オフィスの照明は、おしゃれさや企業イメージに加えて、社員の働きやすさにも関係しています。「目が疲れやすい気がする」「なんとなく集中できない」といった声が出ている場合、照明の替え時である可能性が考えられます。とはいえ、照明の替え時の基準や適切な照明を選ぶ基準が分からず、どうしたらいいか悩んでいる人もいるでしょう。

本記事では、オフィスの照明選びのポイントや注意点について解説します。最後まで読めば、オフィスに適した照明を選ぶメリットや照明器具の基礎知識を知ることができるので、快適なオフィスの実現のためにぜひお役立てください。

オフィスの照明の替え時はいつ?

オフィスの照明を替えるタイミングは、具体的に決まっている訳ではありません。また、照明器具の点検や管理に関する義務も特になく、必要に応じて買い換えることになります。電球は切れたら買い替えますが「照明本体を買い直す必要はあるのか」と思う人もいるでしょう。

照明器具の法定耐用年数は15年と定められており、適正交換時期は8年~10年ほどです。ただし、必ず8年~10年使わなければならないという意味ではなく、交換時期の目安として捉えておくと良いでしょう。オフィスで照明を設置してから8年近く経過していれば、買い替えを検討するのに適したタイミングといえます。

オフィスの照明選びは重要!照明を変えるメリット

オフィスの照明は、電球が切れた時だけ替えるのではなく、使用場所や利用者の特性に応じて適切なものを設置することが大切です。ここでは、なぜオフィスの照明選びが重要なのか、適切な照明を選ぶことで得られるメリットや背景について、複数の視点から解説します。

生産性に影響する

オフィスの照明を替えることで、業務効率や生産性の向上につながります。照明の明るさや光の色合いは、業務のしやすさに直結する重要な要素です。照明が明るすぎると眩しくて作業がはかどりにくく、反対に照明が暗すぎるとパソコンの画面や手元が見えにくいため、作業効率の低下を招く可能性があります。

業務環境の用途や目的に沿って、適度な明るさと光の色合いを選ぶことが重要です。

健康経営を推進する

近年、「健康経営」という言葉が注目されています。健康経営とは「オフィスで働く社員の健康維持や促進に経営的な視点をもって戦略的に実践すること」を指し、オフィスの照明も大きく関係しています。

照明が明るすぎると目が疲れやすく、ドライアイや眼精疲労を招くが悪化するなどのリスクが考えられます。逆に照明が暗い環境は眠気を招き、集中力を削いでしまう可能性があります。

暗めの照明はリラックス効果が見込めるので、休憩スペースや仮眠室に使うなど、用途や目的に適した照明を取り入れることで、健康経営の実現を後押しできます。

オフィスの印象を左右する

照明を交換することで、オフィスのイメージや印象を変えることも可能です。照明器具は、オフィスの雰囲気を左右する重要な要素であり、利用者や来訪者に与えたいイメージや方向性にあわせて照明を設置すれば、自社イメージの向上やブランディングとして効果的です。

例えば、自然光に近い穏やかな照明は落ち着いた雰囲気を演出でき、青っぽい白い照明は爽やかな雰囲気を創り出すことが可能です。また、間接照明を設置して、ユニークさや個性をアピールする方法もあります。

経費削減を後押しする

適切な照明選びによって消費電力を減らせるため、電気代の節約やコストカットが見込めます。

近年急速に浸透しているLED電球は「低消費電力・高寿命」という特徴があります。LED照明の本体は割高な傾向があり、導入時には初期費用がかかりやすいものの、従来の白熱電球や蛍光灯と比べて少ない消費電力で利用できます。また、LED電球は寿命も長いため、長期的な経費削減に役立ちます。

照明の基礎知識を知ろう

ここで、照明に関する用語や基礎知識について解説します。照明を考える際に必須となる要素として「電球や電灯の種類」「光の色合い」「照明の明るさ」の3つがあります。理解しておくと、照明選びや施工業者とのスムーズなやり取りに役立つので、ぜひお役立てください。

電球・電灯の種類

電球の種類には、大きく分けて「白熱電球」と「LED電球」の2つがあります。それぞれの主な特徴は以下の通りです。

電球・電灯の種類特徴
白熱電球・導入コストが安い・持続時間が長め・ランニングコストは高くなる傾向がある
LED電球・導入コストは比較的高い・持続性に優れており寿命が長い・電気代は安い

白熱電球は、従来から多くのシーンで使われてきた電球です。オレンジに近い暖色系の光で、温かみのある雰囲気を作り出します。電球本体が安いため初期費用を抑えられる一方で、消費電力が多く、電気代は高くなる傾向があります。また、寿命が比較的短いため、電球交換の頻度が増えがちです。

LED電球は、発光ダイオードを使用した電球です。長寿命かつ低消費電力という特徴があり、旧型の電球に代わる製品として浸透しています。初期費用が高くなる可能性はありますが、長持ちするため、トータルのランニングコストを抑えられます。中には、電球色、昼白色、昼光色といった光の色を選択できるLED照明もあります。

光りの色合い

光りの色合いは、主に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色​​」の5種類に分けられます。それぞれの特徴とおすすめの使用場所を下記表にまとめました。

色合い  主な特徴使用場所例
電球色・オレンジ系の暖色・落ち着いた雰囲気・目が疲れにくい傾向がある・休憩スペースやカフェスペース・トイレ など
温白色・太陽光に近い自然な色・中間色とも呼ばれる・オールマイティに使える・廊下や階段・応接室・エントランス など
白色・中間の色合い・廊下や通路 など
昼白色・少し青みがかった白色・洗練された印象・汎用性が高い・執務室・会議室 など
昼光色・やや青っぽい白色・集中しやすい明るさ・爽快な雰囲気・会議室 など

電球色はリラックス作用が期待できるため、休憩スペースやカフェスペースに適しています。個人デスクがある執務エリアは、適度に明るさが感じられ、集中しやすい昼白色が向いています。昼光色だと明るすぎる場合があるので、使用時間が短い会議室などが望ましいでしょう。

照明の明るさ(輝度と照度)

照明の明るさには「輝度」と「照度」という2種類の指標が使われます。輝度とは、人の目に入ってくる光の量を表す単位で、「cd/m2(カンデラ毎平方メートル)」が使われます。

輝度が足りないと暗いと感じやすいですが、壁紙や天井の色を明るくするだけでも室内の光の反射が増え、輝度がアップする可能性があります。また、局所的に暗い場所があると、室内全体の輝度を下げてしまうため、壁に向けて照明を当てて光を反射させるなどの対策が有効です。

一方、照度は面積に対して入射する光の量のことで、「lx(ルクス)」で表されます。オフィスの照度は、労働安全衛生規則(604条)にて最低照度が定められていますが、実際の照度を考える上では、JIS照明基準で規定されている事務所の照度基準が目安となります。事務所の主なスペースにおけるJIS照明基準総則の推奨照度は、500lx〜750lx前後とされています。

オフィスの照明器具の種類とおすすめの設置場所

ここからは、オフィスの照明器具の種類とおすすめの設置場所について詳しく紹介します。照明にはさまざまな種類があり、それぞれで役割や用途は異なります。オフィスの照明計画を検討する際にぜひ参考にしてください。

オフィス天井照明

オフィス天井照明は、名前の通りオフィスの天井に設置する照明で、最もスタンダードな照明の種類です。空間全体を均一に照らすことができ、多くの場合メインの照明として用いられます。

部屋の広さにもよりますが、LEDなどの蛍光灯を並べて設置する方法が一般的です。長時間作業を行う執務室や会議室をはじめ、多くのオフィススペースに用いられます。

ダウンライト

ダウンライトは、天井に埋め込むタイプの照明です。天井に直に取り付ける天井照明と違って、ダウンライトは埋め込み式のため照明器具が目立ちにくく、内装インテリアへの影響が出にくいでしょう。天井の高さが取れない空間を広く使いたい場合にも有用です。

丸い電球をそのまま埋め込むタイプや、光を通すパネル付き、下面開放型などがあります。光を照らす範囲が少ない分、電球色を用いて落ち着いた雰囲気を作ることも可能です。執務室や会議室はもちろん、受付ロビーやトイレなどでも使いやすいでしょう。

スタンドライト

スタンドライトは、床やデスクに置くタイプの照明です。床に置いて使うフロアスタンド、デスクやベッドサイドなど家具の上に置くテーブルスタンドといった種類があり、形状や素材、光の色合いも幅広く、好きなデザインのものを見つけやすいでしょう。

すぐに設置でき、移動もしやすい点が特徴で、間接照明としても役立ちます。個人のデスクや執務室、会議室には手元を照らすテーブルスタンドタイプが適しています。また、受付ロビーや応接室に背の高いスタンドライトを置いて、おしゃれな空間を演出することも可能です。

スポットライト

スポットライトは、1点を集中して照らすタイプの照明器具です。一般的には天井や梁に取り付けて使用します。光の方向を変えられるため、特定の方向を集中的に照らす、あえて光を当てる向きを変える、などの使い方ができます。

会社のエントランスでポスターやサイン、商品展示など注意を引きたいポイントをスポットライトで照らすことで効果的に強調できます。

ペンダントライト

ペンダントライトは、天井からコードやチェーンで吊り下げるタイプの照明器具です。デザイン性が高く存在感があるため、空間のアクセントとして活躍します。おしゃれな雰囲気を出したい休憩スペースやエントランスといった場所で使いやすいでしょう。

また、個人のデスクや家具などを効率的に照らす部分照明としても有用です。

ブラケットライト

ブラケットライトは、壁に取り付ける間接照明のことで、一般的に補助照明として使われる傾向があります。壁や柱を間接的に照らし、意図的に影を作ることで、印象的な空間を演出できます。

インテリアとしての存在感も高いため、廊下やロビーの他、応接室などの補助照明としても役立ちます。ただ、壁に取り付けるために穴開けが必要な場合があるので、施工できるかどうか事前に確認が必要です。

オフィス照明選びの5つのポイント

オフィスの照明は、内装やデザインとのバランスを考慮して選ぶことが重要です。また、場所や用途に応じて適切なものを選んだとしても、配線などの条件によっては施工が難しいことがあるので確認が必要です。ここでは、オフィス照明を選ぶ際の主な5つのポイントについて解説します。

1.年齢による明るさの感じ方の違い

オフィスで働く社員の年齢層も考慮して、適した明るさを選びましょう。年齢を重ねると、明るさを感じにくくなる傾向があるため、若い世代が使いやすい照度に設定すると、年長者は「少し暗い」と感じる可能性があります。

幅広い年齢層が利用するオフィスでは、照度計算を行って平均照度を出してから照明を選ぶと良いでしょう。また、必要に応じて明るさを調節できる調色や調光が可能な器具の導入もおすすめです。

2.配線器具の確認

照明の種類によって使える配線(コンセント)器具が決まっているため、照明を換える際は、オフィスの他の設備との兼ね合いを確認する必要があります。

間違った選び方をすると、漏電や故障といった事故の危険性もあるので注意が必要です。設置したい場所の配線器具が使えない場合は、別途電気工事を行うことで使用できますが、工事費用がかかるため、コスト面の検討は必要でしょう。

3.内装やデザインとのバランス

照明を選ぶ際には、オフィス全体の内装やデザインとのバランスを考慮することも大切です。適当に照明を選ぶと、オフィスの壁や床の色と合わない可能性があります。また、気に入ったデザインというだけで照明単体を選んでも、奇抜すぎて悪目立ちすることもあるので、オフィスの雰囲気に馴染んでいるかチェックしましょう。

明かりのイメージが想定と異なることも考えられるため、内装デザインを検討する際はプロに相談すると安心です。ソーシャルインテリアのように、オフィスレイアウト全般をサポートできる企業なら、照明を含めたオフィスの要望についてトータルで相談をお受けできます。

4.専門業者に依頼をする

オフィスの照明選びは、照明を専門に取り扱っている業者や、オフィスレイアウトに関する施工業者に依頼しましょう。プロに相談することで、より適切な照明を検討できます。

施工実績やアフターフォローをチェックし、電気工事業者や管理会社から見積りを取ります。見積もりの際には現地調査が行われ、分電盤や防災設備などの状況確認が入ります。電気配線など自社で勝手に変えられない箇所も多いので、必ず確認しておきましょう。

5.助成金や補助金を探す

オフィスの照明を変更する際に、デザインや機能重視で照明を決めると費用が高額になる可能性もありますが、助成金や補助金が利用できれば費用負担を軽減できます。

過去に募集があった制度を紹介します。まず、資源エネルギー庁による「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、省エネ性能に優れた機器や設備の導入費用を一部補助する制度です。補助率は中小企業等が3分の2以内、大企業は2分の1以内で、2021年から2年連続で公募があり、引き続き募集が行われる可能性があります。

また、国土交通省の「既存建築物省エネ化推進事業」は、民間事業者などがおこなう省エネに関する改修工事や付随するバリアフリー改修工事に対する補助金制度です。1件あたり上限5,000万円まで補助金が支給されます。

上記の他、各自治体が実施する制度もあるので、自社が使えるものがないか調べてみましょう。

おしゃれさと実用性を考慮して照明選びをしよう

オフィスの照明選びは、健康経営やオフィスイメージといったさまざまな要素に影響します。明るさや光の色合い、器具の種類など、場所に合わせて適切な照明を選ぶことで、業務生産性の向上や経費削減などさまざまな効果が期待できます。今回紹介したポイントを、自社の照明選びにぜひお役立てください。

ソーシャルインテリアでは、オフィス空間の構築・課題解決をトータルでサポートしており、照明器具のレンタルも行っています。照明選びから各部屋のコーディネートまで、希望にあわせてお見積りを作成できますので、下記よりお気軽にご要望をお聞かせください。