オフィス移転やレイアウト変更を滞りなく進めるには、レイアウト図を作成しなければいけません。
本記事ではオフィスのリノベーションを検討中の企業担当者に向けて、レイアウト図の作成方法と作成時のポイントをまとめました。表計算ソフトで作成する流れや作成時に必要な書類もみていきましょう。
オフィスのデザインや設計については、以下の資料でも詳しく解説しています。
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目次
オフィスのレイアウト図とは?
オフィスのレイアウト図とは、オフィスの平面図に用途や部署などのゾーニング計画を落とし込んだ図面です。デスクやコピー機などの家具・OA機器の配置も記します。
作成はエクセルなどの表計算ソフトやパワーポイントで簡易的なレイアウト図面が作成可能です。しかし、上記のようなソフトは基本的にデータ整理向けのため正確な寸法は算出できません。着工後に家具の配置ミスなどが生じないようリスク回避をするためには、mm単位の寸法で作図できるCADなどを用いて、正確なレイアウト図面を作成する必要があります。CGパースや3Dモデルなどを併用して活用すると、より良いでしょう。
1.レイアウト図を作成する目的
レイアウト図を作成する主な目的は、オフィスをリノベーションする際に、正確な寸法で家具や什器を配置し、オフィスの運用に支障が生じないようにすることです。自社の労働環境の課題を反映させると、スムーズな動線の確保や社内交流の活性化、生産性向上など、多岐にわたるメリットが得られます。
また、新設備の導入や機能的なレイアウトは多様な働き方を浸透させるほか、企業のブランド価値向上も見込めるため、レイアウト図はリノベーションの資料に欠かせません。
表計算ソフトでレイアウト図を作成する流れ
エクセルなどの表計算ソフトは図面作成専用ツールのような高度な機能はありませんが、平面図の作成に使えます。
表計算ソフトを用いた作成手順は、以下の3ステップです。
- 方眼シートを作成する
- 間取り図を作図する
- 什器や配線を書き入れる
手順ごとに注意点やポイントも併せて解説します。
1.方眼シートを作成する
方眼シートの作成は寸法や配置の正確性を高めるために必要です。 方眼シートはグリッド(目盛り)が等間隔で、正方形のマスを1単位で表せるため各部屋の面積や家具の寸法が把握しやすくなります。
縮尺の設定は100分の1がおすすめです。例えば、セルの幅×高さを5mmに設定すると1マス50cmとなり、計算がシンプルで作図しやすくなります。また、余白サイズを変更できるルーラー機能を表示すると、距離や寸法の測定に便利です。
Microsoft『ワークシートで測定ルーラーを使用する』
2.間取り図を作図する
間取り図とは、オフィス内のレイアウトを俯瞰で表した図面です。各部屋や通路幅などを書き込みます。コンセント・窓・照明なども例外ではありません。動かせるものから移動不可な設備まですべて記しましょう。
間取り図は部屋の広さや配置を把握する目的のため、寸法の測定は不要です。しかし、見づらい図では業者とスムーズな連携が取れません。外郭は太線、内部の仕切りは中太線、家具は細線を使うなど罫線の太さを使い分けましょう。
3.什器や配線を書き入れる
一通り土台ができた後は、オートシェイプ機能を利用して什器を書き込みましょう。デスク・イスなどの執務家具・キャビネット・コピー機などの可動式なOA機器が該当します。OA機器やサーバーの配線も必要です。
オートシェイプ機能では、四角形以外に円形や台形などあらゆる図形を描ける他、図形の回転も可能なためレイアウト図の精度が高まります。どこに何を配置するのか分かるよう、テキストで什器・家具名を記しましょう。
レイアウト図をレイアウト変更に活用するときのポイント
レイアウト図は単にオフィスの各スペースや配置を視覚的に示すだけでなく、自社の課題解決を促す役割なども果たします。
- 現状の課題を把握する
- 新しいオフィスのコンセプトを決める
- ゾーニングを再検討する
- 壁の厚さを考慮する
- 各種法令を遵守する
レイアウト図を効果的にレイアウト変更に活用するには、上記5つのポイントを押さえましょう。
1.現状の課題を把握する
オフィスのリノベーションでは、社員が感じている現状の課題を把握する作業が必要です。レイアウト担当者や総務部などの一部社員が携わるだけでは、社員のニーズが十分に反映されません。
上層部と一般社員が感じる課題にズレが生じているケースはよくあるため、レイアウト変更に特化した専門プロジェクトチームを立ち上げましょう。また、全社員を対象とするアンケートも有効。リアルな声を吸い上げることで、オフィスの改善点が明確になるでしょう。
2.新しいオフィスのコンセプトを決める
新しいオフィスのコンセプトを決めると、課題解決のために必要なアプローチが明確化します。コンセプトは、業務内容・業務運用面からどうすれば効率化なのか、パフォーマンスアップを図れるのかを検討して決めるのが効果的です。
例えば、多様な働き方の推進やコミュニケーションの活性化を目指す場合、多目的なオープンスペースを採用することで具体的なレイアウトのイメージを持てます。従来のオフィスで抱えていた課題を参考に、社員の作業効率や満足度が高まるコンセプトを打ち出しましょう。
3.ゾーニングを再検討する
ゾーニングとは、各スペースの広さと配置を計画する作業です。用途やテーマをスペースごとに再検討すると、デッドスペースの解消や作業効率の改善などが見込めます。
例えば、従来のオフィスで社員1人当たりの面積を十分に確保できていたか見直しましょう。事務所衛生基準規則では、最低でも10㎥確保するよう定められています。プライバシーの保護に加え、集中力の持続やストレスの軽減も期待できるため余裕を持ったゾーニングを意識しましょう。
その他、メインの通路幅や座席の間の通路幅は一人通れる程度の最低60cmが必要ですが、2人並んで歩ける160cm確保するのが理想的です。スムーズに移動できるよう可能な限り広めに幅を取りましょう。
参考:事務所衛生基準規則(第二章 第二条)|e-Gov法令検索
4.壁の厚さを考慮する
オフィスでは機密情報を扱う場面が多いため、遮音・音漏れ対策として壁の厚さを考慮しましょう。一般的なオフィスの建築図面は壁の厚さを含む壁芯寸法で記載されています。壁の厚さを記した内法寸法ではないため、設計ミスにつながらないよう注意しなければなりません。
また、リノベーションの際に壁の厚さを知るには、実際の建物を正確に記した竣工図が資料として適切です。不動産業者やオフィスビル管理者に問い合わせて確認しましょう。
5.各種法令を遵守する
オフィスのリノベーションでは、「建築基準法」「消防法」「労働安全衛生法」の3つの法令を遵守しなければいけません。
建築基準法は建物の設備や構造の最低基準を定めた法律で、確保するべき通路幅が細かく記載されています。
消防法は、火災予防と災害時に生命と財産を守るための法律です。スプリンクラーや煙感知器の消防設備の設置義務の他、避難口付近を塞がないなど避難経路を確保する義務が定められています。
労働安全衛生法は、社員が健康的に働ける環境作りを目的とした法律で、一人当たりの面積やパーテーションの設置場所、照明の明度基準などが記されています。
社員の健康や命を守るためにリノベーション時は必ず法律を確認しましょう。
レイアウト図を作成するときに用意しておくその他の書類
レイアウト図の作成時は以下5つの書類を用意しましょう。
書類 | 内容 | 入手先 |
躯体図 | 主要構造体や寸法を記した図 | 建築会社またはビル管理者 |
天井伏図 | 照明や空調設備の位置を示した図 | |
電気系統図 | 電気の配線を記した図 | |
登記簿謄本 | 建物の面積や構造が記載された証明書 | 法務局 |
貸方基準(入居工事の手引き) | 工事の種類・ビルの規定を記した書類 | 建築会社またはビル管理者 |
オフィスの間取りや寸法、設備を把握するには、躯体図・天井伏図・電気系統図が必要です。登記簿謄本と貸方基準では、階数やフロア面積や搬入経路、工事の注意事項がわかります。
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レイアウト図は、オフィスの平面図に用途や部署などのゾーニング計画を落とし込んだ図面です。表計算ソフトでも作成可能ですが、簡易的なため設計ミスや機能的な欠如などさまざまな問題が発生する恐れがあります。工事の基盤となる重要な書類なので、プロの知見に頼るほうが、安全・安心かつ理想的なオフィスに仕上げられます。
ソーシャルインテリアでは、レイアウト図の作成から自社に合った什器・家具の選定までトータルでサポートしています。課題解決はもちろん、法令に遵守したオフィスが手間をかけずに実現します。まずは見積依頼よりお気軽にお問い合わせください。