おしゃれな応接室・会議室をデザインするポイント

お客様との商談に使う応接室は、お客様の対応をするだけでなく、「応接」という名の通りお客様を招き入れもてなす場所でもあります。内装や家具によってお客様に与える自社の印象が大きく変わってくるため、使い勝手の良さと同時におしゃれな雰囲気に仕上げることを意識するのも重要です。

コスト削減の観点から、最近は応接室と社内ミーティングを行う会議室を兼用する場合は、応接室・会議室双方の役割を踏まえたデザインを考える企業が増えています。本記事では、おしゃれな応接室・会議室のデザインを考える際の基本項目や、使いやすい場所、おすすめのインテリアについて解説します。スタイリッシュな応接室・会議室の事例も紹介しますので、応接室・会議室のリニューアルを検討中の企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。

応接室・会議室デザインの基本を押さえる

応接室・会議室のデザインを考える上で外せない項目としては、主な用途やレイアウト、家具のテイスト、内装などがあります。おしゃれであるだけでなく、応接室・会議室として使いやすいか、お客様が快適に過ごせるかについても押さえておくことが重要です。

人数・使用用途を決める

以前は、応接室というと広々とした空間に応接ソファやセンターテーブルを配置するというレイアウトが一般的でしたが、近年はオフィスにかけるコストの削減やスペースの有効活用といった観点から、応接室と会議室を兼用するケースが増えてきました。

応接室を単独で設ける場合は利用者がほぼ社外の人に限定されるのに対し、会議室と兼用する場合は社内の人も使用する空間としてデザインする必要があります。まずは、お客様の対応をする機会が多いのか、それとも社内のミーティング時に使用することが多いのか、現在の応接室の利用状況から使用人数と使用用途を決めましょう。

使用人数と使用用途の概要が決まれば、ゆったりと落ち着いた雰囲気で話ができる空間とするのか、それとも打ち合わせがしやすいよう参加人数に合わせてフレキシブルにレイアウトを変えられる空間とするのか、リニューアルの方向性が決まってきます。

応接が主な使用用途であれば、一人掛けソファを置くスペースとして幅900mm前後、奥行き800~850mm前後必要です。二人掛けソファ、三人掛けソファを選ぶ場合は900mmに想定人数を掛けて計算するとよいでしょう。立ち座りやソファまわりの通行に必要なスペースとして、ソファ周辺にさらに100~200mmほど確保しておくと移動しやすいです。ソファとセンターテーブルの間は400〜500mm空けておくと、立ち座りがしやすいです。

出入口を開きドアにする場合は開閉分として約800〜900mmを確保します。応接室・会議室に窓がない場合は、窓がある場合よりも閉塞感が出やすいため、よりゆったりとした配置を考える必要があります。

対して、会議が主な用途であれば、ゆったり感よりも一体感が必要な場合が多いため、一人あたりのスペースは幅600~650mm前後、奥行き600mm前後として相手との距離を近くするとよいでしょう。収容人数が増やせる点もメリットとなります。

レイアウトを決める

応接室・会議室のレイアウトは、人数や使用用途に合わせて考えるのが基本です。加えて、応接室・会議室として確保できる広さとのバランスによって計画していくとスムーズです。

応接室を単独で設ける場合は、壁面と家具の間の空間を広めに取り、余裕のあるレイアウトにします。会議室と兼用する場合は、どのような会議形式が多いかにもよりますが、最低限通れる幅の通路を確保した上で、より多くの人が座れるレイアウトにしておくと、会議の参加人数が増えても対応できます。

上座・下座を意識する

応接室のレイアウトを考える上で押さえておきたいのが「上座」「下座」です。上座と下座が明確に分かるデザインにすることでお客様が迷うことなく着席でき、余計な気遣いをさせない効果があります。会議室と兼用する場合でも、管理職や上司が座る場所を判断しやすいでしょう。

「上座」はお客様や目上の人が座る場所として、基本的に部屋の出入口からもっとも遠い席にします。「下座」は出入口にもっとも近い席です。

三人掛けのソファや長椅子を置く場合、出入口からもっとも遠い位置が上座です。ただし、三人掛けソファや長椅子ではなく、一人掛けソファを3つ並べる場合は真ん中の席が上座となります。椅子の種類によって席次が変わる点に注意しましょう。

応接室・会議室に窓があるなら景観がよく見える席、窓がなく絵画を飾っている場合は絵画が正面に見える席が上座ですので、案内役が「景色がよく見えるこちらへどうぞ」などと一言添えて案内すると親切です。

家具のテイストを決める

応接室・会議室に置く家具のテイストも、使用用途に合わせて選定します。応接が主な用途であれば、お客様がくつろぎながら座れるよう重厚感のあるソファタイプの椅子を置くことが多いです。本革で、黒やダークブラウンといった濃い色の張地だと落ち着いた雰囲気を出せます。ソファの前に置くローテーブルは、無垢材かガラス素材だと高級感も加わります。

社内の人も使う会議での使用が多いなら、立ち座りがしやすい一人用椅子が基本です。カラーが豊富でぬくもりのある布素材や通気性が高く軽量なメッシュ素材、耐久性が高く手入れしやすい合成レザーなどが採用されることが多いです。長時間使用することも踏まえて、居心地の良さなど業務のしやすさも加味して選びましょう。

内装や小物を整える

おしゃれな応接室・会議室に仕上げるには、全体の内装のテイストを決めて家具や小物を選定していくという手順を踏むと統一感を出しやすいです。

たとえば無機質でスタイリッシュな応接室・会議室にしたいなら、全体をモノトーンにまとめてガラス素材や本革素材の家具を合わせるとまとまります。床をタイル張りにするとよりモダンに見えます。

ほっと落ち着く雰囲気の応接室・会議室にする場合は、アイボリーやライトグレーといったやわらかい印象の色を床や壁など大きな面積の部分に使い、木製の家具を中心に選定します。観葉植物をコーナーや窓際に飾るのもよいでしょう。

コーポレートカラーを使いたい場合は、全体のバランスを見ながら主張したい割合で取り入れると自社らしさを表現できます。

応接室・会議室の場所

応接室・会議室をオフィスのどこに配置するかも重要です。エントランスから近い位置に設けると、来社したお客様がすぐに入れます。社員がいる執務スペースと距離を取れることで社員の会話が聞こえにくく、導線も重なりにくいため、情報保護の観点から見ても安全です。

エントランス付近に応接室・会議室を配置できない場合は、応接室・会議室に行く通路と執務スペースの間の防音性を高めるために、間仕切壁の素材を工夫しましょう。

応接室におすすめのインテリア

おしゃれな応接室・会議室に仕上げるには、インテリアが重要です。商品例を紹介しますので、応接室・会議室のインテリアを計画する際の参考にしてください。

応接ソファ/テーブル

応接室として単独で設ける場合は、重厚感を重視したインテリアとなるよう、モダンで洗練された雰囲気を演出できる応接ソファやテーブルを選ぶのがおすすめです。

引用:Time&Style
引用:DePadova(e’interiors)

応接ソファは、お客様が長時間座っても疲れないよう、座り心地に配慮して選びます。一人掛けソファなら、大きめサイズで両サイドに肘掛けがあるタイプがおすすめです。三人掛け以上のサイズのソファなら、ゆったりと座れるでしょう。

家庭用ソファのようにくつろぐことが主目的ではないため、座面は適度な硬さであることが重要です。Time&Styleの「Transit sofa brass」は、適度な反発力を持つ小型のポケットコイルを採用しており、快適な座り心地を得られます。背もたれを低めに設定してあるため圧迫感が少なく、コンパクトな応接室でもレイアウトしやすいでしょう。

このソファにDePadova(e’interiors)のローテーブル「SEN」を組み合わせると、スタイリッシュな仕上がりになりとてもおしゃれです。天板は木目調や大理石調、石目調などバリエーションが豊富なため、応接室・会議室のインテリアに合わせて質感やカラーを選んで見てはいかがでしょうか。

会議チェア/テーブル

応接室と会議室を兼用する場合は、実用的なチェアやテーブルを選び作業性を高めます。

引用:Artek

引用:Arper

応接だけでなく会議もしやすいよう、応接室・会議室の広さとのバランスが取れており、使用する人数に対応できるサイズのデスクを選びましょう。デスクとチェアの素材やデザインを統一するとまとまりが出ますが、あえて異なるテイストにするとおしゃれ感が高まります。

Artekの「カアリデスク」は、会議に適したシンプルな形状が特徴です。脚部の位置によって、壁に接して置くか室内の中央に置くかを選べます。天板も光沢があるタイプとマットなタイプがあり、応接室・会議室全体の内装に合わせるとより洗練された印象になります。

このデスクに合わせるチェアとしておすすめなのが、曲げ加工された背もたれと直線的なカットデザインのコントラストが印象的なArperの「SAYA」です。座面の素材をファブリックやレザーなどから選べるため、デスクとのバランスを考慮して組み合わせてみてください。

ファブリックパネル

ファブリックパネルとは、木製のパネルに布地を貼り裏面でピン固定したアイテムです。フックなどで壁に掛けたり、ストレージや本棚などの上に置いたりするだけで応接室・会議室全体の洗練度が高まります。

引用:HAWORTH

ともすれば無機質になりがちな応接室・会議室の壁面にアクセントを加える方法として、ファブリックパネルの採用は有効です。HAWORTHの「BussiBlox」のように、室内の音を吸収する働きを持つファブリックパネルもありますので、応接室・会議室の音の響きを抑えたい場合は検討してみるとよいでしょう。

コートハンガー

来社したお客様のコートやマフラー、帽子などを掛けておけるよう、コートハンガーは応接室・会議室に必ず置いておきたいアイテムです。

引用:Cassina.ixc

置き家具のように固定する必要がないため、応接室・会議室のレイアウトに合わせて移動可能な点が便利です。収納付きやキャスター付きのような機能性のあるコートハンガーもありますが、おしゃれな応接室・会議室に採用するならシンプルなデザインのコートハンガーが適しています。

Cassina IXC.の「PEONY」は、2本のウッドフレームをクロスさせた個性的なデザインのコートハンガーです。上の画像のように、応接室・会議室の隅にさりげなく置いておくだけで高級感が加わります。シルバーと黒という2色の組み合わせなので、ソファやテーブルとのカラーコーディネートもしやすいでしょう。

応接室・会議室のデザイン事例

ここからは、おしゃれな応接室・会議室のデザイン事例を3つご紹介します。

株式会社エルフィン様

株式会社エルフィン様の応接室は、非常に個性的で強いインパクトを来客に与えます。一般的な企業のオフィスとは異なる個性的なオフィスづくりを目指し、自社ならではのエンターテイメント性を打ち出そうという姿勢がおしゃれな応接室の完成につながりました。

作品の世界観を緻密に表現した空間はとても評価が高く、社員にとってもいい刺激になっているのだそうです。固定観念にとらわれない空間で過ごすだけで、創造力が高まりそうですね。

ゴウリカマーケティング株式会社様

移転によってワンフロアオフィスを実現したゴウリカマーケティング株式会社様の応接室は、エントランスから直接アクセスできるレイアウトになっています。社員のいる執務スペースとは明確にエリア分けされており、プライバシーの確保を重視した落ち着いた空間になっています。

間接照明の光が広がる個室の会議室は、大きな窓から自然光が入り明るく開放的な雰囲気です。白とグレーを基調とした内装が、上質な印象を与えています。

株式会社Schoo様

シンプルながらぬくもりを感じられる内装が印象的な株式会社Schoo様のコミュニケーションスペースは、会話や創造力を広げる空間として大量の書籍を収納できるシェルフが空間のアクセントになっています。大きめサイズのソファを配置してゆったりくつろげるレイアウトとし、自然と会話が弾む雰囲気が魅力です。

広々とした会議室は、余計な装飾を省いたことで壁面のデザイン画が映える内装が印象的です。商談や1on1という用途を踏まえて、使用シーンに合わせてチェアの数を調整できるようスタッキングタイプのチェアを採用しています。

まとめ

応接室・会議室をおしゃれにデザインするには、まず用途の方向性を明確にすることが重要です。応接室を単独で設ける場合はゆったりと落ち着いた雰囲気で話ができる空間に、会議室と兼用する場合はフレキシブルにレイアウトを変えられる空間にすると快適性も利便性も高まります。

使用人数や使用用途、応接室・会議室の広さに合わせて、上座・下座を意識した適切なレイアウトを決めましょう。家具のテイストと内装を統一し、小物でアクセントを加えるとおしゃれな空間に仕上がります。

応接室・会議室を設ける場所もしっかり検討しましょう。セキュリティを重視し、社員との導線の区分けができるよう、オフィスの入口から近い位置に設置するのがおすすめです。

ソーシャルインテリアでは、おしゃれな応接室・会議室をデザインしたいお客様のために、伴走型オフィス構築支援サービスを提供しています。空間デザインやレイアウト、家具選定などお客様のご要望を踏まえて最適な提案をいたします。

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