近年は、社長も含めた会社のメンバー全員がフリーアドレス制で働いていて、あえて社長室を設けないオフィスもあります。もちろんそれも一つのあり方ですが、社長室には企業の顔としての役目があり、ときには単なる社長の作業部屋以上の重要な意味を持ちます。
今回は、社長室の役割とレイアウトの考え方をご紹介します。社長室の設置やレイアウトで悩むご担当者様は必見です。
目次
オフィスに社長室を設置する必要性とは
企業によっては「そもそも社長室を設置する意味を感じない」というケースもあるでしょう。しかし、社長室は、従業員のワークスペースとは別に設けたほうが良いことも多いです。社長室をあえて設けることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
1.集中して社長業務に取り組める
社長室があることで、集中して業務に取り組むことができます。単に作業をするだけであれば「従業員と同じスペースで良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、社長の業務は一般の従業員の仕事とは性質が異なります。ときには経営の根幹に関わる重要な決定や、人事にまつわる判断を下さなければならないこともあります。
「社員に聞かれては困る」「人の目を気にせずにじっくり検討したい」といった決定を適切に行うには、相応の集中力と、リラックスして考えられる場所が必要です。そのため、人の目を気にせず作業できる社長室は必要な場合が多いのです。
2.機密情報の漏えいを防止する
社長の受け持つ業務には、他の従業員の目に触れることが相応しくないものもあります。経営の内情に関わることや、取引先の経営状況に関わること、人事評価のデータなど、取り扱いに注意が必要な情報が登場することも多いでしょう。
こうした情報の掲載された資料は、従業員の目の届く場所にあってはいけません。機密情報を社長室の内部だけで処理できるようにすれば、社内の機密漏えいの防止になります。
3.企業ブランディングに効果がある
社長室を設けることには、企業のブランディングに対しても一定の効果があります。社長室は、執務室としてだけではなく、時に応接室としての役割も果たします。社長が直接対応する相手は、相応の立場を持つ人であることが多いです。社長室の内装は、相手からのブランドイメージに繋がります。
洗練された社長室の内装は、相手方にも良い印象を与えることができます。また、会社の個性を反映したレイアウトにすることで、来客へのPRとしての役割も担ってくれます。
4.重要な来客シーンでもスムーズに対応できる
社長室がある場合、重要な来客にもスムーズに対応できます。企業には会議スペースが設けられていることが一般的です。しかし、それとは別に、重要な来客専用の応接スペースつき社長室があれば、会議室が埋まっているときに急に重要な来客があっても慌てる必要はありません。
また、会議室は従業員全員が利用するため、どうしても事務的で親しみを感じさせにくい印象になります。この点、社長室に通すことで、来客に対して「もてなしの心」をアピールすることができます。会議室を利用したときと比べれば、来客との間の心理的距離も近くなるので、商談も円滑に進みやすくなるでしょう。
5.従業員のパフォーマンスを維持できる
社長室の存在は、従業員のパフォーマンスにも関係してきます。組織にもよりますが、社長の存在は少なからず従業員を緊張させるものです。従業員との心理的距離が近い会社であれば良いのですが、そうでない場合は同じワークスペースを共有するのは必ずしも適切ではない場合もあります。お互いの距離が近いことで、思うようにパフォーマンスを出せないこともあるでしょう。
前述のように社長自身の業務も共通スペースで処理することが相応しくないものが多いものです。お互いの業務を円滑に進めるためにも、社長室を設けておくことをおすすめします。
また役員室については別の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
社長室のレイアウトに求められる5つの要素
「どのような社長室が適しているか」は会社によっても異なります。一般的に、社長室のレイアウトには次のような要素が必要です。
- 機密性
- 解放感
- 十分なワークスペース
- 企業イメージが反映されたデザイン
- 高級感・重厚感
順を追って、詳細を紹介していきます。
1.機密性
社長室に欠かせない要素の1つが機密性です。社長室で取り扱う情報は、社外秘・部外秘のものも少なくありません。そのため、情報漏えいが発生しないよう、セキュリティ対策が必要です。
具体的には遮音性・遮蔽性・入退室の管理が重要です。たとえば、次のように対策をすることができます。自社に適したやり方を検討してみましょう。
【社長室の機密性を高める例】
- 遮音性:音漏れに強い壁やドアを採用する
- 遮蔽性:外部から中が見えないよう目隠しする
- 入退室の管理:入退室管理システムの導入する、社長室への連絡は原則内線で行うなどルールを設ける
2.開放感
社長室には、開放感も必要です。閉塞感が出ると社長自身の業務効率が悪化する原因となり、また従業員とのコミュニケーションも停滞しがちになります。応接室としても利用するため、来客に圧迫感を与えることにもなりかねません。
注意が必要なのが、開放感と機密性の両立です。とくに、開放感を意識しすぎて遮蔽性を損ねると、情報漏えいに繋がります。
開放感と機密性の両立アイデアとしては、次のようなものが考えられます。
【開放感を確保する例】
- 壁を中の見えないフィルム貼りのガラスにする
- 社長室のスペースを広めにとる
- 外の景色が映る窓を確保する
予算によってとれる対策は異なるため、費用感も一緒に相談してみるのがおすすめです。
3.十分なワークスペース
社長室内に、ワークスペースを十分に確保することも大切です。ワークスペースの広さは使い勝手や業務効率に直結します。社長が重要な業務を行う部屋にもかかわらず、せまい部屋やギリギリの幅のデスクなど窮屈なワークスペースは、来客からの印象はあまりよくありません。社長用の仕事がしやすい大きなデスクや、室内を移動しやすい広めの通路なども確保する必要があります。
なお、オフィスのデスクの標準的なサイズは幅1200mmです。1400mm幅を確保できれば、モニターのほかに資料を広げて書類仕事もできます。通路の幅は、900mm程度が一般的です。デスクの幅と通路幅も考慮しながら、社長室のレイアウトを検討しましょう。
4.企業イメージが反映されたデザイン
社長室には、その企業のイメージを反映させたデザインにしましょう。企業イメージとかけ離れたレイアウトにしてしまうと、来客を招く場としては相応しくありません。
たとえば、法律事務所のオフィスであれば、ポップで明るいイメージよりは、知的で落ち着いた雰囲気のほうが、来客からの信頼は増します。そのほか、企業の経営方針なども意識しつつ「どう見せたいか」を念頭にデザインを考えることをおすすめします。
5.高級感・重厚感
社長室は、会議室や応接室よりも重要な来客を迎えることが多くなります。そのため、家具や内装の高級感・重厚感も大切にしなければなりません。
たとえば、ソファや応接セットを配置する場合、布張りのものより革張りのほうが、より上質で高級感のある印象を与えるでしょう。また、部屋自体のデザインとのバランスにもよりますが、明るい色よりもダークカラーのほうが、シックでスマートな雰囲気を出しやすくなります。
会社のコンセプトによっても適した家具は異なりますが、ビジネスユースを意識しながら家具選びをすると失敗しにくくなります。
社長室のレイアウトを考えるときのポイント
社長室のレイアウトや利用シーンを考える場合に、押さえておきたいポイントを紹介します。
1.エントランスからは離れた場所に設置する
社長室の配置は、エントランスから離れた場所にすることをおすすめします。というのも、社長室はその業務の都合上社外秘・部外秘の書類や情報が多く集まります。セキュリティの観点から、入口のすぐ近くに配置することは望ましくありません。
エントランスのそばは、部外者が侵入しやすく、万一の盗難の際も従業員の目に触れにくくなります。応接室を兼ねる場合はあまり奥まった場所も考え物ですが、入口からはある程度の距離を確保しましょう。
また、円滑な業務のため、秘書室や管理部門など業務上の関係が深い部署は近くに配置することがおすすめです。業務内容が無関係な従業員の目に触れにくくなるため、こちらもセキュリティ対策になります。ただし、応接室の機能を兼ねた社長室とする場合は、来客動線を考慮した場所に設置しましょう。
2.セキュリティ向上のためのシステム・ルールを導入する
社長室で扱う情報やデータを保全する理由から、セキュリティ向上のためのシステムやルールを導入することがおすすめです。
たとえば、入口付近にカメラを設置し、不在時の人の出入りを記録しておくと、万一の際の対処に役立てることができます。また、カードや社員証で出入りするようにして入退室の記録を取っておくこともおすすめです。そのほか、電子端末の持ち込みや不在時の鍵の管理なども明確にしておくと効果的です。
ルールを導入する際は、セキュリティ対策が「慣れ」によって形骸化しないよう注意してください。なるべく属人化する部分を減らし、システムで管理するよう工夫することが大切です。
3.従業員と適切な距離を保てる工夫をする
従業員と「離れすぎず、近すぎない」適切な距離を保つよう、社長室にも工夫が必要です。社長と従業員の間に壁があると、組織内での課題が社長の耳に入ってこない、知らない間に問題が発生し深刻化する、という事態に陥ることがあります。
社長室は、セキュリティを確保しつつも「隔絶」されないよう注意が必要です。たとえば、壁に覆われた完全個室の社長室は、少なからず入りにくさを感じさせてしまいます。こうした場合、壁にすりガラスを利用して、視覚的な断絶感を弱めるなどの工夫ができます。
従業員に「入りにくい」「相談しにくい」と感じさせてしまう雰囲気にならないよう注意しましょう。
4.応接・会議スペースを設ける
社長室には、応接スペースや会議スペースを設けることをおすすめします。会議や打ち合わせのなかには、通常の会議室や会議スペースでは、機密性が不足するケースもあります。事業戦略に関係する話し合いや、重要な大口契約などがその例です。こうした用途には、やはり社長室内の応接スペースを使うのが望ましいでしょう。
応接スペースの家具は、なるべく上質で品の良い印象を与えるものを選びましょう。近年は、オフィスにカジュアルなインテリアを置く企業も増えていますが、企業のイメージや方向性をふまえてよく検討が必要です。基本的には上質な家具を利用することで、来客に対して「特別なお客様である」と態度で示すことができるので、その後の商談や打ち合わせの円滑化にも繋がります。
5.デザイン性・機能性を兼ね備えた家具を採用する
社長室に配置する家具は、機能とデザインを兼ね備えていることが重要です。「とりあえず使えれば良い」ということであれば、ノーブランド品の低価格な家具をつかうこともできますが、高機能は見込めません。使う人に必ずしも寄り添っているとはいえず、使用中に小さなストレスを感じるものです。
一般的に信頼できるメーカーの最新の役員家具は、高い機能性とデザイン性を兼ね備えています。来客を通す以上「見られる」ことを意識した家具選びは非常に重要です。また、使用によるストレスを可能な限り排除し、かつ社長室にあった雰囲気の家具を選べるのは、高級家具ならではといえます。
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社長室は、会社の顔であり、かつ重要業務や意思決定の場となる重要エリアです。その性質を理解し、会社に合ったレイアウト・デザインにすることが大切です。とはいえ、会社のレイアウトは「どのようなデザインが自社に合うのか分からない」というケースは多くあります。
社長室のレイアウトに悩んだときは、ぜひソーシャルインテリアにご相談ください。ソーシャルインテリアでは、オフィス空間の構築をトータルサポートしています。応接室や社長室などエグゼクティブエリアの構築経験も豊富です。設計からデザイン、家具選びまでご相談いただけます。
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