オフィスは従業員が働くためのスペースであると共に、企業の顔としての一面も持ちます。とくに、壁紙はオフィスの雰囲気を大きく変える要素です。他方で、オフィスの移転・リノベーション・リフォームを計画する際、壁紙のデザインに悩む企業は少なくありません。
この記事ではオフィスにおける壁紙の効果、種類、選び方について紹介します。オフィスにおすすめの壁紙の色もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
オフィスにおける壁紙の効果
オフィスのなかでも大きな面積を占める壁紙は、常に視界に入るため、どのような効果があるのか知っておくことが大切です。オフィスの壁紙にこだわることで、企業にとっても従業員にとってもさまざまなメリットが期待できます。ここでは、壁紙にこだわるメリットを3つ紹介します。
1.従業員のモチベーションアップ
おしゃれな壁紙は従業員のモチベーションアップにつながります。暖色系のカラーはコミュニケーションの活性化、寒色系のカラーはストレスの緩和などの効果が見込めます。反対に、薄汚れた壁紙や古さを感じるデザインは企業イメージにも悪影響を及ぼす可能性も。
職場の雰囲気にマッチしていない壁紙は、モチベーションが低下する要因にもなるでしょう。壁紙の状態が好ましくない場合は、移転やリノベーションの予定がなくても、張り替えを検討してみてもいいかもしれません。
2.生産性の向上
執務スペースやリフレッシュスペースなど、エリアごとに壁紙を変えることで、生産性の向上が期待できます。
集中を促す色・リラックスできる色・モチベーションが上がる色など、色にはそれぞれ異なる心理的効果があります。生産性の向上を目指すのであれば、オフィス全体に同じ壁紙を取り入れるのではなく、エリアごとに適した壁紙を選ぶことがポイントです。
3.企業のイメージアップ&採用活動の強化
壁紙にこだわれば、社外の人間にも効果があります。壁紙によって、オフィスを訪れる顧客や取引先関係者にもポジティブなイメージを与えられるのです。
働き方が多様化しているなかで、洗練されたデザインのオフィスは、大きな魅力です。オフィスに好印象を持ってもらえれば、企業のイメージアップとなり、優秀な人材の入社意欲を高めることができるでしょう。また、すでに働いている従業員のエンゲージメント向上や離職率低下といった効果も見込めます。
壁紙の種類
オフィスの壁紙には、主に下記の3種類が使われます。
- ビニールクロス
- 紙クロス
- 布クロス
壁紙の種類によって、お手入れの方法や耐久性などが異なります。本章では、それぞれの特徴や使用時の注意点を見ていきましょう。
1.ビニールクロス
オフィス内装で、もっともスタンダードな壁紙です。塩化ビニール樹脂などが主原料で、豊富なデザインが特徴。単一カラーはもちろん、個性的なプリント柄、凸凹のあるエンボス加工など、さまざまなバリエーションがあります。
比較的安価なものが多く、価格を抑えたい場合におすすめです。耐久性も高く、汚れが付着しても拭き掃除で簡単に落とせるので、お手入れの手間もかかりません。ビニールクロスの壁紙は、人の出入りが多い執務スペースをはじめ、飲食を想定した食堂やリフレッシュスペースなど幅広く使用できます。
2.紙クロス
紙クロスには、洋紙・和紙・特殊紙・合成紙などさまざまなタイプがあります。紙なのでプリントやエンボス加工も得意です。紙独特の柔らかい風合いが特徴で、高級感のある空間に向いています。音を吸収しやすい性質があるので、重役会議室や社長室といった、特別なスペースに向いている壁紙です。また、パルプや楮(こうぞ)といった素材を用いているため、環境や健康にも優しい壁紙といえます。
ただし、繊細な商品も多く、汚れが簡単に落とせないものもあります。擦れにも弱いため、人通りの多い場所には向いていません。施工の手間もかかり、費用も高額になることから、ピンポイントで取り入れるのがおすすめです。
3.布クロス
木綿・麻などの自然素材、レーヨンなどを組み合わせた不織布タイプがあります。紙クロスと同様に、高級感や重厚感が演出できる壁紙です。糸を織り重ねたことによる立体感を楽しむことができ、照明との相性も良い素材です。オフィスのエントランスやエレベーターホールなど、人の目に触れることが多いスペースに取り入れると、華やかな印象となります。
布クロスはホコリがつきやすい性質のため、はたきをかけるなど、こまめなお手入れが必要です。水拭きは不自然なシミが残ってしまう可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。お手入れに手間がかかるため、こちらもピンポイントで使うのに向いています。
オフィスの壁紙の選び方
オフィスの壁紙を選ぶときは、次の7つのポイントを意識することで、企業の個性を出しつつ、働きやすく、好印象を与えられるオフィスに仕上がります。
- 不燃認定を受けているか確認する
- コーポレートカラーを入れる
- 質感でオフィスの個性を出す
- 機能性を重視する
- エリアのテイストに合わせる
- オフィス内装に使う色は3色までに抑える
- ベースカラーは無彩色にする
どんなオフィスに仕上げたいのかを具体的にイメージすることで、壁紙の方向性が決めやすくなるでしょう。
1.不燃認定を受けているか確認する
壁紙選定において、素材や色の前に気をつけなければならないのが不燃認定です。不燃認定とは、国が定める防火性能の基準に適合したものを指します。
いくらデザインがよくても、不燃認定されていない壁紙は基本的にオフィスでは使用できません。不燃認定の知識がなく壁紙を選ぶと、違法になる可能性もあるため注意しましょう。とくに、海外製の壁紙は不燃認定のものが少ないため、しっかりと確認しておく必要があります。
ただし、不燃認定以外にも準不燃認定といった基準が存在します。防火性能は組み合わせる下地や施工方法によっても変わるため、オフィスにおいても一定の条件を満たせば準不燃認定の壁紙を使える場合もあります。
2.コーポレートカラーを入れる
壁紙にコーポレートカラーを入れることで、企業イメージを効果的に表現して、印象付けることができます。
取り入れる場所としては、社外の人の目にも触れやすいエントランスや来客スペースが向いています。ただし、色によっては統一感がなく雑多な印象になってしまう可能性も。コーポレートカラーがカラフルな色の場合は、壁の一部分にだけアクセントとして使うのがおすすめです。
また、壁紙とオフィス家具の色味を同じ系統にすることで、一体感のある空間にまとまりやすくなります。大きな面積を占める壁紙だからこそ、オフィス家具とのバランスを考えながら取り入れていきましょう。
3.質感でオフィスの個性を出す
おしゃれな壁紙にしたいなら、質感にこだわることも重要です。素材感を生かしたデザインにすることで、オフィスの個性も演出しやすくなるでしょう。質感が特徴的なデザインとしては、織物調・石目調・木目調・レンガ調などが挙げられます。
布クロスのような織物調の壁紙は、どのようなテイストのオフィスにもマッチする定番のデザインです。照明の当たり方によって見え方が変わってくるところも織物調の魅力。シャープでスタイリッシュなオフィスには石目調、自然の温もりを取り入れたいときには木目調の壁紙が人気です。レンガ調の壁紙は、遊び心のあるカントリー風のオフィス空間に仕上がります。エリアによって、質感を変えるのも効果的です。
4.機能性を重視する
壁紙における機能性とは、掃除のしやすさや、汚れ・傷への耐久性、消臭、抗ウイルスなどがあります。快適な職場環境を保つためには、色やデザインだけでなく、機能性もしっかりとチェックしてください。
布クロスが湿度調整機能に優れているといったように、素材によっても機能性は異なります。機能性を追求した壁紙のなかには、プロジェクタースクリーンの代用となるものや、光を反射・拡散する機能が備わっているものも。壁紙でスクリーン機能を代用できれば、コストカットや省スペース化も実現可能です。光を反射・拡散しやすい壁紙を導入することで、消費電力が削減できることもあります。
エリアごとに必要な機能を考えながら壁紙を選ぶことは、働きやすさや生産性の向上などオフィスの最適化にもつながるのです。
5.エリアのテイストに合わせる
エリアのテイストに合わせることで、壁紙の持つ印象を有効に活用できます。エリアのテイストは、社内向けか社外向けかによっても異なるもの。従業員の執務スペースであっても、外部の人の目に触れやすい場所は企業イメージをアピールする場として、壁紙選びを進めましょう。
壁紙は変更するが、床材やオフィス家具の入れ替えは行わないという場合は、既存のテイストやコンセプトとの相性が重要です。他方で、床材やオフィス家具など壁紙以外のインテリアの変更も視野に入れている場合は、まず壁紙を変えてみて、相性を確認しながら少しずつその他を変更していく方法も。予算に余裕があれば、内装を丸ごと変えてしまうことで、より統一感がある快適なオフィスへの移行が期待できます。
6.オフィス内装に使う色は3色までに抑える
オフィス空間では色を使い過ぎると雑多な雰囲気になってしまうため、内装に使う色は3色までに抑えるのが無難です。3色の配分としては、ベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%を意識しましょう。
また、ベースカラーは床・壁・天井で構成されます。壁と天井は、空間を広く見せられるホワイトベースが一般的です。メインカラーはオフィス家具で採用する色味で、ベースカラーと同系色にする方法と、ベースカラーを引き立てる方法があります。ホワイトのベースカラーを引き立てたい場合は、ブラック、ブラウン、ダークブルーといった色をメインカラーにすることで、空間に締まりが生まれます。アクセントカラーは空間に彩りを加える強調色です。オフィスでは、椅子の座面や壁紙の一部に取り入れやすいでしょう。
7.ベースカラーは無彩色にする
ベースカラーは無彩色がおすすめです。無彩色とはニュートラルな色味で、ホワイトやグレーが基調となります。ベースカラーを無彩色にすることで、メインカラーやアクセントカラーの選択肢が広がります。また、ベースカラーを派手な色にしてしまうと、雑多な雰囲気が強くなり、多くが良い印象を与えません。
オフィスに鮮やかな色を取り入れたいときは、ベースカラーではなく、メインカラーやアクセントカラーで採用すると空間がまとまりやすくなります。ビビットな色味はインパクトが強いため、アクセントカラーに使うのがおすすめ。アクセントカラーを赤やオレンジなどの暖色系にするとエネルギッシュな印象に、青やネイビーなどの寒色系にするとすっきりと落ち着いた印象に仕上がります。
オフィスにおすすめの壁紙の色とその効果
オフィスにおすすめの壁紙の色として、ホワイト・ブラウン・グリーン・ブルー・レッド・オレンジの6色をピックアップしました。それぞれの色の効果や、受ける印象、使用に向いているシーンをみていきましょう。
1.ホワイト
ホワイトは清潔感を感じる色で、オフィスの定番カラーです。壁紙として採用している企業は多く、どのようなカラーやテイストのオフィスとも組み合わせやすい人気の色味となっています。エントランス・執務スペース・会議室・通路・リフレッシュスペースなど、どのエリアでもベースカラーに適しているといえるでしょう。
一方で、無難すぎておしゃれさを演出しづらいという声も。ホワイトベースの壁紙をおしゃれに見せたいのであれば、わずかに黄色や赤みが加わったアイボリーやベージュなどのカラーも検討してみましょう。
2.ブラウン
ブラウンは、落ち着きを感じる色で、堅実で温かい印象を持ってもらいやすいカラーです。壁紙に採用すると高級感を演出できるので、エントランスや来客用スペースなどに向いています。濃い色味ですが、暗い印象はなく、緊張を和らげる効果も期待できます。
ただし、壁全体にブラウンを取り入れると、空間が狭く見えてしまいます。圧迫感を減らしたいのであれば、エントランスの受付前や来客スペースの柱部分など、アクセントクロスとして部分的に採用する方法がおすすめです。
3.グリーン
リラックスしやすい色で、疲労回復効果もあるといわれています。オフィスではリフレッシュスペースの他、クレーム対応を行う部門などストレスを感じやすい職場に向いています。また、ストレス緩和を目的に考えるのであれば、爽やかなライトグリーンがより効果的。
グリーンは安らぎ、調和をイメージするカラーでもあるので、会議室や応接室に採用することで、打ち合わせや商談をスムーズに進めやすくする効果も期待できます。
グリーンの壁紙には、植物をイメージしたデザインも豊富にあります。また、観葉植物など本物の緑を置くことができないオフィスには、植物の壁紙を貼るのもおすすめです。
4.ブルー
涼しげな色で、気持ちを落ち着かせたり、集中力を高めたりする効果があります。システムエンジニアやデザイナーなど、クリエイティブな仕事を行う部門にはブルーの壁紙がおすすめ。また、寒色系カラーに囲まれた空間では、時間の流れを早く感じやすいため、待合室などにも向いています。
ブルーとひとまとめにいっても、ネイビーブルー(濃紺)とターコイズブルー(青緑色)では印象が大きく変わります。シックな空間にしたければネイビーブルー、コミュニケーションを重視したければターコイズブルーなど、エリアごとの目的に合わせて明度や彩度を決めていきましょう。
5.レッド
情熱的な色で、興奮状態になりやすいカラーです。赤色の壁紙は効果的に取り入れると、コミュニケーションの活性化やモチベーションアップが期待できます。会議室に採用することで活発な議論がしやすくなりますが、気分が高揚しすぎて意見がぶつかりやすくなるといったデメリットも生じるでしょう。
壁紙にレッドを使いたいのであれば、アクセントカラーとしての使用に留めるのがベター。赤色はインパクトのある色なので、面積が大きすぎると攻撃的な印象を与えかねません。さりげなく赤系統の色味を加えて、おしゃれで活気あふれるオフィスを目指しましょう。
6.オレンジ
明るい色で、前向きな気分になれるカラーです。レッドと同じ暖色系に分類されて、体感温度も高く感じられるといわれています。レッドよりも柔らかい雰囲気で会話がしやすいため、企業経営をサポートする管理部門の執務スペースや気軽に打ち合わせができるミーティングスペースなどに向いています。
オレンジの壁紙は、木目調のデザインと組み合わせることで、温かみのあるおしゃれな雰囲気を演出できます。ポップで可愛らしいオフィスにしたければ、オレンジ・レッド・イエローなどの暖色系カラーを散りばめる方法もおすすめです。
壁紙選びに困ったら「ソーシャルインテリア」にご相談ください
壁紙はオフィスのイメージを大きく変えるだけでなく、従業員のモチベーション向上や優秀な人材の確保といった、さまざまな効果が期待できます。壁紙にはビニールクロス、紙クロス、布クロスなどの種類があり、カラーやデザインのバリエーションも豊富で、どのように選べばいいのか迷ってしまうことも多いでしょう。
壁紙選びに困ったら、オフィス構築のプロ『ソーシャルインテリア』にご相談ください。ソーシャルインテリアでは、エリアごとの課題や目的を明確にしたうえで、最適な壁紙をご提案しています。統一感のあるおしゃれなオフィスに興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。