オフィス内に個室を作るためのアイテム「施工型パーテーション」は、天井や床に固定する簡易的な設計で、再施工や解体も行える点が魅力です。しかし、ただ設置しても自社の課題解決に大きな効果は期待できないこともあり得ます。
本記事では、オフィス内に個室を新設したい企業ご担当者へ向けて、施工型パーテーションの特徴をまとめました。造作壁との違いや素材別の選び方も分かります。
目次
施工型パーテーションとは?造作壁との違い
施工型パーテーションは設計の自由度が高く導入しやすいですが、自社が抱える経営課題によっては造作壁の方が適している可能性があるかもしれません。
まずは、施工型パーテーションと造作壁の特徴を把握しましょう。
1-1.施工型パーテーションの特徴
施工型パーテーションとは、「ハイパーテーション」とも呼ばれる天井や床に固定されているパーテーションのこと。移動可能な背の低いローパーテーションと比較すると遮音性に優れていて、おもに個室を新設する目的に使用されます。
施工型パーテーションの特徴は以下の通りです。
- 解体・再施工が可能
- 設置には工事が必要
- シートを貼った施工では、色や柄を変更できる
- 工程が少なく施工期間が短い
- 工場製作や運搬が必要なため納期まで長い
- 曲線を作れないなどパーテーション自体は加工できない
大きな特徴は、解体・再施工が可能な点です。従業員の増員による増築や移転先での再施工など、状況に応じてフレキシブルにレイアウト変更が行えますが、設置には専門業者による工事が必要です。工事は夜間や休日となる場合が多いためセキュリティ対策に注意しましょう。
その他、企業イメージに合わせて素材やカラーを選ぶことも可能です。ただし、曲面や凹凸をつけるなどの加工はできません。
1-2.造作壁の特徴
造作壁とは、支柱として建てた軽量鉄骨の上に石膏ボードを貼りつけた壁のことです。軽量鉄骨の下地(LGS)を使用していることから「LGS間仕切り」とも呼ばれています。主要構造ではなく増設などの後付け用に使われる壁です。
造作壁の特徴は以下の通りです。
- デザインの自由度が高い
- 壁紙によって色や模様を変更できる
- 曲面や凹みなどの加工を施せる
- 遮音性が高い
- 再施工ができない
造作壁の大きな特徴はデザイン性の高さです。仕上げの方法はタイルから塗装、壁紙まで多様なため、企業イメージにマッチした独自性のある空間を演出できます。また、遮音性に優れているため、ミーティングルームや集中スペースのような防音対策が必要な部屋にも向いているといえるでしょう。
一方、施工型パーテーションのような再施工はできません。レイアウトを変更したい場合は取り壊さなければいけないため、用途や今後のビジョンを熟考した上で設置が必要です。
【素材別】施工型パーテーションの選び方
施工型パーテーションの素材には以下3つがあります。
- スチールパーテーション
- アルミパーテーション
- ガラスパーテーション
設置したい個室に合った素材を選べば、作業効率向上やコミュニケーションの活性化も期待できるでしょう。ここでは、施工型パーテーションの選び方を解説します。
2-1.スチールパーテーション
スチールパーテーションは、機能性を重視する際におすすめの素材です。表面はスチール・内部は石膏ボードという2重構造で、遮音性・耐震性・耐火性に優れています。遮音性はアルミより効果的です。
プライバシーが保護できてセキュリティの安全性も高いため、機密情報を扱う会議室などに向いています。また、光沢のある質感が醸し出す重厚感やラグジュアリー感から、役員室や社長室などエグゼクティブ層向けの個室にも良いでしょう。
2-2.アルミパーテーション
アルミパーテーションは、コストを重視した設計におすすめです。蜂の巣状のハニカム材を内蔵したパネルとアルミの柱で構成されているため、施工型パーテーションの中でもっとも軽量で、搬入や工事がしやすい特徴があります。
また、短期間の施工で済むため、他の素材よりコストがかかりません。早急に個室が欲しいといった要望も叶いやすいでしょう。さらに、パネル対応でカラーバリエーションに富んでおり、空間のアクセントやリラックス感の演出に効果的です。
2-3.ガラスパーテーション
ガラスパーテーションは、デザイン重視のレイアウトにおすすめです。従来のオフィス感を抑えた洗練されたデザイン性から、ワンランク上の空間を叶える施工型パーテーションといえるでしょう。
採光が透過することで空間が明るくなるため、独立性がありながら圧迫感を感じさせません。仕様によってはガラスをホワイトボードとして使うことも可能です。例えばマグネット対応の強化ガラスを採用すれば、資料やメモを留めることもできます。ただし、仕切りの中が見えてしまうため、設置する場所や用途によってはセキュリティ面の不安が生じます。
施工型パーテーションを設置する前の確認事項
造作壁よりも設置しやすい施工型パーテーションであっても、空いているスペースがあればどこでも施工できるわけではありません。オフィス構造によっては法律に抵触する恐れもあります。
- 消防法
- 建築基準法
- 天井のタイプ
トラブルにならないよう、設置前に上記3つの確認事項を意識しましょう。
3-1.消防法
消防法とは、火災予防や火災被害の拡大を抑えるための法律です。第17条には、施設では部屋ごとに消火や避難、消防活動のために必要な性能を有する必要があると定められています(※)。
施工型パーテーションは、床から天井まで完全に区切っている独立した空間のため、消防法では個室とみなされます。
そのため、以下のような防災設備を設置しなければいけません。
- 煙探知機
- 熱感知器
- スプリンクラー
- 非常灯
- 火災発生時の警報
違反するとオフィスに標識が設置されるなど近隣に周知されるほか、罰金が科せられる場合もあります。
さらに、高層階や地下の場合、免除を受ける「特例申請」が必要になるケースも少なくありません。事前に消防法に抵触しないか確認しましょう。
3-2.建築基準法
建築基準法とは、建物の建築にあたって守るべき最低限の基準を定めた法律です。施工型パーテーションを設置する際は、以下3点に注意しましょう。
- 通路幅
- 避難階段までの距離
- ーテーションの素材
第119条で制定されている必要な通路幅は、1.6m以上(両側に部屋がある場合)または1.2m以上(部屋が片側のみの場合)です。避難階段までの歩行距離は、第127条で30m〜50m以内と制限されています。
また。第35条の「内装制限」では、11階以上の高層階や地下階などは、スチールやアルミなどの不燃認定された内装材しか使用できないと定められています。パーテーションも例外ではないため、管理会社などに確認してみましょう。
3-3.天井のタイプ
施工型パーテーションを設置する際に、天井の設備機器が原因で工事ができない場合があります。
設置する際は、以下の天井設備との位置を確認しましょう。
- エアコン
- 照明器具
- 煙感知器やスプリンクラーなどの防災機器
たとえば、エアコンや照明のそばに設置すると、空気の循環が悪くなったり社内が暗くなったりと、快適性の低下を招くでしょう。また、防災機器が近いと警報が敏感に反応してしまい信頼性に欠けてしまいます。
消防法では、煙・熱などの感知器は0.4m〜0.6m以上、換気口やエアコンは1.5m以上壁から離さなければいけないと定義されています。十分な距離がないと移設せざるを得なくなるため、天井のタイプにも注意しましょう。
施工型パーテーションの設置なら「ソーシャルインテリア」にお任せください
施工型パーテーションは、天井や床に固定する設計で再施工や解体ができる簡易性が魅力です。しかし、造作壁ほどデザインの自由度は高くありません。また、素材ごとに機能性・コスト・デザイン性が違う他、設置場所を誤ると法律に抵触する危険もあるため事前準備が重要です。
ソーシャルインテリアでは、レイアウト作成から施工型パーテーションの導入、消防法の確認などの面倒な工程まで一気通貫でサポートいたします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。