ワーケーションとは?企業のメリット・課題に対する対策を解説
この記事では、ワーケーションの種類、注目されている理由、メリット・デメリットを解説します。ワーケーションの導入を考えている企業が知っておきたい課題と対策についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
働き方改革の取り組みのひとつとして、注目を集めているのが「ワーケーション」です。ワーケーションという言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような働き方をするのかイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
目次
ワーケーションとは?

ワーケーション(Workation)とは、「ワーク(Work)」と「バケーション(Vacation)」を組み合わせた造語です。仕事と休暇を両立させた新しい働き方として、欧米を中心に広がっていて、日本でも導入する企業が増えています。
これまでは、仕事と休暇を明確に線引きすることでワークライフバランスの実現を目指してきましたが、ワーケーションを取り入れることで「休暇を楽しみながら仕事をする」といった新しい選択肢が加わります。
1.ワーケーションの種類
会社以外の場所で働くことをテレワークと呼び、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィスなどで仕事をします。観光地や帰省先などで仕事を行うワーケーションも、このテレワークのひとつ。ワーケーションは、「休暇型ワーケーション」と「業務型ワーケーション」に大別されます。
2.休暇型ワーケーション
休暇の合間に勤務日を入れるスタイルで、福利厚生の一環として取り入れられています。これまで「大型連休や年末年始は長期休暇を取得したい」と考える従業員は多いものの、業務が溜まっていたり、打ち合わせの予定が入ったりしていると、まとまった休みが取りにくいといった課題がありました。
休暇型ワーケーションを取り入れることで、旅行先や帰省先から必要なときだけリモートで働くことができるため、ライフワークバランスをとりやすくなります。
3.業務型ワーケーション
日中は仕事を行い、定時後に余暇を楽しむスタイルです。業務型ワーケーションには、地域課題解決型・合宿型・サテライトオフィス型などがあります。
地域課題解決型は、会社から指定された地域に赴き、地元の人々との交流を通して地域課題の解決を目指す方法です。ワーケーションの誘致に積極的な自治体であれば、手厚いサポートも受けられます。
合宿型では、宿泊を伴う業務により職場のメンバーとの関係強化を試みます。保養所や旅館での合宿はモチベーションアップにも効果的で、プロジェクトの立ち上げ時などに向いています。
サテライトオフィス型は、通常のオフィスとは違う場所で働く方法です。観光地のシェアオフィスやホテルの会場をサテライトオフィスとして利用することもできます。
4.ワーケーションとブレジャーの違い
出張業務の前後に有給休暇を組み合わせる働き方を「ブレジャー」といいます。ブレジャー(Bleisure)は、「ビジネス(Business)」と「レジャー(Lesure)」を組み合わせた造語で、ブリージャーと呼ばれることもあります。
ブレジャーは、仕事に比重を置いた業務型のスタイルですが、有給休暇を取得した日は自由に過ごすことが可能です。休暇型ワーケーションは旅行先や帰省先への費用は従業員の自己負担となるケースが多い一方で、ブレジャーは業務を遂行するうえで必要な経費であれば会社負担となります。
ワーケーションが注目されている背景
日本国内でワーケーションが注目されている背景には、「働き方改革の広がり」と「新型コロナウイルス感染症の流行」があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.働き方改革の広がり
日本では2018年に働き方改革関連法が成立し、2019年4月から順次施行されています。働き方改革の広がりと共に、企業には多様な働き方への対応が求められるようになりました。とくに、年次有給休暇の取得が義務化されたことは、大きな変化です。欧米諸国と比べると日本の有給取得率は低かったため、従業員が長期休暇を取りやすくなるよう、ワーケーションに注目が集まりました。
2.新型コロナウイルス感染症の流行
2019年12月に発生し、世界的な大流行を引き起こした新型コロナウイルス感染症もワーケーションと深い関わりがあります。緊急事態宣言が出されたことにより、テレワークが急速に普及し、出社しなくても働ける環境が整備されていきました。一方、外出自粛やインバウンド減少により大きな打撃を受けた観光業界は、「コロナ禍ならではのビジネス」に取り組むようになります。自宅での働きづらさを感じている人に、「ホテルでのテレワーク」「地方拠点の設置」などを提案した結果、ワーケーションという働き方が徐々に認知されるようになりました。
ワーケーションを導入するメリット

ワーケーションを導入することで、企業には以下のメリットが期待できます。
- 有給休暇取得の促進
- 優秀な人材確保
- 生産性の向上
- イノベーションの加速
- 企業ブランディングへの寄与
- 従業員のメンタルヘルスケア
- 地方創生への寄与
- 地域との関係性構築
働き方改革関連法では、年次有給休暇が10日以上付与される労働者には年5日の年次有給休暇の取得が義務付けられています。罰則も定められているため、企業は取得の促進に向けた取り組みが必要です。
ワーケーションの導入により従業員が休暇を取得しやすくなると、会社に対する満足度も向上し、離職率の低下にもつながります。働き方改革に積極的な姿勢は、企業のブランディングにも有効で、優秀な人材が確保しやすくなるでしょう。
ワーケーションを導入するデメリットと対策
ワーケーションを導入することで、企業には以下のデメリットがあります。
- 労務管理の煩雑化
- 環境整備のためのコスト増大
働き方が多様化することで、労務管理の負担が増えます。また、新しい環境に対応するための設備導入などで、コストの増大も予想されます。対策としては、次の3点が有効です。
- 勤怠管理システムの整備
- 人事評価システムの再構築
- セキュリティ対策の強化
柔軟な働き方ができるワーケーションでは、「仕事をしている時間」「仕事をしていない時間」が曖昧になりがちです。パソコンを起動している時間と連動した勤怠管理を行うなど、業務内容に合わせたシステムを整備しましょう。
勤務態度の確認も難しいため、業績や成果の評価割合を高めるなど、人事評価システムの再構築も必要です。セキュリティ対策としては、新しくツールを導入する以外に、社内ルールの周知も重要です。「フリーWi-Fiにはアクセスしない」「紛失時は速やかに情報システム室に報告する」など、ルールを周知するだけでもセキュリティリスクは軽減できます。
ワーケーションに関してよくある誤解

ワーケーションに対して良いイメージを持っていない人のなかには、働き方を誤解しているケースもあります。ここでは、ワーケーションに関する誤解を2つ紹介します。
1.ワーケーションは強制?
ワーケーションは従業員が自主的にとるもので、企業が利用を強要するものではありません。「休暇中は仕事のことを考えず、ゆっくりと過ごしたい」という人もいるため、数値目標などは定めず、休み方の選択肢のひとつとして提示する程度に留めます。強要したところで企業にとってプラスにならないので、取得は個人の自由であることを従業員にも徹底して伝えましょう。
2.仕事とプライベートを分けることができない?
仕事とプライベートをはっきり分けたい人は、ワーケーションを利用する必要はありません。「仕事とプライベートが曖昧でも構わない」「リラックスした休暇中のほうがアイデアが湧く」といった人は、ワーケーションが向いています。ワーケーションは「休みの日に仕方なく仕事をする」と誤解されがちですが、休暇を楽しみながら自分のペースで働きたい人のための仕組みです。
ワーケーション導入は課題の対策も含めて計画的に進めよう
休暇と仕事を両立できるワーケーションは、企業にとってもさまざまなメリットがあります。一方で、環境整備やセキュリティ対策がネックとなり、導入に踏み切れないケースも少なくありません。
ワーケーションをスムーズに導入するには、自社の課題を把握して、対策を考えることも必要です。「休暇型と業務型のどちらが適しているか」「導入による効果はどれくらい見込めるか」などを検討しながら、計画的に進めて行きましょう。
企業がワーケーションの場所を指定する場合、オフィスの整備が必要となります。オフィス構築にお困りの際は、ソーシャルインテリアにご相談ください。
