社内の雰囲気を大きく変えるオフィスレイアウト。快適なワークスペースの構築はリフレッシュ効果だけでなく、従業員の生産性やモチベーションの向上にもつながります。

本記事では、基本のオフィスレイアウト・デスク配置パターンを8種ご紹介します。その他、参考事例や生産性UPに効果的なオフィスレイアウトを設計するポイントも分かるため、オフィスのリニューアルを検討している企業の総務担当者はぜひ参考にしてみてください。

働きやすいオフィスレイアウトの重要性

快適なワークスペースは業務に好影響をもたらすので、オフィスレイアウトの設計は従業員の働きやすさを第一に考えることが重要です。しかし、働きやすさの基準は1つではありません。自社のコンセプトや社風を考慮するのはもちろん、抱えている課題解決へのアプローチも視野に入れたオフィスレイアウトを意識する必要があります。

たとえばクリエイティブな企業の場合、フリーアドレスの導入や多目的に使用できるワークラウンジを確保すれば、アイデアの提案や意見交換が活発な風通しの良い職場環境が作れます。また、休憩スペースに集中力向上の効果がある青色を取り入れると、創造力を育む空間作りが叶うでしょう。

このように、従業員にとって快適なオフィスレイアウトは作業効率に良い影響をもたらす可能性が高く、生産性の高い組織作りの実現に役立ちます。

基本のオフィスレイアウト

おしゃれな空間を意識するだけでなく、従業員全員が最高のパフォーマンスを発揮できるように機能性も考えなければいけません。特にデスクエリアは作業効率に関わる重要な場所です。

そこで、オフィスレイアウトの基本としてデスク配置パターンを8種紹介します。

1.対向型レイアウト

対向型は日本では最もスタンダードなオフィスレイアウトで、業界問わず多くの企業で採用されています。同じ部署の同僚や先輩、後輩たちと向かい合うように席を対面に配置するのが特徴です。

なお、対向型のなかには上座に部長のデスクを配置する「グループ型」のレイアウトスタイルもあります。メンバー全員の顔や業務進捗が見えやすいため、チーム間の連携をまめに取り合う業種におすすめです。

【メリット】

  • 全体の進捗状況を確認しやすい
  • 省スペースでコンパクトに配置できる
  • 情報通信機器(ネットや電話)の配線をまとめやすい

【デメリット】

  • 他部署とコミュニケーションが取りにくい
  • 対面の人の視線が気になり集中しづらい
  • プライバシーが確保しにくい

2.同向型レイアウト

同向型は全員が同じ方向を向くように、座席を並列に配置するレイアウトスタイルです。配列が教室の席順に似ていることから「スクール式」とも呼ばれます。

主に不動産や銀行などの窓口業務を伴う業界に多く、上席を後方に配置して全体を把握しやすい環境を作れるのが特徴です。また、黙々と作業ができるため定形フローやマルチタスクが多い職場にも適しています。

【メリット】

  • 隣のデスクとコミュニケーションが取りやすい
  • プライバシーとセキュリティが確保できる
  • 視線が気にならないため業務に集中できる

【デメリット】

  • 通路幅を取る必要があるのでスペースの確保が難しい
  • チーム内のコミュニケーションが取りづらい
  • 監視されているような圧迫感がある

3.背面型レイアウト

背面型は壁向きにデスクを配置して、同じ部署の従業員が背中合わせで座るオフィスレイアウトです。人の気配を気にせず業務に没頭できるため、エンジニアやプログラマー、イラストレーターのように高い集中力を必要とする業種に向いています。

また、椅子を回転させればすぐ後ろにメンバーがいるので、連絡事項や進捗状況を共有しやすいのも特徴の1つ。チームを組んでプロジェクトを遂行するワークスタイルにも適したオフィスレイアウトです。

【メリット】

  • 集中力を維持しやすい
  • 部署内のコミュニケーションが取りやすい
  • プライバシーを守りやすい

【デメリット】

  • 他部署とのコミュニケーションが取りにくい
  • 椅子と通路のスペースが必要になるため幅を取る

4.卍型レイアウト

卍型とは、その名の通り4台のデスクを卍型に配置したオフィスレイアウトです。イレギュラーな配置にすることで、導線の固定化を防いで他部署と接点を持ちやすい環境作りができます。

島内でもコミュニケーションが取りやすく、少人数のチームで同じ作業を行う際に適したレイアウトといえるでしょう。なお、より集中できる環境を希望する場合は、パーテーションを設置して島内を完全に区切るといった応用も可能です。

【メリット】

  • 適度にプライバシーが守れる
  • 視線を気にすることなく集中して作業ができる
  • チーム内だけでなく他部署とも交流しやすい

【デメリット】

  • 4台1セットのためレイアウトが固定される
  • スペース効率が悪く、狭いオフィスには不向き

5.クラスター型レイアウト

クラスターとは「ブドウの房」を意味します。クラスター型レイアウトはまさにブドウの房のように、二列のデスクを隣り合わないように交互に配置するのが特徴です。さらに、列ごとにデスクを逆向きにし、列の間には収納スペースを設けて隣の列の視界を遮ります。

集中しやすい配置なので、ゲーム業界や広告業界などのクリエイティブな環境に向いているレイアウトの1つです。なお、視界は遮られていますが島内の距離は近いので、情報共有や伝達が簡単に行えます。

【メリット】

  • 個人の作業スペースが明確化される
  • 自分の好きなようにデスク環境を整えられる
  • 程よくプライバシーが保てる

【デメリット】

  • スペースを取るため圧迫感がある
  • 配線整理がしづらい

6.クロス型レイアウト

クロス型とは、テーブルを縦横に交差して「×」の形にデスクを配置するオフィスレイアウトです。卍型レイアウトのように1台1セットで1つの島を作る配置と、対向島型で作った島をオフィス内に縦横交互に配置する2つのパターンがあります。どちらのパターンも幅を取るため、オフィス空間を広く確保できる場合に採用可能です。

卍型と同様に導線を複雑にすることで人と接する機会が増えて、社内全体のコミュニケーション促進が期待できるでしょう。

【メリット】

  • 他部署とコミュニケーションが取りやすい
  • 適度な距離感でプライバシーを守りやすい

【デメリット】

  • 人の往来が活発で集中力が削がれてしまう
  • 面積効率が悪く、狭いオフィスでは採用が難しい

7.ブーメラン型レイアウト

ブーメラン型は、120°の緩やかな角度がついたブーメラン形状のデスクを向かい合わせに配置するオフィスレイアウトです。一般企業で導入するケースはほとんどないですが、IT企業ではスタンダードなスタイルです。

特徴は1人当たりのワークスペースが広く取れる点。複数のモニターを見やすい位置に設置できるため、システム開発者やクリエイターにとっては作業効率が上がるレイアウトといえるでしょう。

【メリット】

  • 1人あたりのワークスペースが広い
  • チーム間の連携が取りやすい
  • ソーシャルディスタンスが保てる

【デメリット】

  • 広いオフィス空間が必要
  • 電源コードが散らかりやすい
  • 通常のデスクより大きくて重いため移動しづらい

8.フリーアドレス型レイアウト

フリーアドレス型は、固定のデスクを持たず自由にワークスペースを選べるオフィスレイアウトです。特にクリエイティブな業界やベンチャー企業に多く見受けられます。

他のレイアウトより自由度が高く、ソーシャルディスタンスの確保やテレワークによる出勤者数の増減に対応しやすい点が特徴です。また、常にフレッシュな気持ちで仕事に向き合えるため、作業効率や創造性の向上が期待できるでしょう。

【メリット】

  • 従業員同士のコミュニケーションが活発になる
  • 必要最低限のデスク数で済む
  • オフィス環境の美化につながる

【デメリット】

  • ワークスペースが変わるため落ち着かない
  • 従業員によっては孤独を感じる
  • システムの再設定や荷物の移動が必要な場合がある

フリーアドレスについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

生産性UPに効果的なオフィスレイアウトを設計するポイント

オフィスレイアウトの設計では快適な空間を意識することが重要ですが、注意するべき点はそれだけではありません。面積やセキュリティ面などの細かい部分にも配慮が必要です。生産性UPに効果的なオフィスレイアウトを設計する際のポイントを9選紹介します。

1.1人当たりのオフィス面積は約10㎡確保する

『労働安全衛生法』では、1人当たりのオフィス面積は約10平方メートル(約3坪)以上確保する必要があると定められています。

労働者が快適に働くための必要最低限のスペースとされていて、それ以下になると物理的・精神的にストレスがかかって労働生産性が低下する恐れがあります。

それ以外にも、通路幅やデスクの間隔などパーソナルスペースも考慮しなければいけません。

10平方メートルが確保できない場合は、下記の対策を検討してみましょう。

  • テレワークやフレックス制の導入でワークスタイルを更新する
  • オフィスレイアウトの変更
  • ペーパーレス化
  • 休憩所やミーティングルームを多目的ルームで転用する

対策をすればコンパクトながら快適なオフィス作りが叶います。

2.通路の幅は最低90cm・理想120cm以上確保する

通路幅は成人男性がすれ違える幅を確保するのが理想的です。「JOIFA(日本オフィス家具協会)」では、標準的な成人男性の幅を500mmとしているため、通路の幅は最低90cm・理想は120cm以上と覚えておきましょう。

また、オフィスレイアウトによって確保しなければいけない通路幅の基準が異なります。たとえば、対向型レイアウトは900mmですが、背面型レイアウトは座椅子を引いてもぶつからないように1800mm確保するのが標準です。

さらに、デスク付近に開き扉や引き出し型の収納棚を設置する場合は、より広く通路幅を確保しなければいけません。他にも台車や車いすを利用する業種・企業もあるため自社の特徴に合わせましょう。

3.動線はできるだけシンプルにして余分な動線は省く

快適なオフィス空間を実現するには、動きやすさと安全性を兼ね備えた動線作りが重要です。余分な動線を省いてできるだけシンプルにすると、高い生産性を生み出す効果が期待できます。

作業を遮る要素がないシンプルな直線的な動線は、煩わしさがないためストレスを溜めずに済むでしょう。特に、ロッカーやコピー機などの設備周りや共有スペースを広げると、人の停滞によるタイムロスがなくなって仕事がはかどります。

一方で、余分な設備が多い複雑な動線はパフォーマンスが低下する他、コミュニケーションの妨げとなって人間関係の構築にも支障をきたす原因です。複雑になる場合は、最初にメインの動線を決めると余分な動線を省きやすくなります。

4.業務内容ごとに適したデスク配置を取り入れる

デスク配置のレパートリーは多いため、作業効率を上げるには業務内容に合ったデスク配置を意識しましょう。デスクの配置が業務内容とマッチしていないと、作業に集中できず本来のパフォーマンスが発揮されません。

たとえば、事務職やコールセンタースタッフのように個人型の業務がメインの職種は 同向型やクラスター型のように視線を気にせずに業務に没頭できるデスク環境が適しているでしょう。デザイナーやエンジニアなどクリエイティブな職種には、作業スペースが広いブーメラン型がおすすめです。一方、営業やマーケターなど他部署とも情報共有が必要な職種の場合は、対向型やクロス型のようにコミュニケーションを取りやすい配置が向いています。

5.日々の業務でやり取りが多い部署は近くに配置する

日々の業務でやり取りが多い部署を近くに配置するだけで、動線がシンプル化して生産性の向上が見込めます。

たとえば、関連性が高い部署として下記のように分けられます。

  • 総務部:経理、人事、法務
  • 営業部:営業事務、マーケティング、新規事業企画
  • 製造部:品質保証、物流、購買

やり取りが多い部署を近くに配置するメリットは、時間を有効的に使えることです。ムダな動作を抑えるだけで余裕を持って業務に臨めるため作業効率が上がります。また、ミスや伝達漏れが防げる他、全体的な流れが把握しやすくなり業務の質向上にもつながるでしょう。

企業規模や組織体制によって関係性が異なるので、自社の業務内容に合ったレイアウトを考えてみてください。

6.災害対策・情報セキュリティに配慮する

オフィスレイアウトの設計には法律が関わるため、災害対策・情報セキュリティも配慮しなければいけません。

『建築基準法』『労働安全衛生法』『消防法』の3つの規定があり、従業員の安全の確保や健康的な作業環境の形成、火災への備えなどが明記されています。

オフィスレイアウトにおける災害対策とセキュリティ対策の一例をそれぞれ紹介します。

【災害対策】

  • インフラ・ライフライン停止時のマニュアルの作成
  • 避難経路の共有
  • 緊急時の連絡体制の構築
  • 防災グッズの備蓄
  • オフィス家具の固定

【セキュリティ対策】

  • 防犯カメラの設置
  • ICカードロックやスマホ認証の導入
  • シュレッダーの使用
  • 鍵付き収納に重要書類を保管
  • パーテーションでワークスペースを隠す

7.開放感は維持しつつプライバシーとパーソナルスペース確保する

生産性の向上を見込むには、開放感は維持しつつプライバシーとパーソナルスペースを確保する設計が大切です。

どこに誰がいるのか把握しやすい開放的な空間は、コミュニケーションが円滑で全体的な業務の流れも可視化しやすいため、作業の効率化が図れます。たとえば、背の低い家具の配置や、ガラス張りのデザインを取り入れる工夫が効果的です。

ただし、物理的な障壁がなさすぎると監視されているような感覚に陥ってしまい、作業効率が低下する原因になるので注意しなければいけません。そのため、ミーティングルームやラウンジなどの共有スペースは開放的に、作業スペースはプライバシーの保護を意識するというように空間にメリハリをつけましょう。

8.オフィスの広さや業務に合う機能を持ったデスクを採用する

オフィスの広さや業務に合う機能を持ったデスクを採用すると、作業がしやすくなり生産性UPが期待できます。

オフィスデスクは大きく4種類に分けられます。

  • 単体:W1,000mm〜1,500mm程度の一般的なサイズ感
  • 大型ロング:2人以上のワークスペースが確保できる
  • キャスター付き:移動が楽。ミーティングルーム向き
  • 昇降機能付き:天板高さを変えられる

オフィス家具を扱う「コクヨ」の調査によると、約60%の企業でW1,200mmのデスクをメインデスクとしているようです。ただ、多くの書類や複数のPCを使う業種はW1,600mm以上が使いやすいなど、業務の特徴によって合うデスクは異なるため慎重に選びましょう。

9.共有できる事務用品の管理方法や収納場所を見直す

オフィスレイアウトの設計で後回しにしがちなのが、事務用品の管理方法や収納場所の見直しです。管理には時間と手間がかかるので、動線の原理と同じようにシンプルを心がけることでタイムロスがなくなるため作業効率が上がります。

ポイントは「ストックの把握」と「収納場所の設定」です。管理者を分担してストックや必要数を洗い出しましょう。収納に必要な広さが分かれば、無駄に収納スペースを広く取る必要がなくなります。また、収納場所を共有スペースに固定すると、探す手間が省けるため実務に支障が出る心配もありません。

その他、管理時間の短縮や無駄な発注を防げるなどのメリットもあるので、設計のタイミングで見直してみてください。

自社に合うオフィスレイアウトが分からないときはプロに相談するのがおすすめ!

オフィスレイアウトは多種多様で、どのレイアウトを採用していいのか迷ってしまう企業は少なくありません。オフィスレイアウトの設計には内装工事費や家具購入費用などさまざまな出費がかさむため、よく検討しないと多方面にリスクが発生してしまいます。

たとえば、見栄えよくデスクが配置できても作業効率が悪ければ本末転倒です。また、ワークスペースを確保するために大きなデスクを購入したものの、搬入ができなかったり動線の邪魔になってしまったりする失敗事例も珍しくありません。想定外のコストがかかるのはもちろん、業務に支障をきたしてしまい大きな損害が出る恐れもあるでしょう。

そのため、迷ったときは専門家に相談するのがベストです。経験豊富な専門家が計画段階から丁寧にサポートするので、自社に最適なオフィス環境を整備することができます。

オフィスレイアウトの参考事例5選

※並びは順不同となっております。

株式会社リアルゲイト様|サブスク家具導入事例

株式会社gootbox様|サブスク家具導入事例

株式会社雄飛堂 様|サブスク家具導入事例

株式会社リアルゲイト様|サブスク家具導入事例

株式会社サンライズ様|サブスク家具導入事例

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ソーシャルインテリアでは、オフィス空間の構築・課題解決をご提案しています。オフィスレイアウトの設計は、コンセプトの決定やデザイン会社の選定、施工スケジュールの管理などやるべき業務が多く、担当者に重い負担となってしまいます。ソーシャルインテリアではレイアウトの構築から空間に関する課題解決まで、トータル的なサポートを行っています。

お見積りのお問い合わせやレイアウトについてご不明な点がある場合は、お気軽にご相談ください。経験豊富なプロが自社にピッタリのオフィス空間をご提案させていただきます。