オフィス移転の際は、多岐に渡る複雑な工程や、専門知識を必要とするポイントが数多くあります。この記事では、オフィス移転の流れとポイントをまとめて紹介。オフィス移転マニュアルとしてお役立てください。
目次
オフィス移転のメリットと目標設定
オフィス移転により会社の様々な問題解決が期待できる一方で、目標を定めていないと十分な効果は得られません。オフィス移転をするメリットを考え、具体的な目標設定を行いましょう。
1. 働き方に合わせた環境で、飛躍的に生産性を向上
リモートワークやフレックスタイム制など、働き方が大きく変化している現代。オフィスもそれに適応し、従業員の創造性と生産性を最大限に引き出す環境が必要です。
- チームワークを促進するコミュニケーションスペース
- 集中できる個室ブース
- アクティブラーニングに最適なフリーアドレス制
など、新しい働き方に合わせた設備やレイアウトを導入することで、業務効率を飛躍的に向上することができます。
2. コスト削減で、経営基盤を盤石に
オフィス移転は、固定費を削減する絶好の機会です。現在の業務内容や従業員数に合った広さの物件を選ぶことで、無駄な賃料を抑えることができます。
さらに、交通アクセスの良い立地を選ぶことで、通勤にかかる時間と費用を削減することも可能です。
3. 魅力的なオフィスで、人材獲得と企業イメージアップ
おしゃれな内装や充実した設備は、従業員のモチベーションを向上させ、優秀な人材の獲得にもつながります。
また、取引先や求職者にとって魅力的なオフィスは、企業イメージの向上にも効果的です。
上記のような目標を社員全員で共有することで、物件選びやレイアウトなど、移転に関わる意思決定をより具体的に、より効果的に行うことができます。
オフィス移転を成功させ、課題解決と成長を加速させるためには、明確な目標設定が不可欠です。関係者全員が同じ方向を向いて、理想のオフィスを創造しましょう。
オフィス移転の要件整理
オフィス移転の目標を定めたら、具体的に求めるオフィス要件を整理しましょう。
オフィスの要件定義やコンセプトを決める際はこちらのロードマップをお役立てください。
予算・オフィス面積
実際に出社する社員数や移転対象人数を想定し、求めるオフィス面積を決めて、物件の選定やレイアウトの検討を行います。その規模感から、原状回復工事など現オフィスの退去費用から新オフィスの構築費用まで、かかる費用を具体的に想定して予算を決めましょう。
新しいオフィスの物件探し
賃料、広さ、立地など、十分に移転の目的を果たせる物件かどうか、可能な予算の中で優先順位を判断しながら検討しましょう。
パートナー企業選定
オフィス移転のパートナー企業によって得意な分野や、取り扱いできる範囲など特徴が異なるため、パートナー企業選びが移転の成功を大きく左右します。上記で決めた要件を踏まえて、以下のポイントを確認しましょう。
- 各項目ごとの見積もり金額の詳細が明示されており、作業工程が明確かどうか。余計な工数が発生していないか。
- 内装工事や電気工事など、様々な専門分野のタスクを同時に対応できるかどうか。自社と同じようなケースを担当したことがあるか。
オフィス移転には8ヶ月程度の準備期間を必要とします。実施の1年前にはパートナー企業選定を始め、自社に適したパートナー企業と余裕を持って移転の準備を進めましょう。その際、予算感や求める物件、依頼範囲など具体的な要件を伝えながら依頼することで、齟齬なく計画を進めることができます。
オフィス移転前の各種手続き
要件の整理ができたら、オフィス移転の流れを検討していきましょう。
オフィス移転のスケジューリング
オフィス移転は、検討開始からオフィス構築完了まで長い期間を必要とする大がかりなプロジェクトです。移転日から逆算して余裕を持って動けるように、詳細なスケジュールを立てましょう。
オフィス移転のスケジュールを立てるポイントは、こちらの記事でも紹介しています。
現オフィスの解約
オフィス移転が動き出して初めに行うのが現オフィスの解約手続きです。普通借家契約の場合、オフィス退去の6ヶ月前には物件のオーナーや管理会社に解約通知を出さなくてはなりません。解約料や原状回復費用など、退去の際の契約条件を事前に確認しておきましょう。
新しいオフィスの物件探しと契約
現オフィスの解約タイミングに合わせて新オフィスに入居できるように、移転時期の見通しがついてから、物件探しを始めます。
まずは移転の目標を再確認し、その物件で目標達成ができるか、費用は問題ないかを調べます。パートナー企業に依頼する前に、複数の不動産会社や仲介会社のホームページで様々な物件を調べることで求める物件の特徴や賃料の傾向が見えてきます。
立地と広さによって大まかな相場があるため、事前に調べておくことで賃料など条件の交渉がやりやすくなります。
また、物件内の設備や周囲の環境など、見なければ分からないことも多くあるため、物件探しの際はホームページ上で調べるだけでなく、不動産会社に連絡して実際に内見しましょう。また、不動産仲介スタッフに移転の目標や条件を話すことで、それに見合った様々な物件情報が得られるかもしれません。
オフィス移転の目標に見合った物件を見つけたら、不動産契約を行います。契約する前にビルの使用や工事の際のルールなども確認し、自社の業務に差し障りがないかのチェックが必要です。また、敷金、礼金、手数料など、賃料以外にかかるコストの確認を行いましょう。
一般的に発生するコストは下記のようなものがあります。
- 敷金
- 礼金
- 保証金
- 権利金
- 不動産手数料
- 償却費
新オフィスのレイアウト
物件を決めたら、オフィス移転の目標に沿ってレイアウトの検討を始めます。ここでは、レイアウトを決める際のポイントをご紹介します。
コンセプトの策定
レイアウト検討を方針がないまま始めると、思わぬ相違が発生する可能性があります。レイアウトを決める際はまず、新オフィスのコンセプトを決めましょう。新しい働き方に最適なオフィスにするのか、おしゃれなオフィスを目指すのか、目標により目指すべきオフィスレイアウトも大きく変わります。
オフィスのデザインを検討する際は、ぜひ以下のロードマップをお役立て下さい。
レイアウト設計
物件の広さや形状に合わせてレイアウト設計を行います。執務スペースや会議室、個別ブースなど、どの部屋がいくつ必要でどうゾーニングするかを、オフィスで働く社員数、家具やコピー機、LANなどの必要な設備の要件に沿って検討します。
図面作成
検討したレイアウト設計から、具体的に工事や家具の手配を実施できるように図面作成をします。スケジュールやコストを算出し、スムーズに実施できるように移転開始3ヶ月前にはレイアウトを決めましょう。
オフィス家具の検討
検討を重ねたオフィスコンセプトと図面に基づき、予算とレイアウトに収まるオフィス家具を選定しましょう。 家具は単なる什器ではなく、オフィスの印象を大きく左右する重要な要素です。内装との調和を意識した家具選びこそ、洗練されたオフィスデザインを実現するための鍵となります。
設備やインフラの整備
導入するオフィス家具やレイアウト策定の次は、設備や内装、インフラ工事の段取りを進めます。
オフィスの工事から引越し時の見積もりや準備のポイントは、こちらのロードマップで解説しています。
物件やレイアウトなど、場合によって工事の内容は変わりますが、まずは以下の事項を検討しましょう。
セキュリティ面の確認
現代社会において、セキュリティ管理は企業にとって死活問題。些細な情報漏洩が、企業の信頼を根底から揺るがしかねません。そこで重要となるのが、リスク回避のためのセキュリティシステムの導入です。代表的なものは以下の通りです。
- 防犯カメラシステム
- 入退室管理システム
- 文書・物品管理システム
- 情報資産管理システム
- ネットワークセキュリティ
これらは電気系統と連動して動作するため、物件により取り入れられるものは異なります。ビルの利用条件などを確認しておきましょう。
電気工事
オフィスでは多くの電気機器を使用するため、使用する機器の電圧に注意が必要です。分電盤の設置やコンセントの増設により電気機器の配線の集中を防ぎ、ブレーカーが落ちる要因を減らす必要があります。
また、ゾーニングによって照明の位置やスイッチの場所が作業スペースに合致しているか確認する必要があります。
パーティションで空間を区切る場合は、コンセントの位置が不足したり、届きにくくなったりする場合があります。事前にコンセントの位置を慎重に検討し、必要に応じて増設を行うことが重要です。
電話と通信の整備
オフィス内で電話やインターネット通信を使えるようにするためには、ネットワークの配線や電話回線、ビジネスフォン設置の工事が必要です。電源配置によってはサーバー機器などと干渉する可能性があり、設置場所に注意が必要です。レイアウトが決まった際は、通信の工事を担当する企業に相談しましょう。
空調設備
レイアウトによっては空調の効きに偏りが出る場所が発生したり、個別ブース内に空調の新設が必要になったりするなど、空調設備の工事が発生することがあります。レイアウトの工夫で、工事の必要がなくなる場合もあるため、空調の位置も考慮してレイアウトを検討することで、コストを減らせる可能性もあります。
オフィス移転作業
新オフィスの設備や内装の工事が完了すれば、実際にオフィス移転を始めることができます。発生する作業は複雑かつ多岐に渡るため、現オフィスの退去から新オフィスの引越しまで滞りなく行えるように、パートナー企業と連携を取りながら計画的に準備しましょう。
現状回復工事
現オフィスの退去日までに、床、壁、天井などを入居時の状態に復元する工事です。
ビルのオーナーや施工を担当する会社に、どこまで原状回復の工事が必要なのかの工事範囲を確認し、見積書の内容が適正かどうか判断しながら進めます。
工事が退去日に間に合わないと追加の賃料が発生するため、スケジュール管理に気をつけましょう。
移転当日の進行管理
移転当日は資材の搬出入など現オフィスと新オフィス同時に作業が発生するため、双方に人員を配置し、スムーズな作業進行を確保することが重要です。
新オフィスの見取り図には、何をどこに配置するか番号をつけたナンバリング図を事前に作成しておきましょう。
現オフィスにある機材や什器を、新オフィスに移動するものと破棄するもので分けます。新オフィスで使う資材にはナンバリング図と同じ番号を割り振り、照らし合わせながら配置することで新オフィスでの配置が間違いなく行えます。
移転後のフォローアップ
新オフィスの施工を担当したパートナー企業から、最終的な図面である竣工図をもらい、保管しておきましょう。今後のレイアウトや配線の変更などの際に必要となります。
移転後の営業初日には思わぬトラブルや、実際に業務開始するまで見えてこなかった問題が発生するかもしれません。設備工事や引越しを担当したパートナー企業に、新オフィスに待機してもらい、問題発生時の対応を依頼しましょう。
各種届出と手続き
オフィス移転の前後には様々な手続きをする必要があります。最後につまずかないように必要事項を確認しておきましょう。
オフィス移転の際に必要な手続きについては、こちらの記事でもご紹介しています。
移転後のフォローアップ
オフィス移転後には、関係官庁に各種届出が必要です。
以下のチェックリストでは移転前、移転後に必要な届出をまとめています。(ダウンロード無料)
リストを参照しながら、期間内に完了できるよう速やかに手続きを行いましょう。
※リストに関して、企業によってはこの限りではありません。アレンジしてご活用ください。
取引先への挨拶状とポイント
オフィス移転のスケジュールが決まったら、取引先企業などに送付する挨拶状を準備します。以下のポイントを押さえて作成しましょう。
・オフィス移転の1ヶ月前に挨拶状が到着するように出す
移転後すぐ新オフィスに取引先が請求書を届けられるように、オフィス移転の1ヶ月前には挨拶状を送り届けましょう。それに間に合うように、送り先の選定や挨拶状の準備は2ヶ月前には進める必要があります。
・はがきの挨拶状とメールの使い分け
今後の取引に関わる重要な挨拶になるので、より正式な文書としてメールよりもはがきで送付することが望ましいでしょう。はがきの準備が間に合わずメールで早急なお知らせをした際も、後ほど書面で送ることで丁寧な印象が得られます。しかし、親しい担当者などは、はがきの固い挨拶ではかえって負担に感じさせてしまうかもしれません。関係性によってはメールでの挨拶も良いでしょう。
・文章構成のポイント
挨拶状は基本的なビジネス文書に沿って構成します。
頭語の「拝啓」から始めて、時候の挨拶や日頃の感謝を記載し、結語の「敬具」で締めます。続いて移転の情報を記載しましょう。
以下で例文をご紹介します。
移転のご案内
拝啓 ◯◯の候
貴社におかれましてはますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたび弊社は事業拡大に伴い◯◯年◯月◯◯日より、下記へ事務所を移転する運びとなりましたので、ご案内申し上げます。
これを機に社員一同より社業に専念いたしますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。
敬具
◯月◯日吉日
株式会社 ◯◯
代表取締役 ◯◯
新事務所
郵便番号 〒◯◯◯-◯◯◯◯
住所 ◯◯県◯◯市◯◯
電話番号 ◯◯-◯◯◯-◯◯◯◯
FAX ◯◯-◯◯◯-◯◯◯◯
メールアドレス ◯◯◯@◯◯◯◯
お祝い返しと贈るタイミング
オフィス移転の後に取引先からお祝いを頂いたら、お祝い返しをして感謝の気持ちを伝えましょう。
お祝いをいただいてから1週間前後で早急にお返しを贈るのが一般的なマナー。オフィス移転で忙しくなる前に、先に品物やお礼状を用意しておくと万全です。
品物の相場は、いただいたもののおよそ半額程度のものが望ましいです。現金や商品券、いただいたいたものと同じものはお祝い返しのタブーです。菓子折りやタオル、食器、またはカタログギフトなど、相手に気を使わせない品物を選びましょう。
オフィス移転の成功事例
ソーシャルインテリアで担当したオフィス移転の事例をご紹介します。
ワークプレイスの最大価値化を追求した”つながり”のあるオフィス
株式会社朝日ネット様
人員増加を機に、移転前に問題となっていたキャパシティ不足を解消するためにオフィス移転を実施。“つながりのあるオフィス”をコンセプトに、各々の顔が見え、エリア全体が繋がっているようにレイアウトをしています。
コミュニケーションの促進や業務効率を向上させるオープンミーティングスペースの充実、快適に休憩できるリフレッシュルーム、温かみと開放感のあるオフィスデザインなど、様々な場所に工夫をこらしたワークプレイスの最大価値化を追求したオフィス設計です。
オフィス移転後、採用に非常に好調な効果が出ていたり、以前に比べてセンターに対する社員の帰属意識が向上していたり、リニューアル後に顕著な変化が見られているようです。
ご担当者様の生の声が入った、インタビューレポートも以下より無料でダウンロード可能です。
オフィス移転なら「ソーシャルインテリア」にお任せ!
オフィス移転により、様々なオフィスの課題解決の期待ができます。しかし、複雑な工程や手順を不足なくこなす必要があり、大きな負担がかかります。
専門知識を必要とするポイントも数多くあるため、パートナー企業へ依頼することで負担を減らすことができます。
ソーシャルインテリアは、オフィス移転から空間デザイン、家具選定までワンストップで対応いたします。自社に合ったオフィス構築をトータルサポートいたしますので、オフィス移転でお困りの際はまずはお気軽にお問い合わせください。