企業の顔と言っても過言ではないオフィスの受付。自社のイメージを大きく左右するため、再構築する際は慎重に進めなければなりません。しかし、重要なエリアだからこそポイントが分からず、オフィスの見直しをためらっている企業担当者・経営者も多いのではないでしょうか。
本記事では、オフィス受付の再構築で押さえておくべきデザインのポイントをまとめました。自社が抱える課題に適したデザインが分かります。
目次
オフィスの受付の役割
オフィスの受付は、訪問者の満足度と従業員の業務効率を向上させる役割があります。
具体的な役割は以下の5つです。
- 来客者対応
- 来客者の情報管理
- 電話対応
- 庶務・雑務
- 会議室の予約
一番の役割は来客者の対応と情報管理です。来客者が円滑に業務を行えるように、社内の案内から訪問者の情報登録・スケジュール管理、入館証の発行まで幅広いサポートを提供します。
また、従業員の業務効率化や円滑なコミュニケーションを促すのも受付の役割です。外部からの問い合わせを各部署へ取り次ぐ電話対応・荷物の受け取り・会議室の予約などの機能を果たします。
このように、受付は社内外問わず包括的な役割を担うからこそ、自社が受付に求める機能を持てるよう設計しなければなりません。
オフィス受付のデザインの6つのポイント
オフィス受付の再構築では、単におしゃれなだけでは有益な効果は得られません。
以下6つのポイントを押さえることで、自社が抱える課題を解消できる可能性が高まります。
- 自社のアイデンティティーをどう表現するか
- 有人受付にするか無人受付にするか
- 受付スペースとワークスペースをどう繋げるか
- 来客の対応・商談をどこで行うか
- 社員と来客の出入を分けるか分けないか
- どの程度の予算をかけるか
それぞれ詳しく解説します。
1.自社のアイデンティティーをどう表現するか
オフィスの受付は企業の第一印象を決める場所として、自社のアイデンティティーをどう表現するかが重要です。
定番としてコーポレートカラーや企業ロゴ、会社看板を用いる方法が挙げられます。商品イメージや企業コンセプトをアピールできるとブランド力強化が期待できるのはもちろん、一貫したブランディングによって訪問者へ信頼感と好印象を与えることが可能です。
単におしゃれなだけでは他社との差別化が図れず、強いインパクトを与えられません。また、企業イメージに合わないとブランドメッセージを弱めてしまう恐れもあるでしょう。
2.有人受付にするか無人受付にするか
オフィスの受付には有人受付と無人受付の2種類があり、必要な設備や導入コストが異なります。
有人受付はスタッフが来客者の対応をするため、常駐人数分の椅子や広めのカウンターが必要です。しかし、トラブルが発生した際、柔軟な対応で来客者へ安心感を与えられるでしょう。
一方、無人受付は来客情報などを受付システムで一括管理できます。セキュリティシステムの導入や来客対応のスタッフを配置する必要はあるものの、コスト削減と人材不足の解消に有用です。その他、24時間対応や多言語対応などオフィスに合わせて機能を選べます。
3.受付スペースとワークスペースをどう繋げるか
オフィスの受付とワークスペースの位置関係もポイントです。
受付とワークスペースを一体化したレイアウトは、談話スペースに活用できるほか、来客者へ社内の雰囲気をアピールするのにも効果的です。セキュリティリスクは懸念されますが、目隠し代わりに観葉植物を配置したり貴重品管理にロッカーを設置したりとレイアウト次第で解決できる場合もあります。
一方、受付は人の出入りが多いため、パーテーションや造作壁などで空間を分けることで、セキュリティを強化できます。ただし、ワークスペースを仕切るとオープンな空間は演出できません。
『施工型パーテーションとは?造作壁との違いや施工前の確認事項を解説』
4.来客の対応・商談をどこで行うか
受付カウンターのみ設置したシンプルな空間は、来客対応がスムーズに運ぶ一方で事務的な印象を与えかねません。
くつろげる待合スペースや商談に使える応接スペースを設けて快適性を高めることで、ビジネスを円滑に進める効果が期待できるでしょう。近年は、開放的でフランクに立ち寄れるミーティング兼応接スペースが人気です。
その他、受付にサイネージを設置することで、待たせる時間を利用して自社のコンセプトやサービスを効率良く宣伝できます。採用活動においては求職者に自社アピールができるため、より企業理解を深めてもらえるでしょう。
5.社員と来客の出入を分けるか分けないか
社員と来客者が、オフィスの受付を共有するのか分けるのかも重要なポイントです。
社内外問わず共通の出入り口として設置すると、コスト節約はもちろん、外部とコミュニケーションを図りやすくなりオープンな雰囲気を演出できます。
一方、従業員通用口と来客者専用受付を分けると来客対応がしやすく、来客者を待たせる時間を短縮できます。内部情報の漏洩などセキュリティリスクを軽減することも可能です。ただし、オフィスの建築構造やスペースの制約によって実現が難しい場合があります。
6.どの程度の予算をかけるか
オフィスの再構築では全体的な予算に加えて、受付にかけるコストも計算しておきましょう。
従業員の生産性向上や外部へのブランディング効果を見込むには、デザイン性・機能性・快適性が重要です。とくに、エントランスや受付のような来客者との接点が多いエリアは企業の顔なので、デザイン性や快適性を高めるために重点的にコストをかける傾向があります。
ワークスペースの予算とのバランスを考えつつ、オフィス家具や照明、床・壁の素材、グリーンにかける予算を検討しましょう。
オフィスの受付カウンターの種類
オフィスの受付カウンターは、サイズや機能性によって以下の3種類に分けられます。
- ハイカウンター
- ローカウンター
- 無人受付カウンター
適したシーンや導入するメリットを把握して、自社に合うカウンターを見極めましょう。
1.ハイカウンター
ハイカウンターとは、受付スタッフと来客者の双方が立った状態で対面するカウンターです。
着座するカウンターと比較して動きやすく柔軟性が高いため、接客時間の短縮や業務効率アップに役立ちます。足元の空きスペースには、来客者へ配る資料・パンフレットや事務作業に必要な筆記用具を管理できる収納棚を設けるなど、スペースを有効活用することも可能です。
ハイカウンターの一般的な目安は、高さ95cm程度×奥行き42cm〜52cm程度です。作業しやすいように腕を90度程度に曲げられる高さを意識すると良いでしょう。
2.ローカウンター
ローカウンターとは、着座した状態で接客や業務を行うカウンターです。フランクな接客に向いているハイカウンターと比較して、時間をかけた接客や事務作業に向いているため、フォーマルな印象を与えたい場合に用いられます。
ローカウンターの高さの目安は、来客者側が95cm前後、受付者側が70cm前後、奥行きは75cm〜100cmが一般的。
受付側の高さがやや低く手元が来客者に見えやすいため、個人情報を保護する対策が求められます。「来客者との間に目隠し用のパネルを設置する」「別にデスクを設置する」などの工夫が必要です。
3.無人受付カウンター
無人受付カウンターとは、受付専用のスタッフを配置せずに内線電話などを設置したカウンターです。インフォメーションカウンターとも呼ばれ、呼び出し用の内線電話以外にチェックイン用のデジタルディスプレイを置く企業も増えてきました。
コンパクトなハイカウンター仕様が多く、高さの目安は100cm程度です。パンフレットや備品管理に役立つ収納棚付きのものから配線しやすい配線スリット付きのものまで種類豊富にそろいます。
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オフィスの受付は企業の第一印象を決める重要なスペースです。デザインを見直す際は、コストの計算や設置スペースの確保はもちろん、自社のアイデンティティーを表現することが重要なため、慎重に進めなければなりません。
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