こんな発色の良い家具があったんだ!という新たな発見と驚き

石巻のクリエイティブチーム株式会社巻組様が手掛けるクリエイティブ拠点『Creative Hub加美』へサブスク家具を導⼊いたしました。


Direction:Chika Katsura
Interior Design : Chiharu Nakamura


株式会社巻組 三浦 拓 様、平塚 杏奈 様

なぜ古民家をリノベーションするのか?

巻組のはじまりは、2011年の東日本大震災でした。当時、大学院生であった代表の渡邊享子が、被災直後の宮城県石巻市でボランティアを経験をしたことで、このビジネスが生まれました。
その頃の被災地は、まだ津波の痕跡が生々しく、ライフラインも復旧していませんでした。そういった出来事を目の当たりにした経営者やクリエイターが、「せっかく生き延びたのだから、とりあえずやってみよう」という思いを胸に石巻に集まるようになり、徐々にイノベーションの街になっていったのだと思います。

一方で、たくさんの方が住まいを奪われている状態であったため、住宅は典型的な大量生産型で復興がすすめられました。やはり地元の人が優先となるため、移住してきたイノベーション人材は、長期滞在することは難しい状況でもありました。
そんな中で、0から1を生み出すエネルギーと創造性に溢れている移住者たちが、居場所がないことを理由に石巻を離れてしまうのは大きな損失だと考え、地元の人でも住まない悪条件の空き家を探してアタックを始めました。

誰にも使われず朽ちていく空き家を、無料でも引き取って欲しいという大家さんからの要望は多く、そうした不動産価値を改めて見直すキッカケをつくり、次の世代の幸せな暮らしにつなげるのが、私たち巻組の仕事となりました。

『Creative Hub加美』があるところ

Creative Hub加美が位置する加美町は山形県とのほぼ県境にあります。
自然豊かな環境で高齢化にともなって空き家が増えているエリアでしたが、クリエイティブな事業も多数行われており、美大卒の移住者なども加美町で定着している特徴があります。2021年度からはクリエイティブな若者や企業を誘致する「クリエイターズ・ビーハイブ(蜂の巣)構想」もスタートさせています。
また、国内有数の音響効果を誇る「中新田バッハホール」、市民オーケストラ「バッハホール管弦楽団」、国立音楽院宮城キャンパスを有するなど、音楽のまちとしても知られています。

Creative Hub加美は、はじめは空き家バンクに登録されていた、築120年以上が経過している古民家でした。
周辺エリアはレトロな商店街で、老舗割烹店や和菓子屋さんなどが近隣に並んでいます。この古民家も閉業して久しいものの、店舗として営業していた歴史があります。

「この箱を活かしつつ、どんなスペースにするか?」を考えているときに、ソーシャルインテリア様に出会いました。

イメージにあう家具を探して

Creative Hub加美は、加美町行政との連携で生まれたコワーキングスペースで、アトリエや宿泊施設としての機能も備えています。

加美エリアには、大崎耕土という世界農業遺産があります。そこからインスピレーションを受けたデザインイメージとして、緑や青を入れたいと思っていました。しかし、内装自体に青や緑を取り入れるのは、面積としても資材量としてもチャレンジングになってしまうので、家具でそのカラーを入れられたらと考えていました。

そこで、ソーシャルインテリアさんに、このような機能とイメージのみをお伝えして、合う家具はどんなものがありますか?というざっくりとした投げかけを行い、コーディネート提案をいただきました。

今回は、Karimoku New Standardの家具を導入しましたが、こんな発色の良い家具があったんだ!と新たな発見と驚きがありました。青や緑の家具を自分で探すのは、なかなか難しかったと思います。
他にもイメージに近い提案がいくつかあった中で、ショールームもご案内いただきましたので、実際に見て良いなと思うものを選ぶことができました。

いろいろな商品を取り扱えることが一番の良いところだと思います。さらに、無料で予算にあわせたコーディネートをしてくれるというのは、とてもありがたいです。

新しいコンセプトでクリエイティブシティへ!

古民家だったので、そこにあわせて懐かしい落ち着いた空間に洗練された家具を入れることは、私たちが提唱する第3の居場所「サードセルフ」という考え方を体現することにも繋がります。おもしろい家具を見てみたい、よい家具を使ってみたい、という点でも目玉になっていると思いますし、付加価値があります。

こうした巻組のビジョンによる企画から家具を設置するまでのストーリーを経て、古民家はCreative Hub加美として生まれ変わりました。

昔から知っている場所が生まれ変わってうれしい、目の前が空き家でずっとさみしかったというご近所さんの声や、この場所でどんなビジネスにチャレンジしようか考えるとワクワクするといった若い世代の声で、町のハブとなる機能として、既に期待が寄せられています。ビジネス利用はもちろん学生向けの研修や合宿など、様々なイノベーションが楽しみな施設です。

今後はもっと尖ったコンセプトの面白いものも検討しているので、インテリアに関するアドバイスをソーシャルインテリア様にいただけたらいいなとも思っています。

株式会社巻組について

巻組は、東日本大震災後の宮城県石巻市で創業。一般市場では流通しないような資産価値がゼロに近い築古物件をシェアハウスやゲストハウス等として改修し、空き家に新たな価値を与えるだけでなく、入居者間のコミュニティづくりまでサポートしています。
宮城県加美町で運営する「Creative Hub加美」は、築120年以上の木造家屋をリノベーションした拠点です。
若きクリエイターが創作活動を思う存分に楽しむアトリエとして、事業家が集中して仕事に打ち込めるコワーキングスペースとして、豊かな加美町の自然を楽しみじっくり滞在できる宿泊施設として、さまざまな顔を持ち合わせているクリエイティブ拠点です。
営業時間は10:00〜19:00。個人の方は33,000円、法人の方は110,000円で年間会員となって、当スペースを利用することができます。

Chiharu
Nakamura
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取材/文
Azusa
Kurabayashi

コメント(インテリアデザイン担当より)

案件の依頼をいただいた時、ここを訪れる人びとの創造性や創作意欲を刺激して、ものづくりに没頭できる空間を一緒に作れたらいいなと思いました。心地よい空間を作り、ここに何度も足を運びたいと思う人を一人でも多く増やすことで、巻組様の取り組みに貢献できる点でもとてもやりがいのある案件だなと感じました。
三浦さんの中に具体的な空間・家具イメージがあったので、それに合うアイテムであることと、
築120年以上の古民家が持つもともとの雰囲気を損ねることなく、控えめでいて少し個性を感じられるアイテムを意識してKarimoku New Standardを中心にセレクトしました。
私たちは国内メーカーや国産木材を使用した家具を積極的に提案することで、パートナーである家具メーカー様に貢献していきたいという想いもあるので、今回の案件は巻組様、メーカー様、当社それぞれにとって価値あるものになったなと実感しています。
また家具を選ぶ過程でも三浦さんにはるばる仙台から東京まで足を運んでいただき、家具の座り心地や素材の選定まで丁寧に吟味できた点でも思い入れ深いプロジェクトになりました。
納品の際に初めて加美町を訪れましたが、周辺の大自然がとても素晴らしくて、夜は満点の星空で温泉にも癒やされ、束の間の出張でしたが心が洗われました。またプライベートでも訪れたいですね。
今後もこのような取り組みが全国で増えていって欲しいと思いますし、巻組さんとの今後のコラボレーションにも期待しています。今回このような機会をいただき本当に感謝しています。ありがとうございました。