社員の働き方に合わせたオフィスのレイアウトのコツさえおさえれば、業務効率化や生産性の向上といった効果が期待できます。

本記事では、オフィスのレイアウトを決める際のコツを、手順に沿って解説していきます。オフィスレイアウトのポイントを押さえて、理想のオフィスをスムーズに構築するためにぜひ参考にしてください。

オフィスレイアウトのコツをまとめて紹介

オフィスレイアウトを考える際のコツについて、流れに沿って解説します。オフィスレイアウトをどのような流れで決めていくのか、確認していきましょう。

1.要件の整理をする

まずは、「どのようなオフィスにしたいのか」「解決したい課題は何か」など要件を洗い出し、コンセプトを決めていきます。

オフィスのコンセプトとは、こだわりやテーマといった言葉で言い換えることができます。例えば、「風通しが良く明るいオフィス」「ホッとするアットホームなオフィス」といったものです。企業のビジョンやミッションをコンセプトに反映させるケースもよく見られます。

コンセプトが確立されていれば、要件に沿って設計プランや家具の設置などがスムーズに決まりやすく、働き方や目的に合ったオフィスの実現につながります。

2.ゾーニングをする

コンセプトが決まったら「ゾーニング」を考えます。ゾーニングとは、オフィス空間を用途や機能ごとに図面上で区分けすることです。オフィスのコンセプトや用途、機能を基にゾーニングを行い、区分ごとのレイアウトを決めていきます。

主なゾーンには、社員向けの執務室や会議室などの共有スペース、多目的スペース、通路を含む交通スペースなどがあります。ゾーニングでは、広さや各部屋同士の兼ね合いなどを総合的に考慮して決めていくことが大切です。

ゾーニングにおける4つのポイントについて詳しく説明します。

一人当たりに必要な面積を計算する

執務スペースのレイアウトでは、利用人数を考慮してスペースの広さを決める必要があります。株式会社ザイマックスの「1人あたりオフィス面積調査(2022年)」によると、2019年時点で一般的なオフィスにおける利用者1人あたりの賃借面積は3.71坪(12.26㎡)です。50人の社員が働くオフィスは、約613㎡(12.26 × 50)と算出できます。

コンパクトなスペースに、無理にデスクを詰めると圧迫感から居心地が悪くなり、生産性の低下につながる可能性があります。社員数に対してどのくらいのオフィス面積が必要なのか、上記の数値を参考に目安を算出しておくと良いでしょう。

ゾーニングごとのスペース配分に注意する

ゾーニングに関して、スペース配分を適切に決めることも大切です。オフィス全体に対して、各ゾーンにどの程度のスペースが必要なのか、割合を決めておく必要があります。

オフィス全体に対するゾーンごとの割り当て面積の目安として、以下「面積占有率」を参考にすると良いでしょう。

  • 執務スペース:50〜60%
  • 役員スペース:8%
  • 共有スペース(会議室・応接室など):14%
  • リフレッシュスペース(カフェスペース・休憩スペースなど):7%
  • 収納スペース:4%
  • 情報管理スペース(サーバー室など):10%
  • 交通スペース:2%

上記はあくまでも目安で、業態やワークスタイルなどによって、企業ごとに割合を調整する必要があります。例えば、デスクワークが多い場合は執務スペースやリフレッシュスペースを多めに取る、来客が多い場合は共有スペースの割合を増やす、といったように必要に応じて柔軟に変更しましょう。

エリア別オフィス空間をデザインするときのポイントについて、「企業が抱えるオフィス空間の課題とは?オフィスデザインのポイントを解説」もあわせてご参照ください。

応接室・来客用会議室の場所を最初に決める

ゾーニングごとの配置では、取引先など社外の人を案内する応接室や来客用会議室の場所を最初に決めます。応接室は、特に重要な商談で使用する部屋です。お客様の移動を少なくすることや、セキュリティ面を考慮して、エントランスや入り口の近くに設置すると良いでしょう。

日常的に使用する来客用会議室も含め、社外秘の情報が訪問者の目に触れないよう、執務スペースを経由しない動線を確保することも重要です。また、お客様が社内のトイレを使用することや、お茶出しを想定して、場所を考えると良いでしょう。

応接スペースや会議スペースは社長室に併設させることもできます。社長室に求められる要素やレイアウトのポイントは、「「社長室」に必要な要素とレイアウトのポイントを解説」にて解説しています。

他部署との関わりを意識してゾーニングする

優先すべき応接室と来客用会議室の場所が決まり、大まかなゾーニングができたら、残りのスペースの配置を決定していきます。業務上の関わりがある部署を意識して、ゾーニングすると良いでしょう。

やり取りの多い部署同士が近くにレイアウトすることで、コミュニケーションが取りやすくなり、業務効率化にも役立ちます。

また、細かなレイアウトを決める上で、社員の働き方も重要な要素です。例えば、内勤の社員が多い場合、執務スペースの近くに休憩エリアやリフレッシュスペースを設置することで仕事中のメリハリがつき、集中力がアップするでしょう。

3.動線を決める

「動線」とは、社員やお客様など利用者が動く通路や経路のことです。動線の簡素化により、スムーズに移動できる、移動時間が短縮できる、などのメリットが見込まれます。また、事故や怪我の防止にもつながります。

感染症対策として密接リスクを軽減するためにも、通路幅は広めに確保しましょう。オフィスの通路幅は、人がすれ違うメインの通路や座席同士の間隔は1,600mm(160cm)前後、座席と壁の間は900㎜(90cm)前後、収納と座席の間は1,500㎜(150cm)前後が適切とされていれます。

また、オフィスにおける人と人とのフィジカルディスタンスは、約2,000mmが目安です。窮屈に感じることなく、快適に働ける環境を構築するためにも、適切な動線を考えて設計しましょう。

4.他社のレイアウト事例を参考にする

オフィスレイアウトは、各企業でビジョンやワークスタイルが異なるため、自社のオフィスに合わせて考える必要があります。ゼロからレイアウトを作っていくこともできますが、他社のアイデアや事例を参考にすると、スムーズに進められるでしょう。

基本的なオフィスレイアウトのタイプをいくつか紹介します。「島型(対向型)」のレイアウトは、部署やグループごとにデスクを付け合わせるため、コミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。

また、「同向型(スクール型)」の場合は、個々のデスクを同じ方向に並べることで、業務に集中しやすい環境を作ることが可能です。リモートワークや在宅勤務を導入している職場では、「フリーアドレス」タイプにすることで、省スペース化につながります。

レイアウトパターンについて、詳しくは「おすすめのデスクレイアウトパターン5選」もご参照ください。

コツをおさえてスムーズにオフィスレイアウトを決めよう

最適なオフィスレイアウトを実現するためには、他社の事例も参考にしながらコツをおさえて考えることが重要です。しかし、コンセプトや要件を明確にし、必要な広さやゾーニング、動線を決めていくには専門知識も必要なため、オフィス構築の専門家に相談すると良いでしょう。

ソーシャルインテリアでは、オフィス移転やレイアウト変更をお客様とともに作り上げる「併走型オフィス構築」に強みがあります。「何から手を付けて良いか分からない」という場合にも、現状や希望の予算から最適なレイアウトをご提案いたします。まずは下記お見積りフォームよりお気軽にご相談ください。