パーテーション工事前に要確認!感知器などの消防設備と内装材の設置基準とは

床と天井に固定する施工型パーテーション。大掛かりな改修をすることなくセキュリティの確保や防音対策ができるため、導入を考えている企業も多いでしょう。

しかし比較的導入しやすい一方で、パーテーションの設置には消防法や建築基準法がかかわることをご存じでしょうか。知識がないまま設置すると法律に抵触する危険があります。

本記事では、感知器などの消防設備と内装材の設置基準をまとめました。工事前に確認しておくべき注意点が分かるので、ぜひ参考にしてください。

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施工型パーテーションの工事で考慮すべき法律

施工型パーテーションの工事で考慮すべき法律は「消防法」と「建築基準法」です。どちらも従業員の生命と企業財産を保護するために重要で、施工前に理解しておかなければなりません。

ここでは、施工型パーテーションの工事における「消防法」と「建築基準法」の注意点を解説します。必要な手続きや設置基準を確認しましょう。

1.消防法

消防法とは、火災予防と火災時の被害拡大防止を目的とした法律です。そのため、消火設備や避難経路を遮る恐れがある場合は、消防法の対象となります。

【消防法の対象となるパーテーションの例】

  • 床から天井まで固定するパーテーション
  • 欄間クローズのパーテーション
  • 不燃性素材のパーテーション

欄間オープンのパーテーションやスライディングウォールは個室扱いではないため対象外です。

なお、設置時は着工7日前までに消防署へ「防火対象物工事計画届出書」を提出しなければなりません。他の添付書類も多いため、内装業者やオフィスデザイン会社へ依頼することをおすすめします。

参考:消防法|e-Gov法令検索

2.建築基準法

建築基準法とは、建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を定めた法律です。消防法と同様に天井に固定する設置型パーテーションは個室扱いとなるため、特に注意しなければなりません。

建築基準法で規制する内容は以下の4点です。

【建築基準法の規制事項】

  • 通路幅
  • 避難階段までの距離
  • パーテーションの素材
  • 消火設備の設置

上記のなかでも、通路幅は建築基準法施行令第119条で細かく規制されています。

廊下の両側に部屋がある場合は1.6m以上、片側のみに部屋がある場合は1.2m以上が必要です。さらに、この寸法は内法である点も考慮しなければなりません。

参考:建築基準法|e-Gov法令検索

【消防法より】パーテーションの設置にかかわる消防設備の設置基準

オフィスにパーテーションを設置する際に必要な消防設備は以下の5つです。

  • 感知器
  • スプリンクラー
  • 誘導灯
  • 非常用放送設備
  • 排煙設備

消防法を参考に、パーテーションの設置にかかわる5つの消防設備の設置基準を詳しく解説します。

1.感知器

感知器とは、火災発生を感知して火災情報信号を消火設備などへ発信する機器です。消防法第21条により、建物にかかわらず設置が義務付けられています。

オフィスの感知器は、おもに「煙感知器」と「熱感知器」の2種類です。煙感知器は火災時の煙に反応する機器で、感度によって特種・1種・2種に分けられます。熱感知器は周囲の温度差で反応する差動式と、一定の温度以上で反応する定温式の2つがあり、感度で1種・2種・3種に分けられます。

感度が高い特種や1種を非常ベルと連動させ、感度が低いタイプを防火扉と連携する使い分けが有効です。

1-1.煙感知器の設置基準

煙感知器は、給湯室など煙・湯気が出やすい場所以外に用いられます。パーテーション設置時に把握するべき煙感知器の設置基準は以下の通りです。

  • 壁や梁から60cm以上・空調設備から1.5m以上離す
  • 下端は天井下から60cm以内に設ける
  • 天井の低い個室(約2.3m以下)や狭い部屋(約40㎡未満)は、出入口付近に設置する

施工型のパーテーションは、壁として扱われます。その他、通路は歩行距離30mにつき1個以上設ける必要があるので注意しましょう。

1-2.熱感知器の設置基準

熱感知器は煙が出やすい給湯室や喫煙所などに設置します。パーテーション設置時に把握するべき設置基準は以下の通りです。

  • 空調設備から1.5m以上離す
  • 下端は天井下から30cm以内の位置に設ける
  • 取付け面に対して45度以上傾斜させてはいけない

熱感知器はパーテーションや梁との距離は関係なく設置可能です。また、欄間が45cm以上開いている場合は個室扱いにならないため、新たに感知器を設置する必要はありません。

2.スプリンクラー

スプリンクラーの設置には初期段階の消火や、煙による一酸化炭素の発生を抑える目的があります。消防法第13条で定められている設置基準は以下の通りです。

  • 11階以上の高層階・地下などの窓がない階に設置必須
  • 欄間を60cm以上開ける
  • スプリンクラーヘッドから45cm以内・水平方向30cm以内には何も設置してはいけない

高層階や地下以外に、床面積3,000平米以上の1階〜3階・1,000平米以上ある4階〜10階のオフィスフロアにも設置が必要です。パーテーションを設置すると移設や増築が必要になる場合があります。なお、自治体によって設置基準が異なるケースがあるため、よく調べなければなりません。

3.誘導灯

誘導灯とは矢印やピクトグラムで示した避難口誘導標識のことです。以下のように消防法第26条で設置基準が定められています。

  • 11階以上・窓がない階は設置必須
  • 個室から非常口まで30m以上距離がある場合は、個室の出入口に設置
  • パーテーションなどで視界が遮られ非常口が確認できない個室は、個室の出入口に設置

なお、蓄光式ではないためバッテリーが必要です。有効範囲によって明るさや寸法が変わるため確認しておきましょう。

4.非常用放送設備

非常用放送設備とは、感知器と連動してアナウンスで火災を知らせる設備です。設置基準は消防法第17条に定められています。

  • パーテーションで仕切られた個室のどの場所からも聞こえるように10m以内に設置する
  • 8平米以下の個室の場合、隣接した部屋のスピーカーまで8m以下であれば設置不要

その他、耐熱基準をクリアしたスピーカーの使用や、床から高さ1mの任意の場所で75dBの音圧を確保することも義務付けられています。

5.排煙設備

排煙設備には、窓や排煙口から排煙する「自然排煙方式」と機器で排煙する「機械排煙方式」があります。3階以上で延べ面積が500平米以上の場合は、消防法第28・30条より設置基準を確認しましょう。

  • 設置位置は天井または壁の上部80cm以内
  • 排煙口は個室までの水平距離30m以内に設置する

なお、天井の高さが3m以上ある場合は、床から2.1m以上かつ天井の高さの1/2以上に設置しなければいけないため注意が必要です。

【建築基準法より】パーテーションの素材にかかわる設置基準

建築基準法第114条では内装制限として、パーテーションを含む内装材における防炎性能の基準が定められています。11階以上または地下階では、国土交通大臣より不燃認定された素材のパーテーションしか設置できません。

不燃認定されているパーテーションの素材は以下の通りです。

  • スチール
  • アルミ
  • ガラス
  • 陶磁器質タイル 
  • 漆喰 など

不燃認定されている素材は多々ありますが、主流はスチールパーテーションです。耐火性・耐熱性に優れているため設置する場所を問いません。遮音性が高いことから、執務スペースや会議室などにも適しています。

11階以上の高層階や地下階では、建築基準法の内装制限に抵触しないように不燃認定を受けていることを確認して、パーテーションを選びましょう。

法律に則ったパーテーションの設置は「ソーシャルインテリア」にご相談ください

パーテーションの設置は、消防法と建築基準法に基づいてレイアウトを設計しなければいけません。法律に抵触すると罰金が科せられる恐れもあるため、感知器などの消防設備の設置基準を知ることが重要です。今回紹介した以外にも、細かなルールはかなりあります。

ソーシャルインテリアでは、オフィスのレイアウト設計からパーテーションの選定、設置に至るまで一気通貫のサポートが可能です。手続き書類の作成などの煩わしい作業もお任せください。パーテーション設置のノウハウがあるプロが、コンプライアンスを遵守し、自社に最適なオフィスを提案・構築いたします。