休憩室は、仕事の合間に一息つく部屋であり、昼食や軽食の場所としても使えます。休憩の設備を設置することは、事務所衛生基準規則での努力義務です。最近は「コミュニケーションラウンジ」「カフェスペース」「シエスタスペース」などとも呼ばれる休憩室には、社内コミュニケーションや生産性の向上、集中力アップといった役割を持たせることが可能なため、各社さまざまなアイデアや工夫を取り入れています。
本記事では、休憩室のメリットや社員が求めているものなど、休憩室設置にまつわる基礎的な情報を紹介します。休憩室のリニューアルを検討している方はぜひお役立てください。
目次
休憩室の重要性は高まっている
オフィスの休憩室は、事務所衛生基準規則内で企業が設置することを努力義務として定めています。これは、従業員が適度な休憩を取ることで、集中力アップや業務効率化といった効果が期待できるからです。
引用:事務所衛生基準規則 第四章 休養(第十九条-第二十二条)
「事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。」
とはいえ、休憩室は単に休むだけのスペースにとどまりません。休憩スペースにこだわることで、社内組織の活性化や社内コミュニケーションの活発化、社員のモチベーションアップなどさまざまな効果が見込めます。
コロナ禍や働き方の多様化によるテレワーク浸透の影響もあり、オフィスの役割が仕事をする場所から社員コミュニケーションや生産性向上に役立つ場所へとシフトしていることも休憩室の重要性を高めています。
次の章では、休憩室導入のメリットを詳しく紹介します。
休憩室を設置するメリットとは?
オフィスに休憩室を設置することにより、多くのメリットが見込めます。休憩室がないオフィスでは、昼食や休憩を自分のデスクで取ることとなり、オンオフのメリハリがなくなるでしょう。同じ席に座ったままでは気分のリセットも難しく、集中力や生産性の低下につながる可能性もあります。
休憩室を導入するだけでも、オフィスで働く従業員や企業全体に良い影響が考えられます。ここでは、休憩室を設置する5つのメリットについて詳しく紹介します。
1.社内コミュニケーションの活性化
休憩室は、部署に関係なく社員が利用しやすいスペースで、自然と人が集まります。普段の業務では関わりのない社員とも会話が生まれやすく、社内コミュニケーションの活性化につながります。
社員との情報交換によって、お互いの業務に対する理解が深まり、副次的に業務効率化につながる可能性もありも期待できます。休憩中の雑談がきっかけで、業務改善のヒントや課題解決のアイデアが得られたといった話も珍しくありません。
休憩室設置により社員同士の交流が活発化すれば、人間関係が円滑になり、離職率の軽減や組織としての一体感が生まれるでしょう。
2.イノベーションの醸成
休憩室のデザインにこだわることは、新しい事業アイデアやイノベーションの促進にもつながります。くつろいだ状態の方がアイデアが浮かびやすいと言われており、リラックス時間の確保は、新しい発想を生み出すためにも重要です。
ゆったりと座れるソファやドリンクコーナーをつくり、リラックススペースを充実させれば、室内で過ごすだけで思考を柔軟に巡らせ、創造性を促すことができるでしょう。また、休憩室に斬新なデザインを取り入れることで、利用する人の発想力や想像力を刺激する効果も見込めます。
シンプルで単調になりがちな執務エリアとは異なる色合いやスタイル、スペース的に余裕を持たせるなどの工夫を取り入れ、イノベーションに役立つ休憩室を実現しましょう。
3.企業ブランディングの強化
企業ブランディングの強化にも、休憩室が役立ちます。他社とは異なるオリジナリティ溢れる休憩室を設けることで、社外向けの発信が自然と生まれます。デザインや機能性に優れた休憩室を商談スペースとして活用して、休憩室のデザインなどを会話のきっかけにすることも可能です。
休憩室に社員の要望を反映することで、社員の意見を汲み取ってくれる会社としてアピールできます。結果的に働きやすい環境に魅力を感じて、優秀な人材が集まり、採用に良い影響をもたらします。居心地の良さや利便性だけでなく、自社ならではの個性がある休憩室の存在は、企業のブランディング効果を高められるでしょう。
4.仕事の効率化
仕事の合間に休息をしっかり取ることができれば、仕事のスピードがアップし業務効率が向上します。休憩室がなくても自席などで休み時間をとることは可能ですが、周囲に作業している社員がいる環境ではリラックスしにくいでしょう。
人の集中力は時間とともに低下する傾向にあります。休憩室を業務の合間に利用すれば集中力の回復を図れるため、ミスの軽減にもつながります。気分転換できる休憩スペースによって、オンオフの切り替えを行いやすく、生産性の向上も期待できるでしょう。リフレッシュできる休憩室の存在は、社員個人だけでなく企業全体における業績にも貢献する重要な要素といえます。
5.社員のモチベーションアップ
おしゃれで過ごしやすい休憩室があるオフィスでは、社員のモチベーションや満足度が向上しやすい傾向があります。整備された快適な休憩室があれば、定期的にリフレッシュでき、社員が働きやすさを感じられます。社員の要望を取り入れたおしゃれな休憩室を設置すれば、業務のモチベーションや社員満足度の向上も期待できます。結果として、離職率の低下や会社の信頼度向上にもつながるでしょう。
休憩室を作るときのポイント
休憩室を設置するメリットを得るために気をつけたいポイントがいくつかあります。休憩室のコンセプトや用途を明確にするとともに、実際に利用する社員の意見を取り入れることが重要です。ここでは、休憩室を作る際の4つのポイントについて解説します。
執務スペースとしっかり分ける
たとえオフィスが狭くても、社員のデスクが並ぶ執務スペースと休憩室はしっかり仕切る必要があります。両者が分けられていない場合、休憩室から執務スペースが見えると仕事が気になってリフレッシュできないでしょう。反対に、執務スペースから休憩室の話し声が聞こえてくると、気が散ってしまう可能性もあります。
休憩スペースが執務エリアから独立した空間となるよう、パーティションや間仕切りを使って分けることで、オンオフの切り替えがスムーズに行えます。ただ、行き来しやすいひと続きの空間の方がスペースが活用されやすい傾向があるので、スペースの目的や利用者の意向も考慮しつつ検討すると良いでしょう。
壁紙や照明、家具を用いて雰囲気を変えるだけでも、モチベーションや集中力の向上につながる休憩室を実現できるでしょう。
適度なスペースを設ける
休憩室は適度な広さを確保することも大切です。極端に狭すぎるとくつろげず、「仕事の合間にリフレッシュする」という本来の役割を果たせません。オフィスは執務スペースを十分取ることが優先ですが、利用する社員数やコンセプトを考慮し、十分な広さのある休憩室を設けられるよう工夫する必要があります。
社員同士が気軽にコミュニケーションを取れる場所や1人で休憩する場所、寝転がれるスペースなど、複数の機能を持たせられる程度の広さが理想的です。どうしてもスペースが取れない場合は、天井を高くする、窓を大きめにするといった工夫によって、開放感のある空間が完成します。
社員の声を反映させる
休憩室を新設もしくはリニューアルする際には、社員の声を反映させるのもいいでしょう。企業ごとに社員が休憩室に求める要素や機能は異なります。1人で静かに休みたい社員が多いのか、または他の社員と雑談や情報交換をするためにフリードリンクやカフェバースタイルの空間が良いかなど、社員の意見を聞いておきましょう。
株式会社ビズヒッツが実施した「仕事の休憩時間に関する意識調査」のデータによると、仕事の休憩時間にやっていることについて「コーヒーやお茶を飲む」「同僚と雑談」「昼寝・仮眠」という3つの回答が全体の6割以上を占めています。休憩時間を1人で過ごしたい人も一定数いる一方で、同僚と雑談したい人も少なくないため、多目的で使える休憩室が理想的でしょう。
アンケートなどを実施して、実際に利用する社員に対して、空間活用の企画やアイデアをヒアリングしたい旨を声がけしておくとスムーズです。
照明や家具にこだわる
休憩室の用途に合った照明や家具を配置することで、効果的なスペースが生まれます。休憩室のコンセプトや目的にあわせて、効果的な家具を選択しましょう。
たとえば、休憩中のリラックス時間を重要視するならば、座り心地の良いソファや椅子が必要不可欠です。仮眠や昼寝用スペースを用意するなら、座布団やクッションも必要でしょう。また、社員同士のコミュニケーションを促進させたいなら複数名で話せる大型のテーブルと椅子があると便利です。
照明選びの際は、執務スペースのようなLED照明ではなく、温かみのある電球色の明かりが最適です。大きな窓や天井の開口を設置できれば、自然光をたっぷり取り込めるので、リフレッシュにつながります。
休憩室をオフィスに取り入れた企業の事例
株式会社朝日ネット様は、社員のエンゲージメント向上を目的として、オフィス内にリフレッシュルームを作りました。エリア内は、休憩中に会話を楽しんだり、静かにゆっくり食事をしたりと、その時々で休憩スタイルが選びやすい設計に。働く場所と休憩場所がうまく循環しており、社員の方々の評判良いそうです。
株式会社朝日ネット様のオフィスの詳細については、以下よりインタビュレポートをご覧ください。(ダウンロード無料)
休憩室の設計や家具選びは「ソーシャルインテリア」にご相談ください!
企業の健康経営が重視されている今、休憩室はオフィスに必須のスペースとして認識されています。単に休むことを目的にするだけでなく、社員同士の交流やアイデア創造など、休憩室設置による効果は多岐に渡ります。
狭いスペースであっても、家具やレイアウトを工夫すれば、リラックスやリフレッシュに適した空間を確保できます。社員の要望や意見も聞きながら、使いやすい休憩室のあるオフィス環境を整備しましょう。
ソーシャルインテリアは、オフィス空間の構築をスムーズに実現するためのトータルサポートを提供しています。休憩室を含め、オフィス全体における家具選定や内装デザインなどを、予算やニーズに併せて提案可能です。まずは下記よりご要望についてお聞かせください。