適切な一人当たりのオフィス面積とは?省スペース化を進めるポイントも解説

オフィスの構築を考えるにあたり、重要な要素の一つが一人当たりのオフィス面積です。「おおよそで決めてよいのでは」と思う方もいるかもしれませんが、一人あたりの面積は業務の生産性、ひいては企業の成長にも直結しています。そのため、ある程度の目安を知っておきたいところです。

この記事では、オフィスのデザインや設計で悩むご担当者様向けに、オフィスの一人当たりの面積について紹介します。「一人当たりはどの程度が適切なのか」「近年の動向は?」「縮小したい場合はどうすればよいか」など詳しくみてみましょう。

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一人当たりのオフィス面積とは?

一人当たりのオフィス面積とは、オフィス全体の広さを在籍している従業員の数で割った数値です。従業員のパーソナルスペースや、新しいオフィスの広さを決める際の指標になります。単に「オフィス面積」というときは、執務スペースだけでなく、会議室・受付・休憩室・倉庫などの共有スペースも対象です。

それでは、なぜオフィス全体の広さだけでなく、一人当たりの面積も検討しなくてはならないのでしょうか。

1.オフィス面積が従業員に与える影響

オフィス面積の広さは、従業員の心身のストレスや業務効率、生産性に大きな影響を与えています。必要以上にオフィスを狭くすると、従業員のパーソナルスペースの減少にもつながるのです。

そのため、隣の人と過度に距離が近い環境は、ストレスの要因です。上司や同僚の視線が気になって業務に集中できないこともあるでしょう。また、オフィス面積が狭いと、設置できるデスクのサイズも限定されます。

このように、オフィス自体が狭くなることで、十分個人スペースを確保できず、従業員のストレスや業務に悪影響が出ることがあるのです。従業員それぞれが高いパフォーマンスを発揮するために、オフィスの面積とパーソナルスペースの確保は非常に重要だといえます。

2.近年オフィス面積の考え方は変化している

近年、一人当たりのオフィスの面積は減少傾向にありますが、一人当たりの執務スペースの面積は増加しています。これにはさまざまな要因が考えられますが、大きな影響を及ぼしているといわれているのが「ABW」の導入企業の増加です。

ABWとは、Activity Based Workingの略称で、従業員が働く場所を自由に選べるワークスタイルのことです。ABWの導入により、オフィスに常駐する従業員が減るためオフィス面積自体は縮小、反対に多様な働き方に対応するオフィスは複雑化しやすいため1人当たりの執務スペースは拡大する傾向にあります。オフィスを縮小する場合でも、執務スペースはしっかり確保することを意識しましょう。

一人当たりのオフィス面積の規定

実は、企業のオフィス面積には公的なルールが設けられています。事務所の衛生基準を定める厚生労働省令「事務所衛生基準規則」には、次のような規定が存在します。

“第二条 事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。”

引用元:事務所衛生基準規則|e-GOV法令検索

この気積10㎥を、一般的なオフィスの天井の高さの2.5mで割ると、4㎡です。この数値が、一人当たりの最低面積の目安となります。

【業種別】一人当たりに必要な適切なオフィス面積

経済産業省の関係機関、NOPAが主催するコンテスト「日系ニューオフィス」では、快適かつ機能的で、創造性を高めるオフィスを毎年表彰しています。

受賞オフィスの例にならうのであれば、気積に対する一人当たりの面積はおおむね11㎡が基準です。ただし、業種や部門によって必要な面積は異なるため、業務内容に応じて広さを変えることを検討してみましょう。

1.広い執務スペースが必要な業種

広い執務スペースが必要なのは、社内でのデスクワークが中心となる業種で、紙の書類を多く扱うオフィスです。たとえば、以下の業種では、広めのオフィスを検討する余地があります。

  • 金融業
  • 保険業
  • 学術研究機関
  • 技術サービス業
  • IT業
  • クリエイティブ業
  • 士業系の事務所

一人当たりのオフィス面積を広めに取るのであれば、14.5㎡(約4.4坪)程度がひとつの目安です。業務内容によっても異なりますが、向いているレイアウトとして同向式レイアウトやブーメラン型レイアウトなどが挙げられます。

2.狭い執務スペースで問題ない業種

一例ではありますが、以下の部門・業種であれば狭い執務スペースでも問題ない場合があります。

  • 営業
  • 企画部門
  • 会計部門
  • 情報通信業

パソコンでの作業がメインの仕事や、外回りが多くオフィスでの業務が少ない場合も、コンパクトなスペースで問題ないでしょう。この場合、要求される広さは11.1㎡(約3.4坪)程度です。

向いているオフィスレイアウトの例を挙げるなら、向かい合って着席する対向式レイアウトや、座席を固定しないフリーアドレス制が候補となります。

一人当たりのオフィス面積を縮小するためには?

オフィスの面積をあまり広く取れない場合、一人当たりの面積を小さくすることも選択肢に入ってきます。賃料の減少や、大きなオフィスが必要なくなることによる冷暖房の削減に効果的です。

ただし、ここまで紹介したように、スペースの不足が生産性に影響を及ぼすこともあるため、空間を無駄なく活用し、無理なくコンパクト化することが求められます。

それでは、どう工夫すればよいのでしょうか。具体的な方法を紹介します。

1.オフィスへの出社人数を減らす

オフィス外でも仕事ができる業種であれば、オフィスへ出社する人数を減らすことで、面積を小さくできます。全員分のデスクを用意しないだけでも、一人当たりの執務スペースは大幅に広くなるでしょう。

一度に出社する人数を減らす方法としては、リモートワークやフレックス制度の導入が挙げられます。従業員がオフィス以外でも働けるよう環境を整えてみましょう。全ての従業員に対して制度を適用することが現実的でない場合でも、一部の従業員の勤務時間や出社日を調整するだけでも、必要な面積は小さくなります。

2.ペーパーレス化を進める

紙で保管している書類が多いのであれば、ペーパーレス化を進めるのも効果的といえます。空間を圧迫する紙を減らすことで、保管のために使っているスペースを有効活用できるためです。データ化してインターネットから閲覧できるようにすれば、リモートワークの導入などにも役立ちます。

ただし、書類ならなんでもペーパーレス化すればよいわけではありません。紙での保管が必須のものや、電話応対でとっさに必要な資料などは、紙のまま保管しておきましょう。

ペーパーレス化を進めるのであれば、多くの場合次の書類は対象にできます。

  • 社内向けの申請書などの原本
  • 会議資料
  • 議事録
  • 社内向けの告知や規則
  • パンフレットやちらしのひな形

ペーパーレス化がふさわしいかどうか、それぞれ必要なシーンを考えながら検討してみてください。

3.オフィス機能に柔軟性を持たせる

オフィスの機能やレイアウトをフレキシブルにすることで、状況に合わせた形にレイアウトを変更できるため、スペースを効率的に利用できるようになります。

たとえば、応接室と会議室を別で用意せず兼用にするなど、共有スペースを複数用途で活用できるようにすれば、オフィス全体の面積はよりコンパクトになるでしょう。

また、キャスター付きのオフィス家具を導入し、必要に応じて移動できるようにすると、人数の増減やチーム編成の変更にも対応しやすく、スペースを無駄なく使えます。

そのほか、空間の間仕切りを最低限の数にする、オフィスのデスクをすべて同じ種類に揃えて流用できるようにするといったアイデアも有効です。自社の環境に合った方法を検討してみてください。

4.業務内容に応じてパソコンの種類を変える

従業員に一律でデスクトップパソコンを貸与しているケースなどでは、パソコンの種類を変更することでスペースを少なくできることがあります。デスクトップパソコンは本体とモニターが別で必要であり、配線も複雑化しやすいのでどうしても場所を取ってしまうためです。

たとえば、業務の遂行にそれほどハイスペックなパソコンが必要ない職種には、本体を置く必要のないノートパソコンを貸し出す形にすると省スペースが実現します。

ただし、デザインやシステム開発、動画編集などの業務では、パソコンのサイズよりパフォーマンスを重視してください。設置スペースを優先して業務効率が低下することは避けなければなりません。

生産性を上げるオフィスづくりなら「ソーシャルインテリア」にお任せください

一人当たりのオフィス面積にはおおむねの目安がありますが、業務に合わせた形に最適化することが大切です。

「業務効率が上がるよう十分なスペースを与えたいけれど狭くて難しい」「従業員が増えて手狭になってきたが引っ越した方がよいのか分からない」こうしたお悩みがあれば、ぜひソーシャルインテリアにご相談ください。

限られたスペースを効率的に活用し、企業の成長につながるオフィス作りをお手伝いします。必要であれば、オフィス家具の選定やレイアウトのデザインもご相談いただけます。お気軽にお声かけください。