リモートワークは、自宅やカフェなど、オフィス以外の場所で働くことのできる制度です。モチベーションや生産性の向上など、様々なメリットがあるため注目を集めています。ただし、リモートワークを取り入れる際は、セキュリティ面や、業務を円滑に進めるための環境整備をしなければなりません。リモートワークを導入する前に、メリットやデメリット、成功のためのポイントをしっかりと抑えておきましょう。
この記事では、リモートワーク導入時の注意点やポイントをご紹介します。リモートワークの導入を検討している人は、ぜひお役立てください。
目次
リモートワークとは?
リモートワークとは、オフィス以外の場所で勤務する働き方のことです。在宅勤務のことを指すことも多いですが、カフェやサテライトオフィスを含め、柔軟に働く場所を変えられることが大きな特徴です。
近年ではインターネットの発達により、社外での勤務が容易になったため、仕事とプライベートを両立できる柔軟な働き方としてリモートワークを導入・検討する企業が増えています。
リモートワークやハイブリッドワークにも対応する最新のオフィストレントについて、以下でまとめています。ぜひ参考にしてください。(無料ダウンロード)
1.リモートワークの普及率
総務省が発表している『令和3年度版 情報通信白書』によると、2021年3月時点における日本のリモートワーク普及率は38.4%です。2020年4~5月にかけては新型コロナウイルス流行の影響もあり、55.9%~56.4%と高い割合でしたが、6月以降は低下しており、30%代が続いています。
企業規模別では大企業69.2%に対し、中小企業は33%と半分以下の割合しかありません。一方で、大企業では一旦低下していた普及率が7割近くまで回復しており、リモートワークがある程度定着しているといえるでしょう。
業界別では、情報通信(55.7%)、学術研究(43.2%)、金融保険(30.2%)などで実施率が高く、反対に医療・介護(4.3%)、宿泊・飲食(11.1%)、運輸(11.3%)といった業界では普及が進んでいない状況です。
2.リモートワークが普及した背景
IT技術の進歩や働き方の多様化は、オフィス以外での勤務ができる環境を生み、日本でリモートワークの導入を促進しました。
さらに、働き方改革や人材不足の影響により、出社の難しい遠隔地在住者を雇用して優秀な人材を確保しようとする企業や、ワークライフバランスの充実を目指して多様な働き方を認める企業が増えたのも要因の1つです。
他に、自然災害や感染症の拡大もリモートワークの普及に関係しています。東日本大震災を契機に、職場が被害を受けても事業を継続できるよう、リモートワークを導入する企業が増加しました。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大も大きな影響を与えており、4~5月の緊急事態宣言時には、企業のリモートワーク導入率を50%以上の高い割合へと上昇させています。
出典:総務省「令和3年版 情報通信白書」
3.リモートワークとテレワークの違い
リモートワークと似た言葉として使われているのがテレワークです。テレワークは「情報通信技術(ICT)により時間や場所を有効に活用できる働き方」と定義されていますが、リモートワークと大きな違いはありません。オフィス以外の場所で勤務する働き方のことを指すので、一般的には同じ意味として使われることが多いでしょう。
参考:“テレワークについて” 厚生労働省 総務省 テレワーク総合ポータルサイト
https://telework.mhlw.go.jp/telework/about/
また、リモートワークとテレワークの違いについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
4.リモートワーク・テレワークに向いている業種・業務
システムエンジニア、デザイナーはリモートワークに向いているといえます。加えて、営業職もweb会議など対面以外での商談が一般的になってきているため、リモートワーク・テレワークが導入しやすいといえます。一方で、医師や介護、接客業は目の前の人と向き合う必要があるため、リモートワークの導入が難しいでしょう。
様々なメリットがあるため、リモートワークが向いている業種や職種の場合は積極的に導入を検討しましょう。
参考:リモートワークができる職種12選!仕事の特徴やメリット・デメリットを解説”マイナビ転職
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/163
リモートワークに必要な環境整備とは?
次にリモートワークに必要な環境整備について説明します。リモートワークを導入する際は、参考にしてください。
ネットワークの整備
PCや備品、ネットワークなど、リモートワークに必要な環境を整備しましょう。ネットワーク費用や電気代をはじめとした、リモートワークで発生する費用の負担に関するルールも社内で整理を行うことがおすすめです。
例えば、発生するネットワーク費用の実費相当額を会社が支給する「リモートワーク手当」のような制度の導入を検討してもよいでしょう。
セキュリティの担保
リモートワークでは、オフィスの外にパソコンを持ち運ぶ機会が増えるため、セキュリティのリスクが高まります。情報漏洩防止のツールやシステムの導入をするなど、セキュリティ対策をしましょう。
また、情報を取り扱う従業員への教育も重要。従業員個人の判断で行動する部分が多いため、セキュリティに対する正しい知識が必要です。リモートワークの導入前に情報セキュリティに関する講習会を行うなど、従業員にルールを浸透させましょう。
「紙文化」のデジタル化
「紙文化」をデジタル化しておくと、スムーズにリモートワークに移行することができます。紙でのやりとりは労力や保管の手間だけでなく、通信費もかかるため、デジタル化することでコストが削減できます。リモートワーク導入を機に、ペーパーレス化を検討しましょう。
コミュニケーションの円滑化
リモートワークには、従業員同士のコミュニケーションの場が減ってしまうデメリットもあります。リモートワークにおいて、コミュニケーションがうまく嚙み合わないことで、業務が滞ってしまう可能性があります。
定期的に1on1ミーティングを実施するなどのサポートや、交流の場を設けましょう。組織内のコミュニケーションを円滑にし、業務がスムーズに進行できる仕組み作りが大切です。
また、リモートワークの実施メリットについては以下の記事でもご紹介しています。
https://www.google.com/url?q=https://socialinterior.com/column/23-remotework/&sa=D&source=docs&ust=1730097731170255&usg=AOvVaw0PIQmh_L_fJoP3lginSJA9
作業環境整備
リモートワーク導入に向けて、作業環境の整備も欠かせません。パソコンなどの備品やネットワークだけでなく、椅子や机などの家具も業務効率に大きく影響します。生産性向上のため、会社が従業員一人ひとりに向けてリモートワーク向けの家具の支給や、購入の補助制度の導入を検討することもおすすめです。
積水ハウス株式会社では、テレワークの作業環境整備にあたって、専用PCの設置を支援しています。作業負荷が重く通常の備品で耐えられない場合は、積極的に導入支援を検討しましょう。
“仕事の生産性に関わるので、必要があれば、自宅に CAD 専用 PC の設置を行っている。開始当初はリモート作業で CAD システムを使用すると動作が遅かったが、現在は、ICT の専門部署により作業環境向上のためのシステム構築を行い、会社と同等の作業速度に改善した。”
引用:『平成28年度 テレワークモデル実証事業 テレワーク活用の好事例集』 厚生労働省
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000152036.pdf
企業がリモートワークを導入するメリット
リモートワークは、企業と従業員の双方にとって様々な利点をもたらすでしょう。ここでは、パフォーマンスの向上や業務の効率化、コスト削減など、リモートワーク導入が会社に与えるメリットについて紹介します。
リモートワークについては以下の記事でも紹介しています。
1.従業員のモチベーション・パフォーマンスが向上する
リモートワークは、従業員にとって働く場所を自由に選べるうえに、状況によってはオフィスよりもリラックスして仕事に取り組める魅力的な働き方です。リモートワークを実施している従業員は、業務への意欲が高まり、満足度が向上する傾向があります。
また、通勤時間がなくなり時間的余裕が生まれるのもメリットです。プライベートの時間をとりやすくなることで、さらなるモチベーションアップが期待できます。他にも睡眠時間を多く確保できるため、身体的・精神的なストレスが軽減され、より一層業務に力を入れてくれるでしょう。
2.業務の可視化・効率化が進む
リモートワークは業務の効率化にも貢献します。従業員のタスクが明確化されることにより、効率的に作業を進めていく必要があり、結果として従業員の業務改善につながります。
さらに、企業側でも従業員1人ひとりがこなす業務量や業務スピードが可視化できるため、従業員への評価や業務の割り振りがしやすくなるでしょう。今まで放置されていた無駄な作業や会議を省くなど業務内容の見直しが進めば、長時間労働の改善も期待できます。
3.通勤コストを削減できる
リモートワークを導入すると出社の必要がなくなるため、企業と従業員それぞれの通勤コストが削減できます。
企業にとっては定期交通費による費用負担を減らせることがメリットです。毎月の通勤費精算など会計処理の手間もなくなるため、事務作業にかけるコストも削減できます。
また、従業員にとっても通勤時間がなくなるのは大きな利点です。空いた時間は、業務やプライベートの時間の確保につながります。長時間通勤は従業員にとって大きな負担になるため、通勤ラッシュによるストレスがなくなれば、心身の健康にもつながるでしょう。
4.従業員のワークライフバランスを改善できる
仕事と私生活のバランスをとりやすくなるのもリモートワークのメリット。通勤時間の削減や業務効率化によって浮いた時間で、家族や友人と過ごしたり、趣味に取り組んだりとプライベートを充実させられるようになります。
他にも、資格取得の学習や自己研鑽、副業や資産運用などをはじめる従業員もいるでしょう。ワークライフバランスの改善により、従業員のストレスが減り、本業の生産性向上につながるため、企業にとってもメリットになります。
5.固定費を削減できる
オフィスに出社する人数が限られるため、通勤費のコストを抑えることができます。他にも、今までのように広いオフィス空間は必要なくなるため、オフィスを縮小することも視野に入ります。小規模なオフィスに移転すれば、毎月の家賃、光熱費の節約はもちろん、デスクやチェアなど、オフィス家具にかける費用も減らせます。
新しいオフィスに移転する際は、オフィス空間の再構築について検討するのがおすすめです。オフィス家具を見直したい場合は、サブスクリプションやレンタルサービスを利用すればコストを抑えられます。高級品やおしゃれなオフィス家具のレンタルもあり、導入費用を減らせるだけでなく、充実したオフィス空間にできるでしょう。
ソーシャルインテリアは、オフィス家具のサブスクサービスを展開しています。豊富な商品ラインナップの中から、オフィスデザインに合ったご提案が可能です。オフィスのレイアウト、家具の見直しを検討中なら、以下よりお気軽にお問い合わせください。
6.多様性を認めることで優秀な人材を確保できる
リモートワーク制度の導入は、優秀な人材の確保につながります。従来なら採用できなかった人材の応募や、育児・介護の理由で会社を辞めざるを得ない従業員も継続して働けるようになるためです。他にも、離れた場所に住みながら勤務したい従業員の希望を叶えられるのがリモートワークです。
勤務環境を理由に辞める従業員を減らせば、従業員の定着率アップにつながり、企業イメージも向上します。多様な従業員を受け入れれば、優秀な人材が集まりやすくなり、会社の発展にも影響するでしょう。
7.非常時でも業務を継続できる・BCP対策になる
BCP(Business Continuity Plan)とは、災害や事故など不測の事態が起きた際に、どのように被害を抑え、事業を継続・復旧させるかの対策計画です。
リモートワークは災害や感染症をはじめとした非常時のBCP対策になります。リモートワークではない場合、災害発生時にオフィスで働いている全員が被災してしまう可能性があります。一方で、リモートワークを採用している企業の場合は被災時に被害を分散することができ、BCP対策に有効です。ウイルス感染症への対策としても、同じ空間で働く人数を減らせば、集団感染のリスクを低減することができます。
リモートワークによるBCP対策があれば、緊急時にも事業継続が可能になり、顧客からの信頼獲得や企業の評価も高まるでしょう。
参考:“BCP(事業継続)対策のテレワーク・事例” 一般社団法人 日本テレワーク協会
https://japan-telework.or.jp/tw_info/tw_about/bcp/
企業がリモートワークを導入するデメリット
企業にとって多くのメリットがあるリモートワーク。一方で、情報漏洩や業務管理、従業員との意思疎通に問題が生じる恐れもあり、導入する際には注意が必要です。ここからはリモートワークが企業や従業員にもたらすデメリットについて紹介します。
1.情報漏洩のリスクが高まる
リモートワーク導入時に大きな問題になるのがセキュリティ面のリスクです。オフィス以外での業務も、社内システム利用や重要データを閲覧する必要も出てくるでしょう。その際に発生するのが、ウイルス感染や、のぞき見による情報漏洩のリスク。それらが原因となって顧客情報の流出が起きれば、企業にとって大きなダメージです。
事前にシステム環境を整備すればある程度の対策は可能ですが、完全に防げるとは限りません。パソコンやUSBなど、端末や記憶媒体そのものが盗難・紛失に遭うおそれもあります。複数の従業員が社外で業務を行う以上、完全にリスクを排除するのは難しいでしょう。
2.管理側が労働実態を把握しにくい
従業員の勤務実態を把握しにくくなるのも、リモートワークのデメリットの1つです。始業・就業時間や勤怠、タスク・スケジュールの進捗状況を把握するのに手間や時間がかかる場合があります。業務中に問題が起こっても、見落としやフォローの遅れが発生する可能性もあるでしょう。
オフィスでの勤務と違い、しっかりと労働実態を可視化しないと、従業員が勤務時間や業務進捗を把握しにくくなります。リモートワークでは、勤怠やタスク管理など、従業員の勤務状況を確認できる仕組み作りをしておくことが大切です。
3.従業員が心身不調に陥りやすい
人と接する機会が減る傾向にあり、孤独感が精神的な負担になってしまう従業員もいます。同じオフィス空間で勤務していればすぐに上司や同僚が異変に気づくことができますが、リモートワークでは発見が遅れる場合があります。
一人だけで働いている感覚が孤立を深めてしまい、精神的に不調をきたす従業員が出てくる可能性も。また、通勤時間削減による運動不足や長時間のパソコン作業から来る眼精疲労・腱鞘炎など、身体面でのトラブルも起こりやすいので注意が必要です。定期的に従業員の状況を確認できるような体制を整えましょう。
4.コミュニケーションが不足する
社内でコミュニケーションが不足がしやすくなるのも、リモートワークがもつデメリットのひとつです。オンラインでのやり取りは、対面の会話に比べて情報量が少なく、必要最低限になりやすい傾向があります。
たとえば、Web会議で話している人だけが画面に映っているケースがありますが、聞き手や他の参加者がどんな表情や態度で聞いているか分かりません。雑談など従業員同士が親交を深める機会も減少します。結果的に、コミュニケーションが希薄になり、会社が1つのチームとして機能しにくくなる可能性もあるでしょう。
5.モチベーション・生産性が下がるケースがある
モチベーションや生産性の向上はリモートワークのメリットといわれていますが、場合によっては逆に効率を落としてしまうケースもあります。例えば、仕事とプライベートの区別がつきにくく、オン・オフの切り替えが難しい点が挙げられます。
リモートワークでは、業務の進め方を個人の裁量に任せてしまいがち。結果的に、長時間労働に陥ってしまう従業員も少なくありません。常に仕事の緊張状態が持続してしまうと、やる気や生産性が上がりづらくなる可能性も。従業員が休憩時間をしっかりと取り、リフレッシュできているかを定期的に確認しましょう。
リモートワーク導入を成功させるための12のポイント
リモートワークがもつ多くのメリットは、企業と従業員双方にとって魅力的です。しかし、適切に運用されなければ業務改善にはつながりません。またデメリット防止には、きちんとした対策が必要です。
ここからは、リモートワークの導入を成功させるために注意すべき12のポイントを紹介します。
1.明確な導入目的を社内に周知する
まずはリモートワークを導入する目的を明確にし、従業員に周知しましょう。
「通勤の余計な時間を減らし、その分業務に集中すること」「従業員のワークライフバランスを向上させて、働きやすい会社にする」「出産や介護で辞めざるを得なかった従業員も働き続けることができる」など、リモートワークの導入目的はさまざまです。
リモートワークの目的が分からないと、社内が混乱してしまう恐れがあります。目標を決める際、従業員にアンケートをとってみるのも効果的です。現場の声から何を実現すべきか、より具体的な課題が見えてくるでしょう。
2.就業規則を見直す
リモートワーク導入前後で、就業規則を見直しましょう。働き方が従来と変わらなければ見直す必要性はありませんが、次の項目で変更がある場合は規則を変更する必要があります。
- 在宅勤務の対象者
- 労働時間(裁量労働制への変更により、労働時間が変わる場合)
- 費用負担(業務で使用するパソコンやインターネットの通信費など、業務上の費用負担が変わる場合)
- 残業代、通勤費等の計算
- 人事評価制度
- 勤務時の服装規定
アズテック株式会社では、”就業規則等を社会保険労務士に相談しながら整備した結果、従業員が育児や介護等のライフステージにあわせてテレワークを利用”しています。
参照:『平成27年度 テレワークモデル実証事業 テレワーク活用の好事例集』厚生労働省
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/tele-koujireisyuuH27.pdf
就業規則を見直す際は、リモートワークや在宅勤務、オフィス勤務で格差が出ないよう注意が必要です。また、就業規則のどこが変更されたのか、改めて従業員へ周知しておくとトラブルになりにくいでしょう。
3.セキュリティ対策を強化する
情報漏洩を防ぐため、セキュリティ対策に力をいれることが重要です。リモートワークは自由度が高く、従業員の意識も緩みやすいため、きちんとルールを設定しましょう。
たとえば、リモートワークはパソコンを会社の外に持ち出す必要があります。しかし、どこで使っても良いわけではなく、カフェのように画面の覗き見やパソコンの盗難に遭うリスクがある場所では使用禁止にすべきです。
他にも、パソコンには必ずセキュリティソフトを導入する、フリーWi-Fiやクラウドサービス・USBなどの記憶媒体は使用しないなど、適切な規則作りが大切です。
株式会社リクルートホールディングスでは、モバイルPCや携帯電話など、セキュリティ 対策が施されたツールを会社より支給しています。
参照:『平成28年度 テレワークモデル実証事業 テレワーク活用の好事例集』 厚生労働省
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000152036.pdf
普段の何気ない行動が取り返しのつかない結果を招く恐れがあるため、より強力なウイルス対策ソフトやセキュリティが高いITツールの導入も検討しましょう。
4.ITツール・システムを導入して適切な労務管理を徹底する
前述の通り、リモートワークでは従業員の業務把握が難しくなるため、ITツールやシステムを利用した適切な労務管理が求められます。業務とプライベートの境目が曖昧になってしまうと、長時間労働が起こりやすく、健康に悪影響を与える可能性もあります。
勤怠管理システムやログ管理ツールの導入により業務を可視化し、現在の業務量で問題がないかの把握を行いましょう。進捗管理が適切なら、特定の従業員だけに負担をかけずに済みます。
一方で、監視が行き過ぎてしまうと、従業員のモチベーションやパフォーマンスが低下する恐れがあります。定期的な報告や稼働連絡など、設定したルールの範囲で過干渉にならないように注意しましょう。
5.健康管理・ストレスチェックをオンライン化する
リモートワークは社員の顔が見えづらいため、オンライン化や管理ツールの導入により、しっかりとした健康管理体制を作りましょう。
健康診断や産業医との面談にオンラインを利用すれば、従業員の負担を軽減するとともに、診断履歴やストレス判定などのデータ管理もできます。体調チェックができるアプリの導入も効果的です。昨今では、チャットツールと連携することですぐに導入できるサービスも出ています。
適切な業務量に調整したり、メール返信時間の制限をしたりすることで、長時間労働を抑制できます。従業員とは積極的にコミュニケーションをとり、不調のサインがあれば、早期発見できるような体制作りが大切です。
6.健康増進を促す福利厚生を導入する
新しい福利厚生を積極的に取り入れましょう。健康増進をサポートでき、従業員の満足度向上にもつながります。
健康管理に役立つ福利厚生には、健康診断・人間ドック、食事補助、ジム・ヨガの利用補助、社内サークル、パワーナップ(昼寝)制度などがあります。自社に合ったものを導入すれば、会社にとっては生産性向上につながるメリットがあり、歓迎されるでしょう。
7.ITツールの導入・ルールの作成でコミュニケーション不足を防ぐ
リモートワーク環境下で大きな課題になるのが、社内のコミュニケーション不足です。在宅勤務の場合は雑談ができず、連絡を取ってもすぐに返ってくるとは限りません。オフィスで働く場合と比べてコミュニケーションが取りづらく、仕事に支障が出てしまう恐れもあります。
リモートワークのコミュニケーションにおいて効果的なチャットやweb会議など、双方向で意思疎通が可能なツールを導入しましょう。連絡をしてよい時間帯や、定期的な情報共有の場、緊急性に応じてツールの使い分け、上手に利用するためのルール作りも同時に行います。雑談専用のチャットスペースを設けるなど、従業員同士が気軽に交流でき、休憩や息抜きをしてもらう工夫も大切です。
8.ペーパーレス化を実現する
リモートワークの導入には、業務のペーパーレス化が不可欠。リモートワークをしている従業員同士で紙の書類をやり取りするのは時間がかかり、スムーズに業務を進行することができません。さらに、紛失が起きれば、情報漏洩などトラブルの元にもなりかねません。
業務効率向上のためには、社内文書の電子化は必須ですが、紙の書類が必要な部分もあるでしょう。まずは社内でペーパーレスの重要性についての認識共有を進め、必要なツールやシステムを導入し、リモートワーク勤務で使用する書類から優先的に電子化に取り組みましょう。
9.企業側が快適な作業環境を整備する
リモートワーク導入の際には、業務に必要な作業環境を企業側で用意しましょう。従業員に任せきりにすると、それぞれ作業環境が異なり、業務に支障が出てしまう可能性もあります。クラウドツールやチャットツール、ビデオ会議、勤怠管理などの業務ツールやシステムは管理のしやすさや情報漏洩対策もあるため、企業側が自社に合ったものを選定・整備しましょう。
また、デバイスや通信環境の整備も必要です。パソコン端末の貸し出しや購入費用、インターネット利用料などの費用負担を検討しましょう。厚生労働省がテレワーク普及のため実施している助成金もあるので、チェックしてみてください。
10.人事評価制度を再構築する
リモートワークを導入するなら、人事評価制度も見直しましょう。リモートワークでは、オフィスでの勤務のように上司が働きながら部下の様子や仕事ぶりをチェックすることができません。部下側も自分の業務を分かってもらえていないと不満をもつ可能性があります。
人事評価制度では、従業員のタスクや目標を明確に定め、達成までのプロセスに細かい評価基準や項目を設けて、できる限り働き方を可視化する必要があります。部下が不満を感じないよう、上司との間で定期的にコミュニケーションをとり、リモートワークでもきちんと評価できる制度を再構築しましょう。
11.ポジションに応じた研修を行う
はじめに全従業員を対象として、在宅勤務の導入によって何が変わるのか、今後はどういった働き方になるかを説明し、リモートワーク導入の概要や目的意識の共有を目指します。
一般社員には、業務・勤怠管理を行うシステムやチャットツールの利用方法をインプットしてもらう場を設けます。管理職にはマネジメント研修を行い、リモートワーク導入時にはそれぞれのポジションに応じた研修を実施しましょう。
セキュリティ面に関しては、システムをいくら強化しても不用意な行動が情報漏洩につながるため、研修によって全従業員に周知徹底を行い、1人ひとりの意識を変えていく必要があります。
12.オフィス契約を変更する
オフィス契約はリモートワーク導入前のままで良いか見直しましょう。リモートワーク導入後は、多くの従業員が出社する機会がなくなるため、オフィスのレイアウト変更や規模の縮小を検討すべきです。
固定席をなくしフリーアドレス制を導入したり、今までの物件を解約して規模の小さなところに移転したりと働き方に合わせてオフィスにも変化が必要です。備品を必要最低限に減らすことも検討するとよいでしょう。
ただ、オフィス空間は共同で作業するためのスペースや、従業員同士の交流の場として活用できるので、必ずしも簡素化だけが正解とはいえません。何が自社にとって最適かを考え、オフィス環境を構築していくのが重要といえるでしょう。
オフィスレイアウトにお困りなら「ソーシャルインテリア」にご相談を!
今回は、リモートワークのメリットとデメリット、導入時の注意点について説明しました。リモートワークの導入は従業員の働き方を大きく変えるだけでなく、オフィス環境にも変革をもたらします。
ソーシャルインテリアでは、オフィス空間における課題解決をトータルでサポート。リモートワーク制度に合った空間づくりやオフィス家具をご提案をいたします。リモートワーク導入やオフィス環境にお困りなら、まずは資料請求から、気軽にお問い合わせください。