オフィスの適切な通路幅は?働きやすいオフィスレイアウトを考える!

働きやすいオフィスレイアウトを考えるうえで、適切な通路幅の確保は欠かせません。通路幅は業務効率や従業員のモチベーションなどに大きく影響します。十分な通路幅がないと、生産性が低下したり、従業員がストレスを感じやすくなったりする可能性もあります。

この記事では、快適なオフィスレイアウトを実現するための通路幅について、執務スペース・ワークスペースごとの標準値を紹介します。十分な通路幅を取れない場合にできる工夫もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

快適なオフィスづくりには「余白」が重要

オフィスに机やオフィス家具を詰め込み過ぎると圧迫感を感じやすくなります。圧迫感のあるオフィスでは、集中力・モチベーション・業務効率が下がるリスクが生じます。従業員が働きやすいと感じるオフィスにするためには、「余白」を意識することが重要です。

オフィスの余白スペースは70%が基本です。主な余白スペースとしては、通路や扉周辺、ロッカー・キャビネットまわりなどが挙げられます。扉周辺では、開けたままでも動線の邪魔にならないのかを確認します。とくに、頻繁に開閉するロッカー・キャビネットまわりは、余裕のあるスペースを確保しておくと安心です。

【基本知識】人・モノの寸法

まずは、基本知識としてオフィスに関する人・モノの寸法を押さえましょう。

【人の幅】

人が立っている場合の標準的な寸法(幅)は男性が約500mm、女性が約460mmです。人ひとりが通る通路では最低限600mmの幅が必要です。900mmが標準的な通路幅で、1200mm確保できるとゆったりと移動することができます。

【ダンボールの幅】

ダンボールは大きく3つのサイズに分けることができます。Sサイズは外形3辺の合計が100cm以下、Mサイズは外形3辺の合計が120cm以下、Lサイズは外形3辺の合計が140cm以下です。もっとも大きいLサイズの場合、幅340mm × 長さ505mm ×  深さ332 mmといったサイズ感です。ダンボールを運ぶ場合、600mmの幅では、かなり移動しづらくなります。

【その他のモノの幅】

  • 台車の寸法は幅600mm × 奥行き900mm
  • 車いすの寸法は幅600 × 奥行き970mm

※いずれも製品によって異なります

執務スペースの通路幅

限られたオフィススペースを有効活用するためには、執務スペースごとの標準的な通路幅を知っておくことが大切です。ここでは、オフィスレイアウトに応じた6種類の通路幅について解説します。

1.デスクとデスクの間

デスクを向かい合わせに配置する対向式レイアウトでは、デスクとデスクの間の通路幅は900mmが標準値です。対向式レイアウトは部署単位で「島」と呼ばれるかたまりを作るスタイルで、同一部署内でのコミュニケーションがとりやすい点がメリットです。

人の行き来が多いメイン通路に面している場合は、1200〜1600mm程度のスペースが確保できると快適に働きやすくなるでしょう。

2.座席と座席の間

デスクに座ったとき背中合わせになる背面式レイアウトでは、座席と座席の間の通路幅は1800mmが必要です。背面式レイアウトは程よい距離感となっているので、お互いの視線を気にすることなく作業に集中することができます。

作業中は椅子に座るスペースが必要なので、標準として1800mm、余裕があるオフィスは2100mm程度あるとストレスを感じにくくなります。

3.座席と壁面の間

座席の背面が壁の場合は、後ろを人が通る可能性があるかで必要な通路幅が変わります。人が通らないオフィスであれば、900mmの通路幅でも問題ありません。

また、機密情報を扱う部門や管理職の席など、あまり人に通ってほしくない場合には座席と壁面の間をあえて狭くしておく方法もあります。スムーズに通れる通路にしたいのであれば、1000〜1600mm程度を確保しましょう。

4.デスク・座席と収納の間

デスクのとなりが収納になっている場合の標準的な通路幅は1400mmです。座席と収納の間は、さらに広い1800mmが必要となります。

キャビネットやロッカーをはじめとする収納は、開閉できるスペースを確保するだけでなく、どれくらいの頻度で使用するのかも考慮する必要があります。座って作業をしている後ろで頻繁にキャビネットが開閉されるのは、従業員にとってストレスです。キャビネットに何を入れて、誰が使うのかまで想定して決めていくと、働きやすいオフィスレイアウトとなります。

5.複合機とデスク・座席の間

多くの人が利用する複合機(コピー機)周辺は、余裕のある空間にしておくと安心です。複合機とデスクの間は1200mm、複合機と座席の間は1600mmとするのが、標準的なレイアウトです。

複合機の前でコピーを取っているときでも、後ろに人がひとり通れるスペースを確保することで、スムーズな動線となります。複合機をメイン通路や出入口付近に設置する場合は、すれ違える程度のさらに広い通路幅がおすすめです。

6.デスクとパーテーションの間

デスクとパーテーションの間は、最低でも600mmの通路幅を確保します。標準値としては800mm、広いオフィスであれば1200mmあるとゆったりとした空間となります。

デスクとパーテーションの間の最適な通路幅は、座席の後ろを人が通る可能性があるかで変わります。省スペースにする場合でも、ストレスなく立ったり座ったりできるか、椅子にもたれて身体を伸ばすことができるかなどを確認しましょう。

その他のワークスペースの通路幅

続いて、会議室・役員室・社長室に必要な通路幅についてみていきましょう。社内だけで使うのか、来客を想定しているかなど、ワークスペースの目的を具体的にイメージすることで、より良いレイアウトに仕上がります。

1. 会議室

会議室のレイアウトとしては、大型のデスクを囲む打ち合わせ形式、同じ方向にデスクを並べるスクール形式などがあります。どのレイアウトの場合でも、動線は1000mm、椅子の後ろは800mm、デスクと壁の間は800mmの通路幅を最低限確保することを意識しましょう。

会議室では入退室、プロジェクター投影、プレゼン、資料配布など、さまざまな動作が発生します。執務スペースよりも余裕を持った通路幅にすると、圧迫感が少なくなり、動きやすくなります。

2. 役員室・社長室

役員室・社長室はゆったりとした空間にすることで、高級感や重厚感を演出することができます。

来客がある場合は、スムーズに着席してもらえるように、通路幅を800mm以上にするのがおすすめです。デスクと壁の間は700〜1000mm、ソファに座ったときの足元は300〜500mm程度を確保しておきましょう。背の低いソファを採用することで、すっきりしたと余白の多い空間に仕上がります。

十分な通路幅を取れない場合にできる工夫

オフィススペースが狭く、十分に通路幅が取れない場合にできる工夫を3つ紹介します。標準的な通路幅にこだわりすぎるのではなく、「どうすれば従業員が働きやすいのか」を追求することが大切です。

1.通路幅を10%狭くする

標準的な数値から10%減程度であれば、快適性をたもったまま省スペースすることも可能です。ただし、通路幅は狭くし過ぎると圧迫感が生じます。

また、扉や収納付近の通路は10%狭くしたことで、開閉に問題が発生するケースもあります。通路幅を狭くする場合は、オフィス家具や動線とのバランスを考えることがポイントです。

2.引き戸式扉の収納を採用する

オフィスの収納は前方のスペースを必要とする「引き出し式」または「開き戸式」が大半です。十分な通路幅が取れないときは、引き戸式扉の収納を検討してみましょう。引き戸式は、手前に扉を引き出さなくて良いため省スペース化を実現できます。

ただし、引き戸式は扉を全開にできないため、中に収納するモノのサイズには注意が必要です。

3.断捨離・デジタル化でモノを減らす

オフィスで使うもの断捨離すれば、デスクや収納を減らすことができます。捨てられないものはデジタル化も検討しましょう。

とくに、見直したいのは書類です。書類がどんどん溜まってしまう場合は、廃棄ルールを決めて定期的に処分していくと、スペースに余裕が生まれます。そのほか、電子契約や名刺のデジタル管理ツール、業務管理システムなどを導入する企業が増えています。

4.小さいオフィス家具を採用する

小さいオフィス家具を採用することで、通路幅が確保しやすくなります。ただし場合によっては業務効率が悪くなる可能性もあるため、職種や業務内容に合わせて小さめのデスクサイズを探してみましょう。

たとえば、外出やテレワークが多い職種は、小さめのデスクでも問題ありません。標準的なデスクの寸法は、幅1200mm × 奥行き700mm × 高さ720mmです。コンパクトなサイズとしては幅1000mm、奥行き600mmといったラインアップがあります。

通路幅を考えるときは「避難経路」の確保も必須!

オフィスレイアウトでは、消防法・建築基準法に基づいて避難経路を確保しておく必要があります。日々の業務を快適に取り組めることはもちろん、非常時に従業員が安全に避難できるよう、しっかりとポイントを押さえておきましょう。たとえば、建築基準法では廊下の幅について、1.2〜1.6mといった基準が設けられています。

消防法では廊下や避難口に備品が放置されていると問題になるケースがあります。とくに、注意したいのがレイアウト完成後の管理です。レイアウトではしっかりと通路幅が確保できていても、荷物が少しずつ増えていくことで、避難経路を塞いでしまうことはめずらしくありません。荷物や備品が知らないうちに避難経路を狭めることがないよう、管理も徹底しましょう。

従業員が働きやすいオフィスレイアウトとは?

通路幅はオフィスの快適さ、働きやすさに大きく関わります。ただし、通路幅は快適なオフィス環境を実現するための要素の1つです。さまざまな要素とのバランスを考えながら、より良いオフィスレイアウトを作りこんでいきましょう。

【オフィス空間を構成する要素】

  • 動線
  • デスクの配置
  • オフィス家具のサイズ
  • 共有備品の場所
  • 雑音問題
  • 視線問題

たとえば標準的な通路幅を確保できても、デスクや椅子が小さくて作業がしづらい、共有備品まで遠くて不便だと生産性は低下します。コミュニケーションが取りづらいデスク配置、雑音や視線が気になるレイアウトだと、ストレスを感じやすくなるでしょう。通路幅だけを重視するのではなく、オフィス空間全体の働きやすさを考慮していくことがポイントです。

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