや、既契約のサービスの移設手続きが必要になります。
新旧オフィス間でのスムーズな業務移行を実現するためには、必要な手続きを計画的に進める必要があります。自社が必要な手続きが何かを事前にリストアップして、スケジュールを組みましょう。
漏れなく対応するため事前準備を進めよう
オフィス移転とは、単に働く場所が変わるだけではなく、会社にとって新たなスタートの象徴となる大きなプロジェクトです。この記事を参考に、移転に必要な届出や手続きの全体像を理解し、計画をスムーズに進めましょう。
また、以下のオフィス移転に伴うやることリストを利用し、滞りなく届け出ややるべきタスクを完了させましょう。(ダウンロード無料)
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