オフィス移転は手続きや作業が多岐にわたるため、どこから手を付ければいいのか悩んでしまう担当者の方も多いのではないでしょうか。オフィス移転を効率よく進めていくためには業者選びが重要です。依頼する業者によって、移転にかかるコスト、オフィスの使いやすさは大きく変わります。
本記事では、オフィス移転で必要となる準備、業者選びのポイントや注意点について詳しく解説します。
オフィス移転で必要となる準備・手続き
オフィス移転では、一般的な住居の引越しとは異なる準備が必要です。すべての手続きを抜け漏れなく実施して、新オフィスでの企業活動をスムーズにはじめましょう。
<オフィス移転の準備・手続き>
- 移転計画の立案
- 新オフィスのレイアウトの設計・オフィス什器の選定
- オフィス什器の運搬・買い替え
- 不用品の処分と業者への依頼
- 旧オフィスの賃貸契約・その他契約サービスの解約手続き
- 旧オフィスの敷金返還の交渉
- 旧オフィスの原状回復工事の手配
- 各公的機関への手続き
1 移転計画の立案
オフィス移転を検討する背景には、「社員が増えたことによりオフィスが手狭になってきた」「立地と賃料のバランスが合わない」などの課題が考えられます。まずオフィスが抱える課題を洗い出し、オフィス移転の目的・条件を明確にすることで、ニーズに合った拠点が探しやすくなります。移転計画では、以下の項目を意識します。
- 解決すべき課題
- 移転のメリット・デメリット
- 予算
- スケジュール
移転することで現在のオフィスが抱えている課題の解決を目指します。また、移転のメリットだけでなく、デメリットを把握することも重要です。たとえば、「オフィスを広くして賃料も抑えたい」という目的を達成するためには、「駅から遠くなる」「通勤の負担が大きくなる」といったデメリットが生じる可能性があります。新オフィスの条件に優先順位を付けながら、移転計画を練っていきましょう。
2 新オフィスのレイアウトの設計・オフィス什器の選定
オフィス移転の目的・条件に合致する物件が見つかったら、レイアウトの設計・オフィス什器の選定を行います。レイアウトの設計は経営層や担当者だけではなく、社員の意見に耳を傾けながら行っていきましょう。社内で大まかなレイアウトが決まったら、内装・電気・空調などの専門業者に確認してもらい、修正を加えていきます。
もともと使っていたオフィス什器を再利用すればコストの削減につながりますが、オフィス移転の目的・条件、新オフィスのイメージに合わないものは思い切って処分しましょう。新しいオフィスのレイアウトに合うアイテムを購入することで、社員が働きやすい環境を整えつつ、企業のブランディングにつながります。デスク配置、動線、オフィス機器の設置スペースについても細かく決めていきます。
3 オフィス什器の運搬・買い替え
希望のスケジュールでオフィス什器を運搬するためには、移転日の2~3か月前までに業者の目星を付けておくと安心です。運搬するオフィス什器は、個人デスクやミーティングデスク、オフィスチェア、ロッカー、パーテーションなどがあります。リース契約しているコピー機などは、運搬に関する取り決めが定められている場合もあるので事前に確認しておきましょう。
また、オフィス移転は買い替えのチャンスでもあります。古くなった機材や新しいオフィスの雰囲気に合致しないアイテムなどは、買い替えも検討しましょう。カーペットやタイル、カーテンなど内装にかかわるものは、旧オフィスと新オフィスの寸法が合わないことが大半なので、買い替えがおすすめです。
4 不用品の処分と業者への依頼
オフィスから出る不用品は、原則として自治体が指定する処分業者に依頼が必要です。少量であれば自治体によっては、一般家庭と同様に手数料を支払うことでごみとして処分できることがあります。木製のデスクや装飾品は事業系一般廃棄物、金属製のロッカーやキャビネットは産業廃棄物となります。
業者を選ぶときは、検索サイトで直接検索するのではなく、自治体のホームページなどで公開されている「一般廃棄物収集運搬業の許可業者」のなかから選ぶと安心です。複数の業者から見積りをとって、不用品処分を依頼する業者を選定していきましょう。有名ブランドのオフィスチェア、数年しか使用していないデスクなどは、買取り業者に売却する方法もあります。
5 旧オフィスの賃貸契約・その他契約サービスの解約手続き
旧オフィスの解約は、退去予定日の3~6ヶ月前に伝えます。一般的には解約予告期間が設定されているため賃貸借契約書を確認してください。通知のタイミングによっては旧オフィスの賃料を払い続けることになるため、オフィス移転が決まったら、できるだけ早く解約の手続きを行いましょう。オフィスを退去する際は、原状回復工事が必須です。原状回復の範囲は、契約内容によって異なるので、契約書を確認したうえで手続きを行っていきましょう。
その他、電気などのインフラや、保険などの契約サービスも解約手続きを進めていきます。インターネット工事はスケジュールが埋まりやすいため、オフィス移転が決まったら、できるだけ早いタイミングで手続きを開始します。引越し当日は荷物の搬入などでバタバタするため、新オフィスのインフラは少し早めに整えておくと安心です。
6 旧オフィスの敷金返還の交渉
敷金は退去後すぐではなく、およそ3~6ヶ月後に返還されます。戻ってくる敷金は「原状回復費」と「償却費」を差し引いた金額となります。原状回復がどの程度必要かによって、返還される金額は大きく変わります。たとえば、手の込んだ内装にしていると原状回復費が高くなり、返還される金額も少なくなる傾向です。さらに、オフィスの敷金では「償却費」として無条件で差し引かれる費用があります。
返還される金額を増やすには、「原状回復費」と「償却費」を抑える必要がありますが、「償却費」は契約時点で決まっていることが大半で、交渉の余地はほとんどありません。退去時は「原状回復費」を少しでも減額できるよう交渉するのがおすすめです。
7 旧オフィスの原状回復工事の手配
原状回復工事は、以下のスケジュールで実施します。
- 問い合わせ
- 現地調査
- 見積り
- 施工業者の決定
- 着工
- 施工完了
- 引き渡し
施工業者は契約書で指定されている場合があります。指定されていない場合は、複数の業者に見積りを依頼して比較しましょう。問い合わせから引き渡しまでは2~3か月、工事期間は1か月が目安です。
ただし、オフィスの規模や依頼する時期によっては、さらに時間がかかります。引き渡し期限が決まっている場合は、余裕をもって業者を手配しましょう。オーナーや管理会社と事前に原状回復の範囲をすり合わせておくことで、スムーズに退去しやすくなります。
8 各公的機関への手続き
オフィス移転では、さまざまな公的機関での手続きが発生します。手続きごとに提出期限が異なるため、チェックリストを作成するなどして、見落としなく確実に実施しましょう。
8-1 労働基準監督署へ
労働基準監督署では、「労働保険名称・所在地等変更届」を提出します。提出期限は移転してから10日以内です。
労働基準監督署での手続きは、「一元適用事業所」「二元適用事業所」のどちらに該当するかで、内容が異なります。ほとんどの企業は労災保険と雇用保険を一本化した「一元適用事業所」に属しており、労働基準監督署のみで手続きが完了します。建設業など労災保険と雇用保険を個別で申告・給付する「二元適用事業所」は、労働基準監督署に加えて、ハローワーク(公共職業安定所)での手続きが必要です。
8-2 年金事務所へ
年金事務所では、「適用事業所所在地・ 名称変更届」を提出します。提出期限は移転してから5日以内です。
年金事務所での手続きは、旧オフィスと新オフィスの所在地が同一の管轄か否かで内容が異なります。同一市内であっても管轄外となるケース、市を跨いだ移転でも管轄内となるケースがあるので、年金事務所管轄区域を確認しておきましょう。
8-3 法務局へ
法務局では、「本店移転登記申請書」もしくは「支店移転登記申請書」を提出します。提出期限は移転するオフィスが本店か支店かによって異なります。本店は移転から2週間以内、支店は移転から3週間以内が期限です。管轄内移転と管轄外移転では、手続きに必要な書類が異なります。
また、法務局は本局、支局、出張所によって取り扱い業務に差があるため、訪問前にオフィス移転に伴う手続きが可能か確認しておくと安心です。
8-4 税務署へ
税務署では、「異動届出書」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」を提出します。
提出期限は「異動届出書」が移転後できるだけ速やかに、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」が移転してから1ヶ月以内です。窓口だけでなく、郵送やインターネット(e-Tax)でも手続きができます。
8-5 都道府県税事務所へ
都道府県税事務所では、「事業開始等申告書」を提出します。提出期限は都道府県によって異なりますが、移転後できるだけ速やかに行うとよいでしょう。
税金関連は、「税務署」と「都道府県税事務所」の2か所で手続きする必要があります。税務署では法人税などの国税、都道府県税事務所では自動車税などの地方税を扱っています。
8-6 ハローワーク(公共職業安定所)へ
ハローワークでは、「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。提出期限は移転してから10日以内です。
ハローワークでの手続きには、労働基準監督署で受け取った「労働保険名称所在地等変更届の控え」が必要です。二度手間にならないよう、労働基準監督署で書類の控えを受け取ってから、ハローワークの手続きに進みましょう。
オフィス移転の業者選びのポイント
オフィス移転をスムーズに行うためには、業者選びが重要です。ここでは、失敗しない業者選びのポイントを6つ紹介します。
1 実績が豊富かつ公開されているか
オフィス移転では、一般的な住居の引越しとは異なるノウハウが求められます。単純に引越し件数で比較するのではなく、「オフィス移転の実績」が豊富な業者を選びましょう。
Webサイトでオフィス移転の事例が公開されている業者や、オフィス移転を専門としている業者、口コミで評価が高い業者などがおすすめです。業者によって得意分野やコンセプトが異なるため、仕上がりイメージが近い事例を探してみましょう。
2 オフィス移転の目的に合うサービスがあるか
オフィス移転の目的に合ったサービスがあるかも、重要なポイントです。オフィス移転といっても、「荷物の運搬のみを請け負う業者」から「オフィスレイアウトの相談から設置までワンストップで依頼できる業者」まで、サービス内容に差があります。自社に適した業者を選ぶことで、新オフィスへのスムーズな移転が実現できます。柔軟に対応してくれる業者もあるため、要望があれば積極的に伝えてみましょう。
3 オフィス構築のサポート・提案があるか
オフィス環境を整えるためには、社風や働き方にマッチしたレイアウトにすることが大切です。自社で大まかなレイアウト案を作成したあと、「オフィス構築」の観点からのサポートがあると、より快適なオフィスに仕上げることができます。
動線設計やオフィス什器の配置を提案してくれる業者、オフィスの内装工事が得意な業者、インテリアコーディネートの実績が豊富な業者を選ぶことで、オフィスの完成度は格段に向上します。
4 アフターフォローがあるか
オフィス移転後のトラブル・不具合としては、「オフィスチェアが思ったよりも大きく通路の邪魔になる」「フリーアドレス制を導入したが使い勝手が良くない」などが挙げられます。新オフィスのアフターフォローが充実している業者を選ぶことで、トラブルや不具合が発生してもスピーディに対処できます。
オフィス移転後の忙しい時期に、トラブル・不具合が立て続いてしまうと、業務に多大な影響を及ぼします。スムーズな移転を実現するためにも、アフターフォローの有無を確認したうえで業者を選んでいきましょう。
5 予算内に収まるのか
物件の契約や引越し費用、インフラの整備など、移転に関連する費用が数百万を超えるケースも珍しくありません。予算が限られている場合は、あらかじめ業者に伝えることで、費用を抑えることができます。ただし、相場よりも安い価格で依頼すると、自社で行う作業が増えて、社員の負担も増加します。破損や怪我などのリスクもあるので、専門性の高い作業は業者に依頼しましょう。
6 複数の業務をまとめて依頼できるか
オフィス移転では、内装工事・インフラ工事・原状回復など、さまざまな業者が作業を行います。すべての業者と打ち合わせを行い、スケジュールを調整するのは非常に手間がかかります。効率よく進めていくためには、複数の業務をまとめて依頼できる「ワンストップサービス」がおすすめです。
まとめて依頼することで、手間が省けるだけでなく、費用の削減も期待できます。
オフィス移転の業者選びの注意点
オフィス移転の業者を選ぶ際は、次の4点に注意することで不要なトラブルを防げます。オフィス移転を成功させて新オフィスに気持ちよく移るために、よく確認しておきましょう。
1 相見積もりを取る
オフィス移転は相場がわかりづらいため、複数の業者から見積りをとって、大まかな費用を把握しましょう。オフィス移転にかかる費用としては、おもに以下の項目が挙げられます。
- 内装工事費
- インフラ工事費(電気、電話、インターネット等)
- 引越し運搬費
- 不用品の処分費
依頼内容によっては、旧オフィスの原状回復や新オフィスのレイアウト設計などが見積りに追加されます。相見積もりを取る際は、必要なサービス内容を業者に伝えて、同一条件で比較できるようにしましょう。
2 追加費用がかからないことを確認する
業者とのすり合わせができていないと、作業完了後に追加費用がかかる場合があります。見積りに抜け漏れがないか、しっかり確認したうえで契約を結びましょう。追加費用がかかる原因・パターンとしては、以下の事例が挙げられます。
- 当初の予定より処分する不用品が増えた
- オフィス家具の解体、組み立てがサービス範囲外だった
- 新オフィスのエレベーターが使えず、クレーンで機材を搬入することになった
追加費用を発生させないためにも、当初の予定から変更があった場合は、速やかに業者に伝えましょう。
3 レンタル品・リース品は業者に対応方法を相談する
レンタル品・リース品は、自社で所有しているのではなく、レンタル会社・リース会社から借りている状態です。連絡をせず勝手に移動させてしまうと、契約違反になる可能性もあるため、必ず対応方法をレンタル会社・リース会社に相談しましょう。
移動方法は契約内容によって異なりますが、運搬する業者を指定されるケースもあります。自社で業者を選ぶ場合も、精密機器の運搬実績のある業者を選ぶと安心です。
4 オフィス移転にかかわる各業者と打ち合わせを行う
オフィス移転では、さまざまな専門業者の協力のもと、作業を進めていきます。不要なトラブルを防ぐためにも、スケジュール・作業範囲などの必要な項目について、細かくすり合わせておきましょう。
必要な作業全てを別の業者に依頼することもできますが、業者と個別で綿密な打ち合わせを行うのは非常に手間と時間がかかります。そこで、ある程度の作業を取りまとめて依頼できる「ワンストップサービス」を上手く利用しましょう。ワンストップで依頼することで、業者間の連携も取りやすく、スムーズに作業が行えます。
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オフィス移転では、移転計画の立案から公的機関での手続きまで、さまざまな作業が発生します。新オフィスでの企業活動をスムーズにはじめるためには、オフィス移転の実績・ノウハウが豊富な業者に依頼することが大切です。
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